6 / 22
極寒の休日の過ごし方 雪の中のハイキング
しおりを挟む
気温は相変わらず低いが天気が良いので、友人達とハイキングへ行くことにした。
行き先は、隣街にあるメテオフィールド。
Söderfjärdenと呼ばれるこの平原は、5億2千年前に隕石が落ちてできたという。
隕石の衝突によってできたクレーターは直径約4マイル(6.4km)、深さ300m。
現在は農業地帯と、バードウォッチングの聖地となっている。
フィンランドではハイキングに出かける際、持っていくべきものがいくつかある。
1. マッカラ(ソーセージ)
2. ナイフ
3. 飲み物(お酒)
フィンランドのハイキングの楽しみの一つは「野外でソーセージを焼いて食べる」こと。
フィンランドの森やハイキングコースには、必ずと言っていいほど焚火をすることができる簡易グリルがある。
多くの場合、薪を保管した小さな小屋も隣にあり、訪問者は自由に利用できる。
駐車場に車を止めて、歩いてメテオフィールドの一角にある小さな展望台を目指す。
雪深い道なき道を歩き進むこと約30分、ようやく展望台が見えてきた。
展望台の少し手前に、薪小屋と小さな石臼、そして、雪に埋もれたテーブルとベンチがあった。
体も冷えてきたので、ここで一休みすることに。
石臼に積もった雪を掃って、使えることを確認した後、雪の積もったベンチに荷物を置き薪小屋へ向かう。
薪はちょうどいい大きさに割られて、小屋の中いっぱいに積まれていた。
その中からいくつか良さそうなものを選んで、石臼の所に戻る。
今日はヤコブが火おこしを担当することになった。
フィンランド人の男性は、みんなそれぞれ自分流の火のおこし方にこだわりを持っているらしく、任命された人が一人で火おこしを担当する。
まずは薪をナイフで削って木片にして、着火しやすいように小さなささくれを作っていく。
そして石臼の中に時間をかけて慎重にその木片を並べ積み上げて、着火した後また少しずつ木片を足していき、徐々に炎を育てていく。
薪を足して十分炎が大きくなったところで、持ってきたマッカラの出番。
ナイフでマッカラの表面に斜めの切れ込みを入れ、スティックの先に刺す。
各々スティックを持って、石臼の中の炎の上にスタンバイ。
スティックを回しながら5分程待っていると、だんだんとマッカラの表面が焼けてきて、美味しそうな匂いが漂ってきた。
雪景色の平原の真ん中で、直火で焼いた熱々のソーセージを食べる経験はなかなかできるものではない。
積もった雪がテーブルクロス代わりなのだろうか、雪の上にそのままククサ(木のカップ)を並べ、持参したハーブのお酒を注いでみんなで乾杯した。
体温も少し回復したところで火の後始末をして、展望台へと向かう。
高さ10mくらいの小さな展望台は、おそらくバードウォッチング用に作られたのだろう。
そこから見渡す、木以外何もない真っ白な雪に覆われた平原。
遠くの地平線には、沈んだばかりの太陽が放つ淡いオレンジ色の光が、ブルーグレーの空にグラデーションを作っていた。
しばらくの間、全員その美しい景色に心を奪われていた。
何もない景色がこんなに美しいなんて。
空から光が消え我に返った私たちは、ヘッドランプを装着し、元来た道を歩き出した。
つづく・・
行き先は、隣街にあるメテオフィールド。
Söderfjärdenと呼ばれるこの平原は、5億2千年前に隕石が落ちてできたという。
隕石の衝突によってできたクレーターは直径約4マイル(6.4km)、深さ300m。
現在は農業地帯と、バードウォッチングの聖地となっている。
フィンランドではハイキングに出かける際、持っていくべきものがいくつかある。
1. マッカラ(ソーセージ)
2. ナイフ
3. 飲み物(お酒)
フィンランドのハイキングの楽しみの一つは「野外でソーセージを焼いて食べる」こと。
フィンランドの森やハイキングコースには、必ずと言っていいほど焚火をすることができる簡易グリルがある。
多くの場合、薪を保管した小さな小屋も隣にあり、訪問者は自由に利用できる。
駐車場に車を止めて、歩いてメテオフィールドの一角にある小さな展望台を目指す。
雪深い道なき道を歩き進むこと約30分、ようやく展望台が見えてきた。
展望台の少し手前に、薪小屋と小さな石臼、そして、雪に埋もれたテーブルとベンチがあった。
体も冷えてきたので、ここで一休みすることに。
石臼に積もった雪を掃って、使えることを確認した後、雪の積もったベンチに荷物を置き薪小屋へ向かう。
薪はちょうどいい大きさに割られて、小屋の中いっぱいに積まれていた。
その中からいくつか良さそうなものを選んで、石臼の所に戻る。
今日はヤコブが火おこしを担当することになった。
フィンランド人の男性は、みんなそれぞれ自分流の火のおこし方にこだわりを持っているらしく、任命された人が一人で火おこしを担当する。
まずは薪をナイフで削って木片にして、着火しやすいように小さなささくれを作っていく。
そして石臼の中に時間をかけて慎重にその木片を並べ積み上げて、着火した後また少しずつ木片を足していき、徐々に炎を育てていく。
薪を足して十分炎が大きくなったところで、持ってきたマッカラの出番。
ナイフでマッカラの表面に斜めの切れ込みを入れ、スティックの先に刺す。
各々スティックを持って、石臼の中の炎の上にスタンバイ。
スティックを回しながら5分程待っていると、だんだんとマッカラの表面が焼けてきて、美味しそうな匂いが漂ってきた。
雪景色の平原の真ん中で、直火で焼いた熱々のソーセージを食べる経験はなかなかできるものではない。
積もった雪がテーブルクロス代わりなのだろうか、雪の上にそのままククサ(木のカップ)を並べ、持参したハーブのお酒を注いでみんなで乾杯した。
体温も少し回復したところで火の後始末をして、展望台へと向かう。
高さ10mくらいの小さな展望台は、おそらくバードウォッチング用に作られたのだろう。
そこから見渡す、木以外何もない真っ白な雪に覆われた平原。
遠くの地平線には、沈んだばかりの太陽が放つ淡いオレンジ色の光が、ブルーグレーの空にグラデーションを作っていた。
しばらくの間、全員その美しい景色に心を奪われていた。
何もない景色がこんなに美しいなんて。
空から光が消え我に返った私たちは、ヘッドランプを装着し、元来た道を歩き出した。
つづく・・
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
年末年始のボッチ食(令和6年→令和7年)
酒原美波
エッセイ・ノンフィクション
令和6年年末、お世話になった神様、不動明王様へお礼詣で参拝。その道中で楽しみなのが食べ物。
そして年が明けた令和7年、個人初詣と、友人との初詣。神社へ感謝と今年1年の平穏を祈りつつ、参拝後の食事への飽くなき執念。
その日ならではの食事などを、メモ代わりに書き連ねたら、いつの間にやら話が長くなってしまった。
以前は友人に、旅行記などを独自でプリントアウトしたものを配っていたが、自宅用プリンターが壊れて以来、こちらに書き込んで友人に見てもらっている。
自己満足な年末挨拶、初詣など、人の体験談など読んでも面白くないだろうと思いつつ、他人の日記を覗き見るって背徳感が有りません?
これと言ったハプニングもない、日記の延長ですが、よろしければ流し読みしてみてください。
読んでて、お腹が減るのは自己責任でお願いします。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ボケ防止に漫画投稿初めてみた!
三森まり
エッセイ・ノンフィクション
子供に手がかからなくなったし使える時間めっちゃ多くなったのでボケ防止に何かはじめようかなぁ
そうだ!(・∀・)「指を動かす 頭を使う 家にいても出来る!!」という事で インターネットエクスプローラーのTOPページで宣伝してる この「アルファポリス」とやらをやってみよう! という事で投稿初めてみました
へいへい 漫画描くの楽しいよ! と そんなエッセイと 私のアルポリ(どんな約し方がスタンダートなのか知ってる方教えてください)での成果?を綴る予定です(・∀・)b
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる