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決断とアピール(2)
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(私にとって結婚は目的。アイツよりいい相手を見つけたい。けれど相談所を頼る人の大半はそうじゃない。結婚はあくまで手段で自分の家庭を持つ事が目的なんだ)
家庭を持つのなら出産や育児について考える事は必然。
環は自分が結婚について深く考えていなかったと気付いた。
(昔なら結婚して子供を育てるのが普通よね。でも今はそんな時代じゃない。私は結婚しても仕事は続けたい。でも子供の為に費やす時間やお金を考えると……簡単に結論なんて出せないよ)
だが35歳のリミットがあると知った以上のんびり構えてもいられない。
「ねえ怜。自分の子供がいるってどんな感じ?」
何言ってんの? と言う表情で怜は鏡越しに答える。
「それ私に聞くかな? ウチは特別だから参考にはならないよ。あんたもよく知ってるじゃない」
「うん。でも臣吾くんの親として思う所はあるでしょ?」
臣吾は今年で14歳になる怜の一人息子だ。
「まあね。私にとって臣吾は生きがいそのもの。どんなに辛くてもあの子を思うと乗り越えられる。もし何かあったらすべてを投げ打つ事だって出来るわ」
「そうなんだ。すごいね」
「臣吾のおかげで私は幸せ。あの子の方がどう思っているか知らないけどさ」
さばさばとした口調とは裏腹に怜がその事を気にかけているとわかった。腐れ縁の幼馴染だからこその機微だ。
高校卒業後に美容専門学校に入った怜はそこで知り合った女性とつきあい始め相手は程なく妊娠し臣吾が産まれた。
「お腹の子供のために俺は父親になる。オトコオヤになるんだ」
彼女と籍を入れた後、怜は男口調で環に宣言した。
思春期には自分がバイセクシャルであると自覚していた怜は両性の相手と派手に遊びまわっていたが入籍を機に色恋沙汰から離れると決めたのだった。
けれど異性との結婚を許せない同性の元カレによってそれまでの恋愛遍歴を新婚の妻やその家族の周辺に吹聴されてしまい怜の夢見た幸せな家庭生活はゆるやかに崩壊していったのだった。
家庭を持つのなら出産や育児について考える事は必然。
環は自分が結婚について深く考えていなかったと気付いた。
(昔なら結婚して子供を育てるのが普通よね。でも今はそんな時代じゃない。私は結婚しても仕事は続けたい。でも子供の為に費やす時間やお金を考えると……簡単に結論なんて出せないよ)
だが35歳のリミットがあると知った以上のんびり構えてもいられない。
「ねえ怜。自分の子供がいるってどんな感じ?」
何言ってんの? と言う表情で怜は鏡越しに答える。
「それ私に聞くかな? ウチは特別だから参考にはならないよ。あんたもよく知ってるじゃない」
「うん。でも臣吾くんの親として思う所はあるでしょ?」
臣吾は今年で14歳になる怜の一人息子だ。
「まあね。私にとって臣吾は生きがいそのもの。どんなに辛くてもあの子を思うと乗り越えられる。もし何かあったらすべてを投げ打つ事だって出来るわ」
「そうなんだ。すごいね」
「臣吾のおかげで私は幸せ。あの子の方がどう思っているか知らないけどさ」
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けれど異性との結婚を許せない同性の元カレによってそれまでの恋愛遍歴を新婚の妻やその家族の周辺に吹聴されてしまい怜の夢見た幸せな家庭生活はゆるやかに崩壊していったのだった。
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