1 / 10
プロローグ
しおりを挟む
空気を震わせるような大歓声が聞こえる。
強烈なスポットライトは暗闇を一瞬で消し去った。
目を開けた菅生環はなぜだかリングの中にいた。
四角いマットの上で環を含めた四人の女性が中央の男性を取り囲んで立っている。
(この人は……カミサマ?!)
直感的にそう理解した。
高身長のカミは辺りを見回した後、
「オメェは怒っているか?」
環のふたつ隣にいる女性に手に持った錫杖をマイクのようにつきつけた。
カミサマにしてはすいぶん乱暴な口調だ。
「怒っていますよ!」
問われた女性は憤った声で答える。
「誰にだい?」
「他の女の所にいった男です!」
環はドキリとした。
「そうか……オメェはそれでいいや」
ツッケンドンに言い放って、
「オメェは?」
カミサマは続いて隣の女性に問う。
「全ての男に怒っています!」
「全てって誰だい?!」
「……」
カミは躊躇する女性を詰める。
「言ってみろ! 課長か? 部長か? 常務か? それとも専務か?!」
「未婚だからって私を見下す奴ら全てです!」
環はハッとなる。
さっきの問いも今の問いも自分に心当たりのある事だった。
「そうか。奴らに気付かせろ」
次は自分だ。
錫杖を差し出された環は目の前のカミサマをマジマジと見る。大きなマントで体を覆い頭からフードを被り何者か知れない。ただ近くにいると体から発せられる異様な熱気を感じられた。
「オメェは?」
「私は……」
何と答えるべきか……いや、考えるな。素直に今の気持ちを吐き出せばいい。
それだけだ!
「私は……自分の明るい未来が見えませんっ!!」
強烈なスポットライトは暗闇を一瞬で消し去った。
目を開けた菅生環はなぜだかリングの中にいた。
四角いマットの上で環を含めた四人の女性が中央の男性を取り囲んで立っている。
(この人は……カミサマ?!)
直感的にそう理解した。
高身長のカミは辺りを見回した後、
「オメェは怒っているか?」
環のふたつ隣にいる女性に手に持った錫杖をマイクのようにつきつけた。
カミサマにしてはすいぶん乱暴な口調だ。
「怒っていますよ!」
問われた女性は憤った声で答える。
「誰にだい?」
「他の女の所にいった男です!」
環はドキリとした。
「そうか……オメェはそれでいいや」
ツッケンドンに言い放って、
「オメェは?」
カミサマは続いて隣の女性に問う。
「全ての男に怒っています!」
「全てって誰だい?!」
「……」
カミは躊躇する女性を詰める。
「言ってみろ! 課長か? 部長か? 常務か? それとも専務か?!」
「未婚だからって私を見下す奴ら全てです!」
環はハッとなる。
さっきの問いも今の問いも自分に心当たりのある事だった。
「そうか。奴らに気付かせろ」
次は自分だ。
錫杖を差し出された環は目の前のカミサマをマジマジと見る。大きなマントで体を覆い頭からフードを被り何者か知れない。ただ近くにいると体から発せられる異様な熱気を感じられた。
「オメェは?」
「私は……」
何と答えるべきか……いや、考えるな。素直に今の気持ちを吐き出せばいい。
それだけだ!
「私は……自分の明るい未来が見えませんっ!!」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
【完結】みそっかす転生王女の婚活
佐倉えび
恋愛
私は幼い頃の言動から変わり者と蔑まれ、他国からも自国からも結婚の申し込みのない、みそっかす王女と呼ばれている。旨味のない小国の第二王女であり、見目もイマイチな上にすでに十九歳という王女としては行き遅れ。残り物感が半端ない。自分のことながらペットショップで売れ残っている仔犬という名の成犬を見たときのような気分になる。
兄はそんな私を厄介払いとばかりに嫁がせようと、今日も婚活パーティーを主催する(適当に)
もう、この国での婚活なんて無理じゃないのかと思い始めたとき、私の目の前に現れたのは――
※小説家になろう様でも掲載しています。
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる