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第二十話 ティアラ嬢の運命の相手は・・・
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お昼にもなると殿下の電撃訪問の話で校内は更に賑わっていた。
食堂に入るとアーレント様の顔がでかでかと写った校内新聞の号外まで配られて私とオルガも一部ずつ貰うと席に着く。
今日のランチはロールキャベツとサラダとパンのセット。
飲み物は二人揃ってホットコーヒーにした。
う~ん。今日も美味しそうっ。
私はパクっとロールキャベルを食べて美味しさを噛み締める。
肉汁がジュワーッと広がってほっぺが落ちそう。
あっという間に食べてしまった。
食後のデザートにティアラ嬢のくれたクッキーを私達は食べたのだけど、ランディが胃袋を掴まれてしまうのも納得の美味しさだった。
オルガもティアラ嬢の作ったクッキーを食べて「悔しいけど美味しい・・・・・・」と言った。
「オルガ、今度ティアラ嬢にクッキーのレシピを聞いてランディに作ってあげたらどう?」
冗談で私がそう言えば「よろしければレシピを教えましょうか?」と、オルガではない声が後ろから聞こえた。
振り向くとランチのロールキャベツセットの乗ったトレーを持ったティアラ嬢が立っていた。
「馬鹿言わないで。何で私があなたにお菓子のレシピを教わらなきゃいけないのよ」
フンっとオルガはそっぽを向いて先程配られた新聞をバサッと広げた。
私は「どうぞ」と言って空いていた椅子を引きティアラ嬢に着席を促した。
オルガも特に嫌がる素振りもないし、いいわよね。
ティアラ嬢は一瞬驚いてその碧の瞳を大きく開いてこちらを見ていたけど、ニコッと笑い「ありがとうございます」と言って私達と同じテーブルに腰を下ろした。
「あら?殿方の心を掴みたいなら先ず胃袋を掴めって言うわよ」
以前、何かの本で書いてあったうんちくを話すと、オルガの目がキラーンと輝いた。
「本当に?それで心も掴めるものなの?」
おっと、食いついたわ。
やっぱりランディの事になると乙女なのね、オルガって。
新聞で顔半分は見えないけど、オルガの耳が真っ赤になっていた。
「オルガ様はどなたか意中のお方がいらっしゃるのですね」
「・・・・・・ふん。いちゃ悪いの!?」
もう、素直じゃないんだからオルガは。
「いえ、素敵な事だと思います。恋は大きな力を生むものですから。私も人違いがありましたが、初恋の相手のために苦手な勉強を克服してアカデミーに入学できました。父からは「お前にはアカデミー入学は難しい」と散々言われてたんですよ。恋とは凄いものです」
私とオルガはなんだかいたたまれなくなった。
一体ティアラ嬢の運命の相手はどなたなんだろう。
そんな事を考えながら、ふと貰った号外新聞の記事に目が止まった。
新聞のトップの見出しには『アーレント王太子殿下、いきなりSクラスに現る!!』と書かれていて、驚くSクラスの生徒達とアーレント様が写っている。
今朝いつの間にか撮られた写真が校内新聞の号外として発行されたようね。
「そう言えば、ティアラ嬢はライト様と一緒に遅くに登校されたからアーレント様にお会いできなかったわね。残念ね」
「大丈夫です。私黒髪で青い目人しか興味がないので。それに恋は当分いいかなって思ってますし王太子殿下に会えなくても気にもなりませんでしたよ」
「私、あんたの考え方好きかも。友達になろ」
オルガがいきなり友達宣言をして手を差し出した。
ティアラ嬢は躊躇わずにオルガの手を取ってギュッと握手した。
「はい、オルガ様。よろしくお願いします」
「私も・・・・・・、色々あったけれどお友達になりたいわ。その・・・・・・、ティアラ嬢がよろしければだけど・・・・・・」
ちらっとティアラ嬢を見れば「はい、喜んで」と、私に微笑んでくれた。
「アリシア様、どうぞティアラとお呼びくださいね」
うふふ、と3人で暫くの間笑い合った。
少ししてオルガがコーヒーを飲もうとカップをソーサーから持ち上げた時、オルガの後ろを通った生徒がオルガの肘に軽くぶつかった拍子にコーヒーが溢れた。
「うわぁっ、熱っ・・・・・・くない」
オルガのコーヒーは少し冷めていた様で火傷にはならなかったみたいだけれど、テーブルの上においてあった新聞にバシャッとコーヒーがかかってしまった。
おかげでアーレント様の頭部分が金髪がコーヒーによって黒髪になってしまったのだけど、それを見て私はハッとした。
「・・・・・・え?」
その時、入学式の日のランチの時間をふと思い出した。確かあの時ティアラ嬢が言っていたのはーーー。
『あの日の殿下の私を見つめる瞳。あの青い瞳と目が合った瞬間、思いが通じ合ったかの様にしばらく見つめ合ったのです』
一年前、青い瞳、変装マスク・・・・・・。
「ねえ、オルガ。あれもオルガの発明品よね?」
「あれ?」
「今朝、アーレント様が付けていたあのマスクよ」
私がオルガに言うとオルガは何のことかと考え混んでいる。
ティアラは朝アーレント様に会ってないから頭の上に?マークが飛んでいる。
「あ、変装マスクの事?イケてたでしょ。あれは試しにライト殿下を模倣して作ったマスクだけど、この間私が付けていたカツラのみのタイプもあるのよ」
もしこのマスクを使ってアーレント様がデフェル領に行ってティアラ嬢を助けていたら?
「ねえ、オルガ。あれをアーレント様にあげたのっていつ頃なのか覚えてる?」
もしかして、もしかすると・・・・・・私はドキドキしながらオルガの答えを待った。
「あげてない。取られたの」
変なところに引っかかるオルガに私は「んもぉ!」と鼻息を荒らげてしまったが落ち着きを取り戻して再度訪ねた。
「じゃあ取られたのはいつなの?」
「確か・・・・・・、一年くらい前だったと思う」
ビンゴーーーー!!
幼い頃お父様と狩りに行って鷹を一発で撃ち落とした時の様な爽快感が私の脳天を貫いた。
「私、ティアラ嬢の運命の相手が分かったわ」
私を見返すオルガとティアラ嬢に、私はコーヒーのシミで金髪が黒髪に変化したアーレント様の写真を指差しながら言った。
「アーレント様よ」
「「え?・・・・・・ええっ!?」」
オルガとティアラは私の言葉に心底驚いていた。
食堂に入るとアーレント様の顔がでかでかと写った校内新聞の号外まで配られて私とオルガも一部ずつ貰うと席に着く。
今日のランチはロールキャベツとサラダとパンのセット。
飲み物は二人揃ってホットコーヒーにした。
う~ん。今日も美味しそうっ。
私はパクっとロールキャベルを食べて美味しさを噛み締める。
肉汁がジュワーッと広がってほっぺが落ちそう。
あっという間に食べてしまった。
食後のデザートにティアラ嬢のくれたクッキーを私達は食べたのだけど、ランディが胃袋を掴まれてしまうのも納得の美味しさだった。
オルガもティアラ嬢の作ったクッキーを食べて「悔しいけど美味しい・・・・・・」と言った。
「オルガ、今度ティアラ嬢にクッキーのレシピを聞いてランディに作ってあげたらどう?」
冗談で私がそう言えば「よろしければレシピを教えましょうか?」と、オルガではない声が後ろから聞こえた。
振り向くとランチのロールキャベツセットの乗ったトレーを持ったティアラ嬢が立っていた。
「馬鹿言わないで。何で私があなたにお菓子のレシピを教わらなきゃいけないのよ」
フンっとオルガはそっぽを向いて先程配られた新聞をバサッと広げた。
私は「どうぞ」と言って空いていた椅子を引きティアラ嬢に着席を促した。
オルガも特に嫌がる素振りもないし、いいわよね。
ティアラ嬢は一瞬驚いてその碧の瞳を大きく開いてこちらを見ていたけど、ニコッと笑い「ありがとうございます」と言って私達と同じテーブルに腰を下ろした。
「あら?殿方の心を掴みたいなら先ず胃袋を掴めって言うわよ」
以前、何かの本で書いてあったうんちくを話すと、オルガの目がキラーンと輝いた。
「本当に?それで心も掴めるものなの?」
おっと、食いついたわ。
やっぱりランディの事になると乙女なのね、オルガって。
新聞で顔半分は見えないけど、オルガの耳が真っ赤になっていた。
「オルガ様はどなたか意中のお方がいらっしゃるのですね」
「・・・・・・ふん。いちゃ悪いの!?」
もう、素直じゃないんだからオルガは。
「いえ、素敵な事だと思います。恋は大きな力を生むものですから。私も人違いがありましたが、初恋の相手のために苦手な勉強を克服してアカデミーに入学できました。父からは「お前にはアカデミー入学は難しい」と散々言われてたんですよ。恋とは凄いものです」
私とオルガはなんだかいたたまれなくなった。
一体ティアラ嬢の運命の相手はどなたなんだろう。
そんな事を考えながら、ふと貰った号外新聞の記事に目が止まった。
新聞のトップの見出しには『アーレント王太子殿下、いきなりSクラスに現る!!』と書かれていて、驚くSクラスの生徒達とアーレント様が写っている。
今朝いつの間にか撮られた写真が校内新聞の号外として発行されたようね。
「そう言えば、ティアラ嬢はライト様と一緒に遅くに登校されたからアーレント様にお会いできなかったわね。残念ね」
「大丈夫です。私黒髪で青い目人しか興味がないので。それに恋は当分いいかなって思ってますし王太子殿下に会えなくても気にもなりませんでしたよ」
「私、あんたの考え方好きかも。友達になろ」
オルガがいきなり友達宣言をして手を差し出した。
ティアラ嬢は躊躇わずにオルガの手を取ってギュッと握手した。
「はい、オルガ様。よろしくお願いします」
「私も・・・・・・、色々あったけれどお友達になりたいわ。その・・・・・・、ティアラ嬢がよろしければだけど・・・・・・」
ちらっとティアラ嬢を見れば「はい、喜んで」と、私に微笑んでくれた。
「アリシア様、どうぞティアラとお呼びくださいね」
うふふ、と3人で暫くの間笑い合った。
少ししてオルガがコーヒーを飲もうとカップをソーサーから持ち上げた時、オルガの後ろを通った生徒がオルガの肘に軽くぶつかった拍子にコーヒーが溢れた。
「うわぁっ、熱っ・・・・・・くない」
オルガのコーヒーは少し冷めていた様で火傷にはならなかったみたいだけれど、テーブルの上においてあった新聞にバシャッとコーヒーがかかってしまった。
おかげでアーレント様の頭部分が金髪がコーヒーによって黒髪になってしまったのだけど、それを見て私はハッとした。
「・・・・・・え?」
その時、入学式の日のランチの時間をふと思い出した。確かあの時ティアラ嬢が言っていたのはーーー。
『あの日の殿下の私を見つめる瞳。あの青い瞳と目が合った瞬間、思いが通じ合ったかの様にしばらく見つめ合ったのです』
一年前、青い瞳、変装マスク・・・・・・。
「ねえ、オルガ。あれもオルガの発明品よね?」
「あれ?」
「今朝、アーレント様が付けていたあのマスクよ」
私がオルガに言うとオルガは何のことかと考え混んでいる。
ティアラは朝アーレント様に会ってないから頭の上に?マークが飛んでいる。
「あ、変装マスクの事?イケてたでしょ。あれは試しにライト殿下を模倣して作ったマスクだけど、この間私が付けていたカツラのみのタイプもあるのよ」
もしこのマスクを使ってアーレント様がデフェル領に行ってティアラ嬢を助けていたら?
「ねえ、オルガ。あれをアーレント様にあげたのっていつ頃なのか覚えてる?」
もしかして、もしかすると・・・・・・私はドキドキしながらオルガの答えを待った。
「あげてない。取られたの」
変なところに引っかかるオルガに私は「んもぉ!」と鼻息を荒らげてしまったが落ち着きを取り戻して再度訪ねた。
「じゃあ取られたのはいつなの?」
「確か・・・・・・、一年くらい前だったと思う」
ビンゴーーーー!!
幼い頃お父様と狩りに行って鷹を一発で撃ち落とした時の様な爽快感が私の脳天を貫いた。
「私、ティアラ嬢の運命の相手が分かったわ」
私を見返すオルガとティアラ嬢に、私はコーヒーのシミで金髪が黒髪に変化したアーレント様の写真を指差しながら言った。
「アーレント様よ」
「「え?・・・・・・ええっ!?」」
オルガとティアラは私の言葉に心底驚いていた。
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