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第1章
1-1 企業説明会のカレ
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この会社に就職した理由……
お給料?
仕事のやりがい?
そんな条件は、どの会社も似たり寄ったり。
私がここで働きたかったのは、素敵な男性がいるから。
───企業説明会で見かけたカレは、
その辺のアイドルを名乗るタレントたちよりも華があった。
日本人離れした顔立ち、すらりと高い背丈、仕立ての良さそうなスーツをさりげなく着こなしているカレは、
その存在感が半端ない。
「イベントに呼ばれたモデルさんかな……?」
カレに惹かれて人だかりに紛れると、ある企業ブースにたどり着いた。
『株式会社 大帝』
「……待って、めちゃくちゃ大手じゃない!?」
知らない人はいないであろう総合商社の看板を目の前にして、
足がすくむ。
周りの就活生は、皆真面目そうで、でも自信がありそうな感じの人たちばかり。
かたや、三流大学生の私は、特にアピールポイントもなく、
どこか入れてくれる会社があればいいな、となんとなく思いながら説明会に参加していた。
「私なんか場違いなんじゃ……」
踵を返そうか迷っていると、爽やかな声が耳に滑り込んできた。
「はい、今から説明始めまーす」
「!」
皆一斉に前方に注目する。
壇上には先ほど見失ってしまったカレが、資料片手ににこやかにこちらを見渡していた。
「この会社の人だったんだ……」
カレのことを少し知って嬉しくなったが、全身に受ける自分の場違い感は否めない。
だが今更この場を離れることもできず、私は気後れしながらもそのまま説明を受けることにした。
「株式会社大帝の、レオンハルト・葉士と申します。
まず、うちの会社がどんな事業を展開しているのか、皆さんはご存知でしょうか?」
ハキハキとした語り口でわかりやすい説明に頷きながら、
カレだけでなく、会社自体にも魅力を感じるようになっていった。
<続>
お給料?
仕事のやりがい?
そんな条件は、どの会社も似たり寄ったり。
私がここで働きたかったのは、素敵な男性がいるから。
───企業説明会で見かけたカレは、
その辺のアイドルを名乗るタレントたちよりも華があった。
日本人離れした顔立ち、すらりと高い背丈、仕立ての良さそうなスーツをさりげなく着こなしているカレは、
その存在感が半端ない。
「イベントに呼ばれたモデルさんかな……?」
カレに惹かれて人だかりに紛れると、ある企業ブースにたどり着いた。
『株式会社 大帝』
「……待って、めちゃくちゃ大手じゃない!?」
知らない人はいないであろう総合商社の看板を目の前にして、
足がすくむ。
周りの就活生は、皆真面目そうで、でも自信がありそうな感じの人たちばかり。
かたや、三流大学生の私は、特にアピールポイントもなく、
どこか入れてくれる会社があればいいな、となんとなく思いながら説明会に参加していた。
「私なんか場違いなんじゃ……」
踵を返そうか迷っていると、爽やかな声が耳に滑り込んできた。
「はい、今から説明始めまーす」
「!」
皆一斉に前方に注目する。
壇上には先ほど見失ってしまったカレが、資料片手ににこやかにこちらを見渡していた。
「この会社の人だったんだ……」
カレのことを少し知って嬉しくなったが、全身に受ける自分の場違い感は否めない。
だが今更この場を離れることもできず、私は気後れしながらもそのまま説明を受けることにした。
「株式会社大帝の、レオンハルト・葉士と申します。
まず、うちの会社がどんな事業を展開しているのか、皆さんはご存知でしょうか?」
ハキハキとした語り口でわかりやすい説明に頷きながら、
カレだけでなく、会社自体にも魅力を感じるようになっていった。
<続>
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