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仮に座敷わらしだとしたらこの先もここにいるのか?
勘弁してくれ。見えないならまだしも実在する妖怪と一緒に住むなんてありえない。
いくら俺がお人好しでもそれは無理だ。
盛大なため息をついたとき「敏明、起きてるか?」と襖が開いた。おそるおそる顔を上げると男が立っていた。
「なんか、光ってる?」
「うまい生気をたっぷりもらったからな」
舌なめずりしそうな様子で俺を見るから、一気に頬が熱くなった。
「その話はするな」
幽霊のようだった男はいまや黒髪が光を弾いて、晴れ晴れと笑う顔はつやつやだ。
「えーと、これからもここに住むつもり?」
「当然だろう」
「よその家に行く気はない?」
「なぜ?」
驚いた顔をするから俺は返事に困る。
迷惑だって言っていいのか?
…直球過ぎるか。
「さっき話したけど、この家は俺が住むことになったんだ」
「ああ、敏明が一緒なんてとても嬉しい」
「いや、えーと。俺としては一人暮らしのつもりだから、困ると言うか」
「大丈夫だ。他の人に俺は見えない」
「あー、他人からどう見えるかという話じゃなくて」
「何か問題なのか?」
男は当然ここにいるものと思っている。
そうだよな、俺よりずっと長くここで暮らしてるんだから。
「えーと、あんたは名前はあるのか?」
さっきから呼びにくくて仕方ないのでそう訊ねた。
「敏明がつけただろ」
「俺がつけた?」
「ああ。初めて俺を見つけた時に名前を訊かれて「ない」と言ったらつけてくれた」
男があんまり嬉しそうに話すから、覚えていなくて申し訳ない気分になる。
「それいつの話?」
「敏明が五歳の時だ」
「ごめん。俺、なんてつけた?」
訊きにくかったが仕方ない。
男は誇らしく告げた。
「プテロダクティルス」
俺は今すぐタイムマシンで過去に戻って、五歳の俺にその名前はやめろと言ってやりたくなった。
勘弁してくれ。見えないならまだしも実在する妖怪と一緒に住むなんてありえない。
いくら俺がお人好しでもそれは無理だ。
盛大なため息をついたとき「敏明、起きてるか?」と襖が開いた。おそるおそる顔を上げると男が立っていた。
「なんか、光ってる?」
「うまい生気をたっぷりもらったからな」
舌なめずりしそうな様子で俺を見るから、一気に頬が熱くなった。
「その話はするな」
幽霊のようだった男はいまや黒髪が光を弾いて、晴れ晴れと笑う顔はつやつやだ。
「えーと、これからもここに住むつもり?」
「当然だろう」
「よその家に行く気はない?」
「なぜ?」
驚いた顔をするから俺は返事に困る。
迷惑だって言っていいのか?
…直球過ぎるか。
「さっき話したけど、この家は俺が住むことになったんだ」
「ああ、敏明が一緒なんてとても嬉しい」
「いや、えーと。俺としては一人暮らしのつもりだから、困ると言うか」
「大丈夫だ。他の人に俺は見えない」
「あー、他人からどう見えるかという話じゃなくて」
「何か問題なのか?」
男は当然ここにいるものと思っている。
そうだよな、俺よりずっと長くここで暮らしてるんだから。
「えーと、あんたは名前はあるのか?」
さっきから呼びにくくて仕方ないのでそう訊ねた。
「敏明がつけただろ」
「俺がつけた?」
「ああ。初めて俺を見つけた時に名前を訊かれて「ない」と言ったらつけてくれた」
男があんまり嬉しそうに話すから、覚えていなくて申し訳ない気分になる。
「それいつの話?」
「敏明が五歳の時だ」
「ごめん。俺、なんてつけた?」
訊きにくかったが仕方ない。
男は誇らしく告げた。
「プテロダクティルス」
俺は今すぐタイムマシンで過去に戻って、五歳の俺にその名前はやめろと言ってやりたくなった。
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