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「アキト、素敵だ…」
 初めて見る加賀美の裸体に、リカルドはため息をついた。

 加賀美は出し惜しみしなかった。今まで散々焦らしたのが嘘のように、リカルドの求めに応じて素直に服を脱ぎ捨てた。

 料理人は意外に体力勝負だ。食材や料理がたっぷり入った鍋など重い物も運ぶし、長時間の立ち仕事で自然に鍛えられている。

 きれいに筋肉のついた細身の体にリカルドは隅々まで口づけて、舌でも手でも味わった。

 どういう風の吹き回しなのかは知らない。

 熟成期間が終了したのか、あるいは何度かデートして「それなりに知り合った」と認定したのか。もしかしたら、ただの気まぐれということもあるだろう。

 何でもよかった。
 欲しかったごちそうを目の前に出されて、手を出さないほどリカルドは我慢強くはない。

「あ、はっ…、もっと」
 加賀美は両腕を巻きつけてリカルドの体を引き寄せた。

「もっと? こう?」
「んっ、あ…」

 首筋から鎖骨へと口づけを落とす。

 リカルドの情熱的な口づけにいくらでも応えてきて、奔放に快楽を得る姿に嫌でも煽られる。素直に感じて目元を染めた表情が、壮絶なくらい色っぽかった。



「あ、あっ、リカルドっ…」

 喘ぎ交じりに切なく呼ぶと、ぐっと力強く突き上げられた。

 焦らした反動なのか、リカルドは性急に求めてきた。初めて会った時の上品な口づけより、今みたいに荒々しくされるほうが加賀美の好みだ。

 ほらね、熟成させたほうがうまくなっただろ?
 もっと強くねだって来いよ。

 加賀美の上から両腕をついたリカルドに微笑みかけて挑発すると、リカルドは噛みつくようなキスをした。

 淫らな音が部屋に響く。奪い合うようなキスを交わしながら、加賀美の体を奥まで暴こうと腰を打ちつける。

 初日に寝ていたら、きっとこんなセックスじゃなかったはずだ。

「きれいな色だね」
 吸い上げて色づいた乳首を指先で弄ばれて、加賀美は息を乱れさせる。

 じんじんと痺れのようなもどかしい快感が広がっていく。

「は、あぁ、そこ…」
「ここ? これがいい?」

「あっ、ん、いいっ」

 リカルドは感じるところを的確に探し当てて、加賀美を何度も揺さぶって高みに導く。でも頂上までは登らせてくれないで、その手前で手を緩めてしまう。

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