6人目の魔女

Yakijyake

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第二十四話 流れた身の終着点

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私は起きると、だだっ広い平原にいた。風で揺れる若葉色の芝、所々生えている美しい野花。しかし、私は草原の向こうに人影が見えた。青。青。青。その髪、その瞳、その顔。見間違えるはずがない。あれは…あれは…
「お母…様?」
その人はこっちを向いた。紛れもない、あれは私の知っている母だ。良かった。やっと会えた。私は母に手を伸ばす。すると…母はいきなり燃えてしまった。
「あっ…あぁ…」
もう嫌だ。どうして…どうして…
また目覚めてしまった。もう二度と起きないと思ってたのに。結局会えなかった。
私は体に振動を感じて目を覚ました。思い出すはあの日。あの馬車。あの場面。母の涙を文字通り受け止めたあの日を。前と違うのは、私を撫でてくれる優しい人がいないこと。寝たきりの私は起き上がれず、ただ馬の行方に身を任せた。馬車は止まることなく進む。その行く先がどこかなんて気にもならない。でもせめて死ぬ場所ぐらいは選ばせてほしかった。あの時と同じ振動を感じながら私は再び意識を締め出した。
大概、目覚めればあの牢にいる。もし、拾い上げられたのが夢ならば、きっとまた私は寒さで凍え起きるだろう。
でもいつもと違う。明るい。あの牢とは思えぬほど部屋が明るい。それに私は今ベッドに横になっている。そのシーツは柔らかく、暖かかった。ボロボロだった自分の服も綺麗なものになっている。私は今自分の置かれている状況が理解できなかった。少なくとも、ここはあの地下牢じゃないっぽい。でもわからない。油断はできない。どうせ今すぐにでも私を貶めようと部屋に入ってくるはずだ。私は部屋のドアを傍観する。もう体を動かすエネルギーは残っていないが、なんとか首は動かせた。
ドアが空いた。ほら、やっぱり来た。場所を移してもこの世は地獄のまま、そう思っていた。ただ、入ってきた人は城では見たことのない人だった。入ってきた青い髪の毛を纏った女の人と眼があった。その瞬間、女の人はぼろぼろと泣き始めた。
「ベレッタ…よかった…気がついたのね…」
久しぶりに名前で呼ばれた。でも私は特に行動も起こせずただぼーっとしたまま、瞬きをした。この人は誰なのか。なぜ私を知っているのか。でも信用はできなかった。きっとこの人も私を貶し、暴虐を振るい、私という欠陥人間を壊しにくるのだろう。
期待もせずただ横になって時間が過ぎるのを待った。
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