幻影の讃美歌

ごさまる

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第三章

〜過去の記憶〜⑱呪文〜

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《よいか?・・・善が生む・・悪を・・我々の手で・・》

スー・・・・。

遠ざかる声・・薄れていく意識・・。

《お、おいっ!まだ、話しは終わってないっ・・!?待ってくれっ!》

そう、遠ざかる声に必死に叫んだ時だった。

!?ドカッッッ!!ザバァーンッッッ!!

「!?っ」

「・・クスッ・・気~失ってんじゃねぇ~よっ!」

バケツで水を掛けられ、アザゼルの罵声で目を開けた。

「・・・ゴホッ・・ハアハア・・何の真似だ・・これは・・?」

気付くと、ミカエルの体は柱に縛られ、巨大な魔方陣の真ん中で手足の自由を奪われていた。

「・・・・喜べ・・ミカエル・・。
貴様のおかげで俺は・・神の力の一端に触れ・・神々の為に忠誠を尽くす事が出来る・・
この上ない喜びだ・・クスっ!」

「・・・・許さねぇからな・・アザゼル・・」

アザゼルは、ミカエルの目の前に片膝をつき、しゃがみこんだ。

ニヤけた顔でミカエルを見上げ、

「・・善なる神は俺を許し、そして癒す・・
俺にとっての《正義》そのものなんだよ!」

「アザゼル貴様っ!・・・・ちくしょうっ!!!」

ガシッガシッガシッ!!

縛られた腕を必死に動かし、抵抗するミカエル。

すると、魔方陣を取り囲んだ天使神達が、ミカエルに向かって話し始めた。

「・・七人目の天使とは・・我々六人が、足元にも及ばぬ絶大な能力の持ち主となる天使神・・。
全ての天使神の頂点・・。」

「ハアハア・・てめえら絶対、許さねぇからな・・!!」

「フフ・・貴様の許しなど、初めからこうてはいない。」

ブワッッッ!!

瞬く間に六人の天使神ごと、魔方陣が眩しい光に包まれた。

「ハッハハハっ!!   いよいよだ・・ミカエル!俺達は、光に守られ・・そして光に導かれし者たち。
さあっ!! 神にその身をゆだねろっ!ハッハハハっ!」

ミカエルの足元に片ひざをつき、儀式の始まりを告げるアザゼル。

「ちくしょうっ!離しやがれっ!!!」

必死に身をよじりながら、なんとか逃れようとするミカエルの姿。

「・・無駄な抵抗だ・・諦めろよ、ミカエル・・」

アザゼルが呟くと同時に、六人の天使神が立ち上がり大きな声で呪文を唱え始めた。

「天界の法則は、光を生み・・全てを照らす善となる。
善なる光より照らされ生まれ落ちた影・・すなわち闇は・・天界の法則によって裁かれる・・。」

六人の天使神達によって呪文が唱えられ、強烈な光の柱が上空から、ミカエルの頭上に降り注いだ。

ブワッッッッッッッッッッ!! !! !!

「!?う・・ワアアアアアッッッッー ー!! !!」

バチッバチッバチッッッッッ!!!!!!

あっという間に降り注いだ光の柱は、強烈な稲妻をミカエルの体に落としてゆく。








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