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第7章 霊感兄妹の決意と怪物たちの決意
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その場でしゃがみ込んだ小夜は幽霊の彼らに追いつめられていた。
こんな事になるくらいなら皇兄妹たちと行動していればよかったと後悔してしまう。
「これって、あの時の……」
小夜が雨宿りするためにここに来たことを思い出す。
あの頃は幻を見せられ、恐怖におちていって……感情がおかしくなりそうだった。
「もうやめて……あなたたちはもう生きてないのよ!」
叫ぶ小夜に幽霊たちは文句を言う。
『嘘をつくな。君は僕たちと同じになる運命……』
『許せない……なんでお前は生きているんだ』
『やっと理解ができる子だと思っていたのに……残念だよ』
負の感情がこの城を狂わせる……彼らも幻であってほしいと願っていた。
彼らの身体は青白い色から赤色の魂へと変化していた。
「……お願い、だれか助けてっ」
幽霊たちが私を攻撃しようとしたとき。
高笑い、獣のうなり声が耳に響いた。
人影がぬっと現れそこにはお姫様抱っこをしていた女の子の姿が。
「みんな!? どうしてここに……」
少女たちの悲しそうな顔、怪物の男たちは不気味に笑う。
それを見た幽霊たちは悲鳴をあげていた。
『な、なぜ……信じられん!』
幽霊たちは小夜の方にかくれた。
皇兄妹たちが見つけた宝を小夜に見せる。
ペンダント、アミレットリング、懐中時計。
それと皇兄妹たちのうなじに刻まれたマークが輝きだす。
「それは……」
「小夜さん。彼らは幻だよ!」
「一番苦しんでいるのはあなたですわ」
「だからいつまでたっても成仏できないな、小夜」
「ならば、こいつをくらえ! はあっ!」
小夜が背後を振り向くといつの間にか男性の姿は消えていた。
その瞬間、大我が小夜の額に六芒星が描かれた御札をはり付けた。
そして小夜の姿が、どんどんすけていくことを知り叫ぶ。
『私……もう生きていないの? いやあああああああ』
なぜ彼女たちがその小物を持っているのか。
それよりも気になったのは自分の姿。
『教えて……どうして私が生きていないって分かったの?』
兄妹たちがうつむき、怪物たちの方を見て彼らは強く頷く。
覚悟を決めているようにも感じられる。
小夜は言葉が出なくなった。
嘘をつくこともできない、この皇兄弟に逆らったら終わりだ。
兄妹たちが小夜に話しかける。
「あのね小夜さん。あなたはここで自分の過去にとらわれすぎて未練が強くなったの。だからイヴァンを怖いと思った」
「ええ。あなたの想いは痛いほど伝わってきます。だからコールもあんなに恐ろしい姿になってしまったのですね」
「ジンから聞いたぞ、お前のたった一つの恐怖心がこの城の気が強くなっていることを」
「お前は何も悪くない。ただ結局は自分から逃げていたことだ。暁明もそこまで鬼じゃねえよ」
四人の瞳は真剣だった。
この城にすくうイヤなものも、自分がいつまでも離れないしがらみも。
彼らは覚悟があるからこそ今ここにいるのだ。
小夜は四人の怪物たちを見る。
(やっぱり恐ろしい、でも)
『正確には私はまだ生きているのよ。そう……生霊なんだから』
生霊とは、幽体のままこの世をさまよう霊のこと。
真実を知った彼らは、ゆっくりと小夜をみつめた。
『幻をみせるとは、中々やるじゃないか。気に入った』
『だがよ。もうお前の未練もここまでだぜ。彼女たちの決意は……マジだ』
『あきらめろ。ここでさらっと己を受け入れるといい』
『僕らは自分を受け入れた。だからもうキミが苦しむ必要はないよ』
怪物たちは本気だった、なぜなら皇兄妹と和解したから。
自分が一番さびしかったと気がつけばよかった。
指先に力が入らない。
小夜はふるえていた。
『ああ……そっか。そういうことだったんだ。苦しかったのは私のほうだったんだ』
涙が止まらない、早く自分の身体にもどりたい。
小夜はちゅうに浮き、八人に手をふる。
『いつか……会えたらいいね。ありがとう、みんな』
皇兄妹はそれぞれの感情にひたりながら声をかけた。
「またね。小夜さん……!」
「無事に身体に戻れますように……天使のご加護があらんことを」
「ったく……しょうがねえな。元気でな」
「今度会ったら、どこか遊びにでも行こうぜ」
泣いているのか、笑っているのかどっちでもよかった。
(私は今、この八人に救われたんだ)
恐怖で泣いていたあの頃がバカらしく思えた。
小夜はこんしんの笑顔で言った。
『ありがとう……!』
けむりのようにすっと消えた。
皇兄妹はふらつき、怪物たちが支え抱きしめる。
こうして、悪夢のような体験が終わったのだ……。
こんな事になるくらいなら皇兄妹たちと行動していればよかったと後悔してしまう。
「これって、あの時の……」
小夜が雨宿りするためにここに来たことを思い出す。
あの頃は幻を見せられ、恐怖におちていって……感情がおかしくなりそうだった。
「もうやめて……あなたたちはもう生きてないのよ!」
叫ぶ小夜に幽霊たちは文句を言う。
『嘘をつくな。君は僕たちと同じになる運命……』
『許せない……なんでお前は生きているんだ』
『やっと理解ができる子だと思っていたのに……残念だよ』
負の感情がこの城を狂わせる……彼らも幻であってほしいと願っていた。
彼らの身体は青白い色から赤色の魂へと変化していた。
「……お願い、だれか助けてっ」
幽霊たちが私を攻撃しようとしたとき。
高笑い、獣のうなり声が耳に響いた。
人影がぬっと現れそこにはお姫様抱っこをしていた女の子の姿が。
「みんな!? どうしてここに……」
少女たちの悲しそうな顔、怪物の男たちは不気味に笑う。
それを見た幽霊たちは悲鳴をあげていた。
『な、なぜ……信じられん!』
幽霊たちは小夜の方にかくれた。
皇兄妹たちが見つけた宝を小夜に見せる。
ペンダント、アミレットリング、懐中時計。
それと皇兄妹たちのうなじに刻まれたマークが輝きだす。
「それは……」
「小夜さん。彼らは幻だよ!」
「一番苦しんでいるのはあなたですわ」
「だからいつまでたっても成仏できないな、小夜」
「ならば、こいつをくらえ! はあっ!」
小夜が背後を振り向くといつの間にか男性の姿は消えていた。
その瞬間、大我が小夜の額に六芒星が描かれた御札をはり付けた。
そして小夜の姿が、どんどんすけていくことを知り叫ぶ。
『私……もう生きていないの? いやあああああああ』
なぜ彼女たちがその小物を持っているのか。
それよりも気になったのは自分の姿。
『教えて……どうして私が生きていないって分かったの?』
兄妹たちがうつむき、怪物たちの方を見て彼らは強く頷く。
覚悟を決めているようにも感じられる。
小夜は言葉が出なくなった。
嘘をつくこともできない、この皇兄弟に逆らったら終わりだ。
兄妹たちが小夜に話しかける。
「あのね小夜さん。あなたはここで自分の過去にとらわれすぎて未練が強くなったの。だからイヴァンを怖いと思った」
「ええ。あなたの想いは痛いほど伝わってきます。だからコールもあんなに恐ろしい姿になってしまったのですね」
「ジンから聞いたぞ、お前のたった一つの恐怖心がこの城の気が強くなっていることを」
「お前は何も悪くない。ただ結局は自分から逃げていたことだ。暁明もそこまで鬼じゃねえよ」
四人の瞳は真剣だった。
この城にすくうイヤなものも、自分がいつまでも離れないしがらみも。
彼らは覚悟があるからこそ今ここにいるのだ。
小夜は四人の怪物たちを見る。
(やっぱり恐ろしい、でも)
『正確には私はまだ生きているのよ。そう……生霊なんだから』
生霊とは、幽体のままこの世をさまよう霊のこと。
真実を知った彼らは、ゆっくりと小夜をみつめた。
『幻をみせるとは、中々やるじゃないか。気に入った』
『だがよ。もうお前の未練もここまでだぜ。彼女たちの決意は……マジだ』
『あきらめろ。ここでさらっと己を受け入れるといい』
『僕らは自分を受け入れた。だからもうキミが苦しむ必要はないよ』
怪物たちは本気だった、なぜなら皇兄妹と和解したから。
自分が一番さびしかったと気がつけばよかった。
指先に力が入らない。
小夜はふるえていた。
『ああ……そっか。そういうことだったんだ。苦しかったのは私のほうだったんだ』
涙が止まらない、早く自分の身体にもどりたい。
小夜はちゅうに浮き、八人に手をふる。
『いつか……会えたらいいね。ありがとう、みんな』
皇兄妹はそれぞれの感情にひたりながら声をかけた。
「またね。小夜さん……!」
「無事に身体に戻れますように……天使のご加護があらんことを」
「ったく……しょうがねえな。元気でな」
「今度会ったら、どこか遊びにでも行こうぜ」
泣いているのか、笑っているのかどっちでもよかった。
(私は今、この八人に救われたんだ)
恐怖で泣いていたあの頃がバカらしく思えた。
小夜はこんしんの笑顔で言った。
『ありがとう……!』
けむりのようにすっと消えた。
皇兄妹はふらつき、怪物たちが支え抱きしめる。
こうして、悪夢のような体験が終わったのだ……。
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