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第6章 古城の真実と怪物たちの真実
大我&暁明の場合
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子ども部屋にやってきた俺と暁明。
あまり多くを語りたくはないがしいて言うなら遊具らしきものは少ない。
児童用かと思っていたが・・・・はなやかな場所ではなかった。
「お前は、ここで遊んでいたのか?」
『うん。一人で遊んでいたの。僕はあの三人よりは子どもだからね』
想像できるが、ここで見つかるお宝は限られてくる。
ガキでも持てそうなやつだろう。
机や椅子、ぬいぐるみなど調べてもそれらしき物は見つからない。
なかなかハードな探し方だ。
「暁明はどうしてここに来たんだ? あんたが来るような場所ではないだろ」
『そうだね。だったら僕がここに来た話をしてあげるよ』
それで宝が見つかれば好都合だ。
俺は暁明の昔話に耳を傾けながら宝のありかを探す。
『僕は元々、香港の山奥で暮らしていたんだ。ある有名なお金持ちの貴族が来るまでは大人しくしていた。見た目がこんなだし。もとろん、子どもたちも僕と遊んではくれなかった。悲しかったよ、僕をキョンシーにして何がしたかったのか。色んな人の生き血を吸ってきたよ? 生きている子が許せなかったし。けど僕も寂しくなってきて闇の中で彷徨っていたらいつの間にかここに来ていた。あの三人が出迎えてくれてまるで家族のように接してくれたんだ。それから小夜ちゃんが現れて僕たちを封印した。……さびしいのは、なれっこだけどね』
この話を聞いて俺は他人事ではないと理解した。
暁明は生きている人間をうらやましく思い、姿を変えてでも欲望を突きつけた。
キョンシーにする理由はよく分かっておらず、息絶えた人間が変化したか道士が呪術を使って使役していた伝説がある。
悲しい出来事とはいえ、昔のことはよく分からない。
「暁明は寂しすぎて霊になったのか。何も知らないでこの姿になって……俺だったらきっと、復讐するぜ」
『わかってくれるんだね。謝謝、大我兄ちゃん。ここに来てからは二人の男女が優しく接してくれたんだ。最初は驚いたけど男の人が僕の為におもちゃやぬいぐるみを渡してくれて、女の人が遊んでくれたのを思い出したよ。でも二人はすぐいなくなって。僕を幽霊だとあの時思ったのかな……』
おそらく二人の男女とは俺らの親だ。
暁明が言う限り、少なくとも恐れず接したのだろう。
「よかったな、理解してもらえた奴がいて」
『うん!』
するとオルゴールから白い光が輝いて俺らは目を瞑る。
「まぶしいっ……!」
『ねえ、あれは』
暁明がオルゴールの方に向かって歩き出す。
俺はそれに続く。
「なんだ……?」
それは六芒星が描かれた白いお札だった。
この古城になぜこのような物がおいてあるのか。
オルゴールの中に隠すなんて、霊でもとり憑いていたのだろうか。
「これがお宝か。とりあえず見つかってよかったな」
『うん。ありがとう』
すると暁明の姿が変化した。
例えるなら小学生から高校生に変化した。
あんまり変わっていないが顔つきが、りりしくなったのだ。
『僕は思ったんだ。君と出会って楽しいと思えたこと。これが僕の本来の姿なんだ。兄さんと呼ばせてくれ』
「マジかよ……」
声が低くなり少年らしさは失っていた。
恐ろしい姿、これがキョンシーだ。
その時、聞き覚えのある女の悲鳴が聴こえてきた。
俺は暁明を見て応える。
「なあ、あれって……小夜だよな?」
『そのようだね。彼女に危機がせまっているみたいだ。行こう』
もしかして小夜のあの表情は嘘ではなかった?
恐怖を押しころしているようだった。
このお札が意味するのは……。
「ああ、なるほどな。だから小夜は寂しい顔をしていたのか」
『兄さんの考察は当たっているよ』
暁明はにこりと微笑み、子ども部屋を後にした。
あまり多くを語りたくはないがしいて言うなら遊具らしきものは少ない。
児童用かと思っていたが・・・・はなやかな場所ではなかった。
「お前は、ここで遊んでいたのか?」
『うん。一人で遊んでいたの。僕はあの三人よりは子どもだからね』
想像できるが、ここで見つかるお宝は限られてくる。
ガキでも持てそうなやつだろう。
机や椅子、ぬいぐるみなど調べてもそれらしき物は見つからない。
なかなかハードな探し方だ。
「暁明はどうしてここに来たんだ? あんたが来るような場所ではないだろ」
『そうだね。だったら僕がここに来た話をしてあげるよ』
それで宝が見つかれば好都合だ。
俺は暁明の昔話に耳を傾けながら宝のありかを探す。
『僕は元々、香港の山奥で暮らしていたんだ。ある有名なお金持ちの貴族が来るまでは大人しくしていた。見た目がこんなだし。もとろん、子どもたちも僕と遊んではくれなかった。悲しかったよ、僕をキョンシーにして何がしたかったのか。色んな人の生き血を吸ってきたよ? 生きている子が許せなかったし。けど僕も寂しくなってきて闇の中で彷徨っていたらいつの間にかここに来ていた。あの三人が出迎えてくれてまるで家族のように接してくれたんだ。それから小夜ちゃんが現れて僕たちを封印した。……さびしいのは、なれっこだけどね』
この話を聞いて俺は他人事ではないと理解した。
暁明は生きている人間をうらやましく思い、姿を変えてでも欲望を突きつけた。
キョンシーにする理由はよく分かっておらず、息絶えた人間が変化したか道士が呪術を使って使役していた伝説がある。
悲しい出来事とはいえ、昔のことはよく分からない。
「暁明は寂しすぎて霊になったのか。何も知らないでこの姿になって……俺だったらきっと、復讐するぜ」
『わかってくれるんだね。謝謝、大我兄ちゃん。ここに来てからは二人の男女が優しく接してくれたんだ。最初は驚いたけど男の人が僕の為におもちゃやぬいぐるみを渡してくれて、女の人が遊んでくれたのを思い出したよ。でも二人はすぐいなくなって。僕を幽霊だとあの時思ったのかな……』
おそらく二人の男女とは俺らの親だ。
暁明が言う限り、少なくとも恐れず接したのだろう。
「よかったな、理解してもらえた奴がいて」
『うん!』
するとオルゴールから白い光が輝いて俺らは目を瞑る。
「まぶしいっ……!」
『ねえ、あれは』
暁明がオルゴールの方に向かって歩き出す。
俺はそれに続く。
「なんだ……?」
それは六芒星が描かれた白いお札だった。
この古城になぜこのような物がおいてあるのか。
オルゴールの中に隠すなんて、霊でもとり憑いていたのだろうか。
「これがお宝か。とりあえず見つかってよかったな」
『うん。ありがとう』
すると暁明の姿が変化した。
例えるなら小学生から高校生に変化した。
あんまり変わっていないが顔つきが、りりしくなったのだ。
『僕は思ったんだ。君と出会って楽しいと思えたこと。これが僕の本来の姿なんだ。兄さんと呼ばせてくれ』
「マジかよ……」
声が低くなり少年らしさは失っていた。
恐ろしい姿、これがキョンシーだ。
その時、聞き覚えのある女の悲鳴が聴こえてきた。
俺は暁明を見て応える。
「なあ、あれって……小夜だよな?」
『そのようだね。彼女に危機がせまっているみたいだ。行こう』
もしかして小夜のあの表情は嘘ではなかった?
恐怖を押しころしているようだった。
このお札が意味するのは……。
「ああ、なるほどな。だから小夜は寂しい顔をしていたのか」
『兄さんの考察は当たっているよ』
暁明はにこりと微笑み、子ども部屋を後にした。
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