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第6章 古城の真実と怪物たちの真実
あやね&イヴァンの場合
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私はイヴァンと一緒に宝探しをするために書斎にやってきた。
「わあっ……! 本棚には色んな本がずらりと並んでいてまるで学校の図書室みたい」
テーブルにはオシャレなイスもある。
「でも、イヴァンはどうしてここに宝があると分かったの?」
『俺が目覚めたとき、ここの主だった男が隠したのを見たのだ。自分はそれが宝に思えてきてね。何を隠していたのかは知らないが、きっと特別な物に違いないと考察した』
「もしかしてお父さんのことかな」
小さいころに教えてくれたんだけど、お父さんは昔から小物や骨董品などを集めるのが趣味。
たとえそれが高いものでも価値のないものでも、意味がある。
私には難しくて分からなかったけれど物を大切にすることの意味を教えてくれた。
こんなにたくさんの本が置いてあるなら、お父さんはどこに隠したのだろう。
それより私はイヴァンのことについてもっと知りたくなってきた。
「お宝を探しながら話してくれると嬉しいのだけれど……」
『俺のことについて? ははっ、あやねは面白いな。何を知りたいのかな?』
「そうだなあ……じゃあどうして私のことを気に入ったの?」
きっとイヴァンのことだから何か特別な理由があるはず。
イヴァンはニコリとほほえみながら私を見る。
お宝を探しながら彼は語り出した。
『元々、俺は数多くの人間の生き血を頂いた。長い年月を生きてきたからな。その頃は悪魔など霊が出やすいという国、あるトランシルヴァニアから追い出されたのだ。子供を見ても怖がられる、女を見ると無性に血が欲しくなる。勿論、男も。深い闇の中をっていたときにここへと来た。その時は二人の日本人が愛し合い幸せな生活を送っていた。チャンスを伺い、彼らの血も頂こうとしたときにはすでに二人の姿は消えていた。俺が吸血鬼だと分かって逃げた可能性もある。しかし彼らがここを去っていった後に何かを隠していったのだ。なんだったかは覚えていない』
私はここまで話を聞いてイヴァンはお母さんとお父さんの姿を見たことがあるのを知る。
「でも・・・・・・あなたの昔話は少し悲しいな、怖がられて……つらかったよね」
他の子には化け物だから当たり前でしょ、と思うけど私はそうは思わない。
「だって……寂しいのは誰だってイヤじゃん」
『ありがとう、そこまで俺を慰めてくれるなんて君が初めてだ。別に俺は好き好んで血を頂いているのではない。おっと話が脱線したな。あやねを初めて見たとき思った、彼女の優しさで癒されようと。他の三人も可愛らしいが君の血を飲んだときは、今までの人間よりとても美味だった、それだけだ』
言い終えると赤い瞳を輝かせ、私を抱きしめ首筋に口づけする。
びっくりしたけど私は逃げもせずに大人しくした。
するとイヴァンは出会った時よりもとても恐ろしい姿になった。
私が少しだけ離れると、彼は背後から肩に両手をおいた。
「これが……あなたの本来の姿なの?」
『そうだ。もう俺から離れるな』
するとテーブルから白い光輝く物を見つけた。
円形の白い宝石がキラキラしている。
「これって……ペンダント? かわいい」
『きっとこれだろう。どれ、俺に貸してみろ』
イヴァンはペンダントを持って私の首にかける。
お宝の正体がわかって、ひと安心。
『とてもにあっている、可愛らしい我が未来の妻よ』
「ありがとう。イヴァン。お話を聞かせてくれて」
『とんでもない、さあ、小夜のところに戻ろうか』
無事にお宝も見つけて私たちは書斎を後にした。
それと同時に悲鳴が聞こえたのを聞き逃さなかった……。
「今の声、小夜さん!?」
『行くぞ。嫌な予感がする』
待っていてね、小夜さん...今から助けるから!
「わあっ……! 本棚には色んな本がずらりと並んでいてまるで学校の図書室みたい」
テーブルにはオシャレなイスもある。
「でも、イヴァンはどうしてここに宝があると分かったの?」
『俺が目覚めたとき、ここの主だった男が隠したのを見たのだ。自分はそれが宝に思えてきてね。何を隠していたのかは知らないが、きっと特別な物に違いないと考察した』
「もしかしてお父さんのことかな」
小さいころに教えてくれたんだけど、お父さんは昔から小物や骨董品などを集めるのが趣味。
たとえそれが高いものでも価値のないものでも、意味がある。
私には難しくて分からなかったけれど物を大切にすることの意味を教えてくれた。
こんなにたくさんの本が置いてあるなら、お父さんはどこに隠したのだろう。
それより私はイヴァンのことについてもっと知りたくなってきた。
「お宝を探しながら話してくれると嬉しいのだけれど……」
『俺のことについて? ははっ、あやねは面白いな。何を知りたいのかな?』
「そうだなあ……じゃあどうして私のことを気に入ったの?」
きっとイヴァンのことだから何か特別な理由があるはず。
イヴァンはニコリとほほえみながら私を見る。
お宝を探しながら彼は語り出した。
『元々、俺は数多くの人間の生き血を頂いた。長い年月を生きてきたからな。その頃は悪魔など霊が出やすいという国、あるトランシルヴァニアから追い出されたのだ。子供を見ても怖がられる、女を見ると無性に血が欲しくなる。勿論、男も。深い闇の中をっていたときにここへと来た。その時は二人の日本人が愛し合い幸せな生活を送っていた。チャンスを伺い、彼らの血も頂こうとしたときにはすでに二人の姿は消えていた。俺が吸血鬼だと分かって逃げた可能性もある。しかし彼らがここを去っていった後に何かを隠していったのだ。なんだったかは覚えていない』
私はここまで話を聞いてイヴァンはお母さんとお父さんの姿を見たことがあるのを知る。
「でも・・・・・・あなたの昔話は少し悲しいな、怖がられて……つらかったよね」
他の子には化け物だから当たり前でしょ、と思うけど私はそうは思わない。
「だって……寂しいのは誰だってイヤじゃん」
『ありがとう、そこまで俺を慰めてくれるなんて君が初めてだ。別に俺は好き好んで血を頂いているのではない。おっと話が脱線したな。あやねを初めて見たとき思った、彼女の優しさで癒されようと。他の三人も可愛らしいが君の血を飲んだときは、今までの人間よりとても美味だった、それだけだ』
言い終えると赤い瞳を輝かせ、私を抱きしめ首筋に口づけする。
びっくりしたけど私は逃げもせずに大人しくした。
するとイヴァンは出会った時よりもとても恐ろしい姿になった。
私が少しだけ離れると、彼は背後から肩に両手をおいた。
「これが……あなたの本来の姿なの?」
『そうだ。もう俺から離れるな』
するとテーブルから白い光輝く物を見つけた。
円形の白い宝石がキラキラしている。
「これって……ペンダント? かわいい」
『きっとこれだろう。どれ、俺に貸してみろ』
イヴァンはペンダントを持って私の首にかける。
お宝の正体がわかって、ひと安心。
『とてもにあっている、可愛らしい我が未来の妻よ』
「ありがとう。イヴァン。お話を聞かせてくれて」
『とんでもない、さあ、小夜のところに戻ろうか』
無事にお宝も見つけて私たちは書斎を後にした。
それと同時に悲鳴が聞こえたのを聞き逃さなかった……。
「今の声、小夜さん!?」
『行くぞ。嫌な予感がする』
待っていてね、小夜さん...今から助けるから!
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