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2.ニューマイホームにご機嫌ななめ

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 時刻は午後の二時半。
荷物を全て片付けた牙狼と心愛はストーカーの玄関のドアで息切れをしていた。
「はぁ・・・・はぁ・・・・・重かった」
「マジかよ・・・・思ったよりもこんな荷物多かったんだな」
業者さんが手伝ってくれたとはいえ、自分の持ち物も管理しなきゃいけない為か力仕事が多かった。
それにしても、ここの家は豪邸ごうていで雰囲気が伝わってくる。
お金持ちの家は主に別荘べっそう洋館ようかんが多い。
「牙狼兄さん、今日からここに住むの?」
「みたいだな。魔女と伯爵も来てねえし・・・・・」
すると背後から声がかかった。
「あら?誰が魔女ですって?」
「ほう・・・・・伯爵とは、ずいぶんと言われようだな?」
「うわっ」
驚いて腰を抜かしたふたりの目の前には、メアリーとブランが立っていた。
ゴシックの赤いワンピースが特徴なセクシーな美女。
黒のジャケットにレザーパンツとロックな私服な特徴のハードボイルドな美男。
だから、二人は魔女と伯爵と呼んでいたのだ。
「こ、こんにちは!メアリーさん、月神牙狼!今日から世話になります!」
「ど、どうも!ブランさん、妹の心愛ですっ!よろしくお願いします!」
冷や汗をかきながら動揺どうようする牙狼と心愛。
ストーカー夫妻はニコニコ笑いながら、あたたかく出迎でむかえてくれた。
「ようこそ。新しい家へ!色々あって疲れたでしょう?おいしい紅茶を入れたから」
「我が家だと思ってくつろいでほしい。ミス・莉緒リオとミスター・裕次郎ゆうじろうの写真を持ってきてくれたね。きっと天国で喜んでいると思うぞ」
牙狼と心愛は家族写真を持ち、二人をにらみつける。
まだ心を許していないのだ、親戚しんせきだから。
(何が喜んでいるんだ、だと?俺らの気持ちもしらないでヘラヘラしやがって)
(そうよ。これだからメアリー魔女とブラン伯爵は信じられない!気持ち悪くなってきたわ)
今更、帰りたくても帰れない。
あの家はもう戻らないし、楽しかった日常さえも。
母の莉緒と父の裕次郎はふたりを優しく厳しく育ててくれた。
実の親がいない苦しみは消えない。
その時、ふたりは窓際まどぎわに何かが見えたような気がした。
(な、なんだあれは)
(ゆ、幽霊なの?)
牙狼と心愛がもう一度窓際を確認する。
「あれ?」
「いない・・・・・気のせいだったのかな」
ふたりはこの家を真面目に疑っていた。
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