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1.不幸の引っ越し

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 引っ越し業者のトラックに乗っている二人の少年少女がいた。
月神牙狼つきがみ がろう心愛ここあ
彼らはであり、小学六年生。
しかし先日、実家が不審火ふしんびによって大火事おおかじになり両親と家を失ってしまった。
「いやー災難さいなんだったね。君たちが無事で本当によかったよ。でも親御おやごさんは本当に残念でしょうがないよ」
トラックの運転手が話すと二人はうつむきながらも言い訳をした。
「いえ。別に俺たちが助かったのはマグレだよ。あとガキ扱いしないでくれ」
「そうです・・・・・お母さんもお父さんも何も悪くない。悪いのは火そのものだから・・・・・」
心愛は涙を必死にこらえようと両手で顔を隠す。
牙狼は悲しそうに泣いている妹の頭を優しく撫でてやった。
「そういえば、俺たちってどこに向かってんだ?」
牙狼が質問すると運転手が説明した。
「ああ。確か・・・・一家いっかだね。わざわざトランシルヴァニアから来てくれたブランさんとドイツ出身のメアリーさんが面倒をみてくれるらしい。日本語が上手なのはたしかだ」
月神家とストーカー家は様々な繋がりをもつ。
なんでも、明治時代に大きな洋館ようかんが建てられたというのだ。
しかし二人は、ブランとメアリーが面倒めんどうを見てくれるのは正直乗り気じゃなかった。
なぜなら・・・・・・。
「わたし、あの人怖い。だって|《《魔女《まじょ》と伯爵はくしゃく》》だもん・・・・・」
「バカ。んなこと俺だってわかってるよ。けどさ、これはもう仕方がないことだろ」
「でも・・・・・」
魔女と伯爵というのは、で本当は優しいのだ。
ただ、感じであって。
「新しい家なんて行きたくない」
「心愛、やめろ。そんな事言ったらまたクラスの奴らにバカにされるぞ」
「いいもん、どうせ学校に行ってもいじられるだけだし」
これから月神双子が向かう家はストーカー家。
お金持ちで裕福ゆうふくな彼らの子どもになると、葬儀そうぎで言われたのだ。
いくら小学生とはいえ、二人はまだ未成年みせいねんだ。
「なれれば簡単なんだからよ。施設しせつに入るよりよっぽどマシだろ」
「それは・・・・・そうだけど。施設はイヤ」
話しているうちにトラックは目的の場所へとついた。
「さぁ、降りてくれ。君たちの新たな生活を心から祈っているよ。荷物を運ぼうか」
「はーい・・・・・・」
情けない返事をした月神双子だった・・・・・・。

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