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第三章:因縁に憑かれた兄妹【因縁の恋想曲】インネン ノ セレナーデ
EP6:憑かれた兄妹の勝負事
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あれから西園寺兄妹の様子が気になったリリカは、書斎内をウロウロしていた。
それを面白がって見ていたリベリオンと、影から現れた亨が話す。
『どうした?娘が落ちつかないなんて珍しいな。もしかして、二人の事が心配か?』
『気持ちはすげぇ分かるけどよ。決断をしなきゃいけないのはあの兄妹だぜ?」
「わかってる。・・・・・ただ、少しだけ嫌な予感がするのよ。一週間の猶予はさすがにマズかったと心の中で反省しているわ」
自分がなんとかする、とは言ったものの本当は憑いている怪異がどれだけ強力か。
幻魔と妖魔、しかも一生戦い続ける相手。
これは西園寺兄妹の身体が限界を迎えるリスクである。
「スロベニアの伝承で尚且つ、神話級の強さを持つ。写真に写っていたのが人の姿。だけれど・・・・・・私ったらどうしてもっと早く気が付かなかったんだろう!」
リリカは一週間の猶予を与えると宣言したが、責任は重い。
依頼者任せでも、失敗は許せない。
ひとつ考えられるのは・・・・・。
(ふたりが性格的におとなしい子と気楽な子でも豹変したら手がつけられないわ。何か策は・・・・・)
その時、ドアがギィーッと音をたてながら開く。
嫌な予感がした。
振り返ると、そこにいたのは西園寺兄妹だった。
だが、どこか様子がおかしい。
妹の朝歌はおどおどしていておとなしい感じだったが、なぜか綺麗な笑みを浮かべている。
兄の凍夜はガラが悪く自由きままな感じだったが、目つきがさらに悪くなり悪い顔をしていた。
「・・・・・朝歌さんと凍夜さんね、なぜ?」
ふたりは約束を破っていた。
そう、朝歌は白いワンピース姿で凍夜は黒のパーカー姿。
リリカはある考えに息詰まる。
「まさか・・・・・・」
そして黙っていたふたりが話し出す。
『リリカさん♡あたし、なんだか我慢できなくなってしまって。その、イメチェンしてみました』
『黄昏、オレ様は今とってもむしゃくしゃしてんだよ。てめぇに会いたくてな』
いつもの西園寺兄妹が、気持ち悪いくらいに別人になっていた。
悔しくなったリリカは舌打ちをすると、ふたりに向かって叫ぶ。
「朝歌さん、凍夜さん。いえ・・・・・クルースニクとクドラク!ふたりを無理矢理こんな目に合わせたのね!」
『あっ!わかりますかぁ?ふふっ、アサカはただアナタと勝負がしたいだけなんですよぉ』
『本当に間抜けだったよ。所詮は人間。俺様がトウヤの心の中で想っていた欲望が強くてなあ。てめぇと闘いたいんだよ』
西園寺兄妹は既に取り憑かれていて、既に本人としての自我を失っていた。
言葉遣いが、二重人格そのもので魔力に憑かれている。
クルースニクとクドラクは朝歌と凍夜を気に入っているらしい。
「油断した私は馬鹿だったわ。あなたたちはいつまでも争い続ける者。いい加減二人から離れなさい。さもないと地獄へと送り込んであげるわ」
ふたりはリリカを見下して馬鹿にしたような目で笑った。
『それはこちらのセリフですよぉ。あたしはお兄ちゃんに勝たなきゃいけないんですぅ。絶対に負けたくないから・・・・・!』
『たかが人間の女に何ができる?俺様は妹と決着をつけ有志を得る。そして二度と俺様に逆らえないようにするためにな・・・・・!』
クルースニクとクドラクは、リリカを煽っていた。
ここまで厄介な怪異だとは思わなかったけれど。
ただ一つだけ、許せない部分があった。
「そう・・・・・そこまで勝負したいのね。いいわ、それなら私にも考えがあるわ」
危険な賭けになりそうだが、ここまで来たからにはやるしかない。
すると、亨は瞳を輝かせリリカに近づく。
まるで自分も参加したいと願う少年のように。
「私と亨、クルースニクとクドラクで勝負しましょう。負けた人が勝った人の条件を必ず守ること。構わないわね?」
「ちなみにオレたちが勝ったらおとなしく、お前らはオレ等に逮捕されることだ。恨みっこナシだぜ?」
クルースニクとクドラクが互いを見つめあい、高笑いをしながら納得した。
朝歌と凍夜を救うにはこれしかない。
『いいですねぇ♡2対2の勝負ですかあ。今回ばかりは協力してくださいね?クドラク?』
『いいだろう。そのバトル受けて立つぜ。クルースニクは気に食わねえが、黄昏と白夜を地獄に落とせるなら本望だ。俺様達が勝ったら、この二人の兄妹に一生取り憑いてやる。そして二度と本人に戻れないようにしてやる』
尋常じゃないオーラが二人を苦しめている。
朝歌と凍夜は今頃ふたりに弄ばれキツイ思いをしているだろう。
なんとしてでも、勝たなければいけない。
リリカと亨は、リベリオンに耳打ちをする。
(作戦なんだけれども、私的には勝てる自信があるものといえばこれなの)
(ふむ。歌、体力勝負、度胸試し、か。しかし相手はスロベニアの吸血鬼どもだ。審判は俺がしよう。二人を見届けなければいけないからな)
(マジかよ。この中だったら歌か度胸試しだな。相手は怪異に憑かれている。無理に引き剝がすと厄介だ。なんだよ?イカサマ、ズルはしないぜ)
三人はこの勝負事がとても厄介事になると確信してしまう。
黄昏リリカ、白夜亨の最大のピンチでもあった。
勝てないではすまない、なんとしてでも勝たなければいけない。
リベリオン・ファントムは吸血鬼の王らしく、ふたりに話しかけた。
『おや、君たちはクドラクとクルースニクだったな。魔界からの刺客か。まさかこの俺の名も忘れているわけではあるまいな?』
『アナタは・・・・・・確か倒すことすら難しいヴァンパイアでしたよねぇ?』
『これはこれは!?リベリオン・ファントム様ではありませんか!失礼、俺様としたことが貴方の名を忘れるなど、とんでもありませんぜ。ヴァンパイアたちの間でも有名だったような』
一瞬、ふたりの足が震えていることに気が付いたリリカと亨は見逃さなかった。
リベリオンは魔界を追放された身、次期魔王候補の一人だ。
その正体は、ヴォクシー。
伝説の吸血鬼で、リリカの母、黄昏有栖と結ばれた男。
現在は人間界で霧島と名乗り、心霊捜査官の刑事で偉い人。
本当の父親はヴォクシーだが、現在はリベリオンだ。
『その勝負事、俺が見てもいいだろうか?審判は必要だろう』
それを面白がって見ていたリベリオンと、影から現れた亨が話す。
『どうした?娘が落ちつかないなんて珍しいな。もしかして、二人の事が心配か?』
『気持ちはすげぇ分かるけどよ。決断をしなきゃいけないのはあの兄妹だぜ?」
「わかってる。・・・・・ただ、少しだけ嫌な予感がするのよ。一週間の猶予はさすがにマズかったと心の中で反省しているわ」
自分がなんとかする、とは言ったものの本当は憑いている怪異がどれだけ強力か。
幻魔と妖魔、しかも一生戦い続ける相手。
これは西園寺兄妹の身体が限界を迎えるリスクである。
「スロベニアの伝承で尚且つ、神話級の強さを持つ。写真に写っていたのが人の姿。だけれど・・・・・・私ったらどうしてもっと早く気が付かなかったんだろう!」
リリカは一週間の猶予を与えると宣言したが、責任は重い。
依頼者任せでも、失敗は許せない。
ひとつ考えられるのは・・・・・。
(ふたりが性格的におとなしい子と気楽な子でも豹変したら手がつけられないわ。何か策は・・・・・)
その時、ドアがギィーッと音をたてながら開く。
嫌な予感がした。
振り返ると、そこにいたのは西園寺兄妹だった。
だが、どこか様子がおかしい。
妹の朝歌はおどおどしていておとなしい感じだったが、なぜか綺麗な笑みを浮かべている。
兄の凍夜はガラが悪く自由きままな感じだったが、目つきがさらに悪くなり悪い顔をしていた。
「・・・・・朝歌さんと凍夜さんね、なぜ?」
ふたりは約束を破っていた。
そう、朝歌は白いワンピース姿で凍夜は黒のパーカー姿。
リリカはある考えに息詰まる。
「まさか・・・・・・」
そして黙っていたふたりが話し出す。
『リリカさん♡あたし、なんだか我慢できなくなってしまって。その、イメチェンしてみました』
『黄昏、オレ様は今とってもむしゃくしゃしてんだよ。てめぇに会いたくてな』
いつもの西園寺兄妹が、気持ち悪いくらいに別人になっていた。
悔しくなったリリカは舌打ちをすると、ふたりに向かって叫ぶ。
「朝歌さん、凍夜さん。いえ・・・・・クルースニクとクドラク!ふたりを無理矢理こんな目に合わせたのね!」
『あっ!わかりますかぁ?ふふっ、アサカはただアナタと勝負がしたいだけなんですよぉ』
『本当に間抜けだったよ。所詮は人間。俺様がトウヤの心の中で想っていた欲望が強くてなあ。てめぇと闘いたいんだよ』
西園寺兄妹は既に取り憑かれていて、既に本人としての自我を失っていた。
言葉遣いが、二重人格そのもので魔力に憑かれている。
クルースニクとクドラクは朝歌と凍夜を気に入っているらしい。
「油断した私は馬鹿だったわ。あなたたちはいつまでも争い続ける者。いい加減二人から離れなさい。さもないと地獄へと送り込んであげるわ」
ふたりはリリカを見下して馬鹿にしたような目で笑った。
『それはこちらのセリフですよぉ。あたしはお兄ちゃんに勝たなきゃいけないんですぅ。絶対に負けたくないから・・・・・!』
『たかが人間の女に何ができる?俺様は妹と決着をつけ有志を得る。そして二度と俺様に逆らえないようにするためにな・・・・・!』
クルースニクとクドラクは、リリカを煽っていた。
ここまで厄介な怪異だとは思わなかったけれど。
ただ一つだけ、許せない部分があった。
「そう・・・・・そこまで勝負したいのね。いいわ、それなら私にも考えがあるわ」
危険な賭けになりそうだが、ここまで来たからにはやるしかない。
すると、亨は瞳を輝かせリリカに近づく。
まるで自分も参加したいと願う少年のように。
「私と亨、クルースニクとクドラクで勝負しましょう。負けた人が勝った人の条件を必ず守ること。構わないわね?」
「ちなみにオレたちが勝ったらおとなしく、お前らはオレ等に逮捕されることだ。恨みっこナシだぜ?」
クルースニクとクドラクが互いを見つめあい、高笑いをしながら納得した。
朝歌と凍夜を救うにはこれしかない。
『いいですねぇ♡2対2の勝負ですかあ。今回ばかりは協力してくださいね?クドラク?』
『いいだろう。そのバトル受けて立つぜ。クルースニクは気に食わねえが、黄昏と白夜を地獄に落とせるなら本望だ。俺様達が勝ったら、この二人の兄妹に一生取り憑いてやる。そして二度と本人に戻れないようにしてやる』
尋常じゃないオーラが二人を苦しめている。
朝歌と凍夜は今頃ふたりに弄ばれキツイ思いをしているだろう。
なんとしてでも、勝たなければいけない。
リリカと亨は、リベリオンに耳打ちをする。
(作戦なんだけれども、私的には勝てる自信があるものといえばこれなの)
(ふむ。歌、体力勝負、度胸試し、か。しかし相手はスロベニアの吸血鬼どもだ。審判は俺がしよう。二人を見届けなければいけないからな)
(マジかよ。この中だったら歌か度胸試しだな。相手は怪異に憑かれている。無理に引き剝がすと厄介だ。なんだよ?イカサマ、ズルはしないぜ)
三人はこの勝負事がとても厄介事になると確信してしまう。
黄昏リリカ、白夜亨の最大のピンチでもあった。
勝てないではすまない、なんとしてでも勝たなければいけない。
リベリオン・ファントムは吸血鬼の王らしく、ふたりに話しかけた。
『おや、君たちはクドラクとクルースニクだったな。魔界からの刺客か。まさかこの俺の名も忘れているわけではあるまいな?』
『アナタは・・・・・・確か倒すことすら難しいヴァンパイアでしたよねぇ?』
『これはこれは!?リベリオン・ファントム様ではありませんか!失礼、俺様としたことが貴方の名を忘れるなど、とんでもありませんぜ。ヴァンパイアたちの間でも有名だったような』
一瞬、ふたりの足が震えていることに気が付いたリリカと亨は見逃さなかった。
リベリオンは魔界を追放された身、次期魔王候補の一人だ。
その正体は、ヴォクシー。
伝説の吸血鬼で、リリカの母、黄昏有栖と結ばれた男。
現在は人間界で霧島と名乗り、心霊捜査官の刑事で偉い人。
本当の父親はヴォクシーだが、現在はリベリオンだ。
『その勝負事、俺が見てもいいだろうか?審判は必要だろう』
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