心霊捜査官の事件簿 依頼者と怪異たちの狂騒曲

幽刻ネオン

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第二章:愛が欲しい妖魔【哀愁の狂走曲】アイシュウ ノ カプリチオ

EP5:重なる瞬間と負の連鎖

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「普通に暮らしていた日常が崩壊して学校に通えなくなり、全てがダメになりました。わたしは孤児院に放り投げられて全てを失いました。誰も信じられなくなって。でもそれではダメだと思い、部屋にあった制服を着てにしてました。けれど・・・・・わたしはまた逃げ出して」
珠理亜は泣きじゃくり、学び舎に普通に通っている生徒たちを恨んでいた。
火事を起こしたのも、珠理亜の仕業だと白状した。
彼女が言うには超能力に目覚めたのが、九歳の頃。
つまり小学生が、中学校の校舎を燃やしてストレスを発散していた。
普通の日常がなくなった哀しみにのみこまれるように。
ありえないような出来事を彼女は無意識にやってしまったのだから。
「だからかもしれません・・・・・。自分には居場所や安心できる寝床もない。わたしを。理想の子どもが欲しかったのでしょう。でもわたしはどうやら邪魔者みたいで育てるのも困難だったと思います。公では不審火で火事が起きたと、犯人はいまだに見つからないようで、ですが何も知らない方がいいのかもしれない・・・・・」
珠理亜の過去がリリカの過去と少しだけ重なり、どちらが重いかと言われたら。
罪を犯した珠理亜の方がよっぽどだ。
九歳の少女が中学校の校舎を燃やすなど不可能、目覚めた力は超能力でも。
(彼女がとてもウソをついているようにはみえない。しかもテレパス少女が私の他にいたなんて。きっと精神年齢はまだ小学生のままでしょうね・・・・・・)
(間違いないぜ。その証拠に反省の色が見える。けどよ、?)
亨の言う通りだ、リリカは何も言えずただ見守ることしかできない。
キースは珠理亜をどう見ているのだろうか。
「あ・・・・すみません。物騒な事を話してしまって。だからわたしはもうどこにも行けません。お話を聞いてくださりありがとうございました。ですからここを去って・・・・・」
するとキースが珠理亜をぎゅっと抱きしめた。
驚くリリカと亨。
「え・・・・?あの?」
『今の話を聞いてこの私がすぐにでも去ると思ったか?よ、むしろ興味が湧いてきた。これが私の求めていた理解者だ・・・・・』
リリカはある事に気が付いた。
キースが珠理亜に向かって娘と言ったのだ、ではなく。
そう、元々の目的はキースの理解者を探すことだった。
たった今、少女が罪を犯したことにより救出することは不可能に近い。
当然のムクイだ、リリカは全てを理解した。
怪異は人間よりも優秀なところがあるのだと、吸血鬼の王ならごもっともだ。
「キース、あなたはその女の子。珠理亜さんを助けるのね?だったら私の出番はここまでよ、あなたの好きにしなさい」
『いいのか?彼女の意思を尊重しなくても』
「簡潔に言うと、珠理亜さんには時間がない、それも居場所探す時間が。このままだと本当に餓死する危険が高い。どうするかはキース次第よ?」
「・・・・・・わたしの事はほっといてください。消えた方がマシなので。それにこのまま今日しぬ予定でしたので」
涙でぐちゃぐちゃの彼女に、キースはマントを翻し彼女を抱きしめる。
そして放った言葉は。
『それよりも、もっと寂しくないところへ行けるぞ?勝手に命を捨てるなんて考えるな。そうだ、私がお前の親になってしてあげよう。なに、身をまかせればいいだけだ』
キースは満足そうに笑い、リリカに感謝した。
(礼なんていらないのに、吸血鬼ってそんなものでしょ?)
リリカは廃校を去り、振り向かず歩き出した。
一人の少女の悲鳴と吸血鬼の高笑いが校舎内で響きわたる。

【後日、書斎にて】
「・・・・・・って事があって彼は彼女と共に魔界へ戻ったわ。どうやら、ウソをついていたみたい。本当は人間の事をもっと知りたかった、ただの旅人だってこと」
『彼らしいやり方だ。アイツには頭が回らん』
ジュリアという少女は、
では、キースがなぜ彼女を怪異だと理解したのか。
それは、マヨイガという怪異であと少しリリカが廃校にいたら。
リリカは無間地獄ムゲンジコクの中、永遠に廃校から脱出することは不可能だったのだという。
例え、ジュリアに

マヨイガ・・・・・主に人ではなく、建築物に取り憑く怪異。マヨイガは人里離れた場所にある館や小屋などに取り憑き、その屋内の空間や物理法則を歪め、迷宮……その名の通り「迷い家」へと変貌させる。そして、偶然その「迷い家」を訪れた人々を閉じ込める
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