12 / 19
第二章:愛が欲しい妖魔【哀愁の狂走曲】アイシュウ ノ カプリチオ
EP4:少女の正体
しおりを挟む
床がギシギシと耳障りな音を立てる。
どこもかしこも、窓はひび割れイスや机が散乱していた。
教室だったであろう部屋も独特な木材の強い匂いがする。
懐中電灯を持ちながら探索する二人。
人間であるリリカは霊感が強く、視えないモノまで視えてしまう。
吸血鬼の王であるキースは、歩いた瞬間から血の匂いが散乱し場を一気に不気味に変える。
「いないわね、そう簡単には現れないか」
『生きていようが、そうでなくても必ず彼女を見つけてみせる。さすがの私でも我慢ができないものだ』
「だからって私の血を頂いたって無駄よ。私には退魔の血が流れているんですもの。あなたにとっては毒にすぎないわ」
『それは乙女の血を汚す訳にはいかない、という言い訳かな?友は普通に頂いているのだろう。矛盾しているではないか』
言い訳タイムが続き、二人はお互いのプライドを捨てることができない。
すると、コツコツとローファーの音が聴こえた。
気配に気づくリリカとキースが背後を振り返る。
そこにいたのは、制服姿の少女だった。
どこか痩せていて顔が青白く凛とした瞳に、緑色の綺麗なロングヘアー。
彼女が笑っているようにはとてもみえなかった。
「もしかして、あなたが噂されている家出少女?はじめまして」
『お初にお目にかかる、ああなんて君はとても可愛らしいのだろうか』
二人が挨拶し、少女もお辞儀をして挨拶した。
「はじめまして。えっと・・・・・お名前は?」
「心霊捜査官の黄昏リリカよ。あなたを助けに来ました」
『キース・クラックだ。魔界から来た最恐吸血鬼。いごお見知りおきを』
少女は心霊捜査官と最恐吸血鬼というとんでもない人物に出会い思考が一旦停止した。
が、すぐに質問するわけでも驚くわけでもなく普通に自己紹介した。
「なるほど。わたしはジュリアといいます。珠玉の(じゅ)と書いて理科の(理)と書いて亜人の(亜)と書いて珠理亜です。苗字は忘れました」
珠理亜と呼ばれた彼女は二人を見つめて笑った。
そして今からリリカが交渉をはじめようとしたとき。
キースが『私に任せてくれないか』とすごい鬼の形相でリリカを睨みつける。
リリカは「いいけれど、危ないことはしないでね」と頷いた。
こうして不思議な交渉が始まった。
キースから語りだす。
『ジュリア、君はなぜここにいる?まさかそこにいる娘と同じように家出少女と言うことなのだろうか。それとも幽霊なのだろうか。どちらでも構わんが私はどうしても君を助けたい。どんな些細な事でも構わん。この吸血鬼の王である私に全て話してみるといい』
「えーっと、わたしは生きてます・・・・・もうそこまで噂になっていたんですね。実を言うとわたしは孤児院から抜け出してここを住処にしていました。もうあまり何も食べていません。なぜならわたしは捨てられたも同然の人間なので。はい、簡潔に言えば・・・・そうですね」
その瞬間、珠理亜の瞳から大粒の涙があふれ出てきた。
急に窓ガラスが割れて、散乱していたイスが飛んでくる。
「・・・・・・わたしは、超能力が使えるバケモノなんです」
リリカは悲鳴をあげ、珠理亜の姿を疑う。
その時、リリカの影から一人の青年が現れた。
警官帽にブレザー制服、銀髪にピアス付き、腕には包帯を巻いているのが特徴の男。
もう一人の心霊捜査官。
「白夜亨・・・・?なんのつもり?」
「心配になって来てみたらまさかの展開だ。オレたちは少し離れて二人を見守ろうぜ?」
助けに来たのは亨(リョウ)。
半人半魔の魔人で父親譲りの魔力を扱える能力者だ。
とりあえず、亨の言う通りにリリカは離れた。
どこもかしこも、窓はひび割れイスや机が散乱していた。
教室だったであろう部屋も独特な木材の強い匂いがする。
懐中電灯を持ちながら探索する二人。
人間であるリリカは霊感が強く、視えないモノまで視えてしまう。
吸血鬼の王であるキースは、歩いた瞬間から血の匂いが散乱し場を一気に不気味に変える。
「いないわね、そう簡単には現れないか」
『生きていようが、そうでなくても必ず彼女を見つけてみせる。さすがの私でも我慢ができないものだ』
「だからって私の血を頂いたって無駄よ。私には退魔の血が流れているんですもの。あなたにとっては毒にすぎないわ」
『それは乙女の血を汚す訳にはいかない、という言い訳かな?友は普通に頂いているのだろう。矛盾しているではないか』
言い訳タイムが続き、二人はお互いのプライドを捨てることができない。
すると、コツコツとローファーの音が聴こえた。
気配に気づくリリカとキースが背後を振り返る。
そこにいたのは、制服姿の少女だった。
どこか痩せていて顔が青白く凛とした瞳に、緑色の綺麗なロングヘアー。
彼女が笑っているようにはとてもみえなかった。
「もしかして、あなたが噂されている家出少女?はじめまして」
『お初にお目にかかる、ああなんて君はとても可愛らしいのだろうか』
二人が挨拶し、少女もお辞儀をして挨拶した。
「はじめまして。えっと・・・・・お名前は?」
「心霊捜査官の黄昏リリカよ。あなたを助けに来ました」
『キース・クラックだ。魔界から来た最恐吸血鬼。いごお見知りおきを』
少女は心霊捜査官と最恐吸血鬼というとんでもない人物に出会い思考が一旦停止した。
が、すぐに質問するわけでも驚くわけでもなく普通に自己紹介した。
「なるほど。わたしはジュリアといいます。珠玉の(じゅ)と書いて理科の(理)と書いて亜人の(亜)と書いて珠理亜です。苗字は忘れました」
珠理亜と呼ばれた彼女は二人を見つめて笑った。
そして今からリリカが交渉をはじめようとしたとき。
キースが『私に任せてくれないか』とすごい鬼の形相でリリカを睨みつける。
リリカは「いいけれど、危ないことはしないでね」と頷いた。
こうして不思議な交渉が始まった。
キースから語りだす。
『ジュリア、君はなぜここにいる?まさかそこにいる娘と同じように家出少女と言うことなのだろうか。それとも幽霊なのだろうか。どちらでも構わんが私はどうしても君を助けたい。どんな些細な事でも構わん。この吸血鬼の王である私に全て話してみるといい』
「えーっと、わたしは生きてます・・・・・もうそこまで噂になっていたんですね。実を言うとわたしは孤児院から抜け出してここを住処にしていました。もうあまり何も食べていません。なぜならわたしは捨てられたも同然の人間なので。はい、簡潔に言えば・・・・そうですね」
その瞬間、珠理亜の瞳から大粒の涙があふれ出てきた。
急に窓ガラスが割れて、散乱していたイスが飛んでくる。
「・・・・・・わたしは、超能力が使えるバケモノなんです」
リリカは悲鳴をあげ、珠理亜の姿を疑う。
その時、リリカの影から一人の青年が現れた。
警官帽にブレザー制服、銀髪にピアス付き、腕には包帯を巻いているのが特徴の男。
もう一人の心霊捜査官。
「白夜亨・・・・?なんのつもり?」
「心配になって来てみたらまさかの展開だ。オレたちは少し離れて二人を見守ろうぜ?」
助けに来たのは亨(リョウ)。
半人半魔の魔人で父親譲りの魔力を扱える能力者だ。
とりあえず、亨の言う通りにリリカは離れた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
パラサイト/ブランク
羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。
夜葬の村
中岡 始
ホラー
山奥にひっそりと存在する「夜葬の村」。
この村では、死者を普通の墓に埋葬せず、「夜葬」と呼ばれる奇妙な儀式が行われているという。
新聞記者・相沢直人は、その噂の真相を確かめるため、村へ足を踏み入れる。そこでは、村人たちが外部の人間を極端に警戒し、夜ごとに不気味な儀式を執り行っていた。そして村の墓地には、墓石の代わりに木の板が立ち並び、そこには「夜葬された者たち」の名前が刻まれていた。
取材を進めるうちに、村に関わった者たちが次々と奇妙な現象に巻き込まれていく。
山道で道に迷った登山者が見つけたのは、土の中から覗く自分自身の手。
失踪した婚約者を探す女性が辿り着いたのは、彼の名が刻まれた木の墓標。
心霊YouTuberが撮影した白装束の少女は、カメラからも記憶からも完全に消え去る。
村の医者が往診に訪れると、死んだはずの男が「埋めるな」と呟く。
──そしてある日、村は突如として消失する。
再び村を訪れた相沢直人が見たものは、もぬけの殻となった集落と、増え続けた木の板。
そこに刻まれた名前の最後にあったのは、「相沢直人」。
なぜ、自分の名前がここにあるのか?
夜葬された者たちは、どこへ消えたのか?
本当に滅びたのは、村なのか、それとも──
この村では、「死んだ者」は終わらない。
そして、夜葬は今も続いている……。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
究極?のデスゲーム
Algo_Lighter
ホラー
気がつくと、見知らぬ島に集められた参加者たち。
黒いフードを被った謎のゲームマスターが告げる—— 「これは究極のデスゲームだ」。
生き残るのはただ一人。他の者に待つのは"ゲームオーバー"のみ。
次々に始まる試練、迫りくる恐怖、そして消えていく敗者たち。
しかし、ゲームが進むにつれて、どこか違和感を覚え始める主人公・ハル。
このデスゲーム、本当に"命がけ"なのか……?
絶望と笑いが交錯する、予測不能のサバイバルゲームが今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる