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第一章:恋に憑かれた少女【縁の鎮魂歌】エニシ ノ レクイエム
EP5:覚悟を決めた少女
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【廃教会の外➡墓地】
二人は外まで逃げるが、ジャックはまた襲ってくる。
彼は嗅覚が良く琴羽の匂いを覚えてしまった為、どこにいるのかなんてお見通しだ。
琴羽はルー・ガルーの説明を聞いて月影ジャックはもう人間には戻れないという現実にショックを受けていた。
「そんな・・・・月影君。私、何も知らないで・・・・・避けていたなんて・・・・」
「あなたは優しいのね、無理もないわ。ジャックさんも望んで人殺しをするはずがない。狼の本能と故郷でひどい目にあった被害者の一人なのだから」
ジャックは今まで女の子に危害を加えていた訳ではなく、狼の血に逆らえなかったからあんな事をしたのだと推理する琴羽。
罰ゲームでデートしている、なんてもう言えない。
このまま罪悪感を抱いたまま彼と向き合うのはツライだけだ。
琴羽はジャックが生涯孤独だという事を改めて理解した。
『見つけた』
「!?」
リリカと琴羽の目の前にジャックが現れ、足を止める。
袋のネズミ状態だ。
『もう俺様からは逃れられないぜ?俺の正体がそこの女に知られたことで失望しただろ?おとなしく諦めて俺に喰われろよ』
ジャックは既に人間の月影ジャックとしての意思を捨て、ただのルー・ガルーになっていた。
リリカは彼をギロリと睨みつけ、琴羽が顔を青ざめる。
絶対絶命のピンチ。
『なんだよ?恐怖で言葉も出なくなったのか。アハハッ!所詮は人間、俺に勝てるなんて無理なんだよ。リリカとか言ったなあ?捕まえることができんのかよ?』
「黙りなさい、罪のない少女たちの日常を壊した罰は重いわ。本来ならあなたを魔界へ返さないといけないけれど。殺すしかなさそうね、対処法はそれしかないし」
まさかの、倒さないといけないことがリリカの発言から発覚した。
琴羽はショックを受け、ジャックの前に立ちふさがる。
「何をしているの!? やめなさい、琴羽さん。ここから先は私の最後の仕事なの。下がりなさい」
「・・・・・・イヤです。もうこんなの沢山、守られているばかりの女の子なんてイヤ・・・・」
たしかに琴羽は嫌々デートに付き合わされた彼女役だ。
しかし、ルー・ガルーの話を聞いて哀しくなった彼女にはもう覚悟が決まっていた。
『ほう、わざわざ獲物からこっちに来るとはな。コトハ、そろそろ俺も腹ごしらえしたくなってきたぜ』
「琴羽さん、やめて。もう一度言うわ、ルー・ガルーは二度と戻らない怪物よ。月影ジャックではもうないの」
琴羽は涙を流し右手こぶしをぎゅっと握る。
リリカの言うことはごもっともだ、ジャックは狼として話している。
「リリカさん、心配してくれてありがとうございます。でも、私はこんなのは望んでいません。・・・・私は彼の事を本気で助けたい」
琴羽はジャックに近づき優しく抱きしめる。
銀のペンダントがほのかに優しく光輝く。
『ま、まぶしいっ・・・・・コトハ、何をするつもりだ?』
「私、本当はあなたの事、最初からイヤな人だとは想っていません。ずっとクラスで一人座っているだけのあなたが、見ていてしょうがない。声をかけたかった。でも・・・・・クラスのみんなが私をからかって罰ゲームデートするなんて、最初はイヤだったけれど。・・・・・ジャック君だってこんなのは望んでいないよね?」
リリカは琴羽の流す涙が、ただの嘆きの涙ではない事を知る。
ジャックは唸り声をあげるが、琴羽を襲うことはできなかった。
『・・・・・どうしてそこまで俺を拒絶しない?俺はあの女の言う通り、ただのルー・ガルーで化け物だ。確かに彼女たちをめちゃくちゃにしたのは俺だ。だがその時の記憶がない。人狼は一度取り憑いたら死ぬまで逃げられないぞ』
琴羽は首を振り、喉までつまっていた本音を吐き出した。
「思い出したの。去年のミスコンで運が良くて優勝して、目立つようになったけれど。私はイヤだった。自分で挑んだ訳ではなくクラスのみんなが勝手に決めて。それでも、ジャック君は私に話しかけてくれて本当に嬉しかった。だから私は・・・・・その・・・・」
泣きじゃくり言葉がでなくなった琴羽を見て、リリカは溜息をつく。
琴羽は臆病だけれど、勇敢なところもある。
もしかしたら、別の意味で彼に対処できるかもしれないと。
「・・・・・・ねぇ、二人とも。私、気が変わったわ。琴羽さんが本音を話してくれておかげで私の仕事が減ったわ」
「あっ!?ごめんなさいっ、私ったらつい・・・・・」
リリカはトドメの発言を琴羽に言う。
「いいのよ。別に、私だってこんな野蛮なことしたくなかったから。そのかわり、あなたが代わりに彼の面倒をみるのよ?」
二人は外まで逃げるが、ジャックはまた襲ってくる。
彼は嗅覚が良く琴羽の匂いを覚えてしまった為、どこにいるのかなんてお見通しだ。
琴羽はルー・ガルーの説明を聞いて月影ジャックはもう人間には戻れないという現実にショックを受けていた。
「そんな・・・・月影君。私、何も知らないで・・・・・避けていたなんて・・・・」
「あなたは優しいのね、無理もないわ。ジャックさんも望んで人殺しをするはずがない。狼の本能と故郷でひどい目にあった被害者の一人なのだから」
ジャックは今まで女の子に危害を加えていた訳ではなく、狼の血に逆らえなかったからあんな事をしたのだと推理する琴羽。
罰ゲームでデートしている、なんてもう言えない。
このまま罪悪感を抱いたまま彼と向き合うのはツライだけだ。
琴羽はジャックが生涯孤独だという事を改めて理解した。
『見つけた』
「!?」
リリカと琴羽の目の前にジャックが現れ、足を止める。
袋のネズミ状態だ。
『もう俺様からは逃れられないぜ?俺の正体がそこの女に知られたことで失望しただろ?おとなしく諦めて俺に喰われろよ』
ジャックは既に人間の月影ジャックとしての意思を捨て、ただのルー・ガルーになっていた。
リリカは彼をギロリと睨みつけ、琴羽が顔を青ざめる。
絶対絶命のピンチ。
『なんだよ?恐怖で言葉も出なくなったのか。アハハッ!所詮は人間、俺に勝てるなんて無理なんだよ。リリカとか言ったなあ?捕まえることができんのかよ?』
「黙りなさい、罪のない少女たちの日常を壊した罰は重いわ。本来ならあなたを魔界へ返さないといけないけれど。殺すしかなさそうね、対処法はそれしかないし」
まさかの、倒さないといけないことがリリカの発言から発覚した。
琴羽はショックを受け、ジャックの前に立ちふさがる。
「何をしているの!? やめなさい、琴羽さん。ここから先は私の最後の仕事なの。下がりなさい」
「・・・・・・イヤです。もうこんなの沢山、守られているばかりの女の子なんてイヤ・・・・」
たしかに琴羽は嫌々デートに付き合わされた彼女役だ。
しかし、ルー・ガルーの話を聞いて哀しくなった彼女にはもう覚悟が決まっていた。
『ほう、わざわざ獲物からこっちに来るとはな。コトハ、そろそろ俺も腹ごしらえしたくなってきたぜ』
「琴羽さん、やめて。もう一度言うわ、ルー・ガルーは二度と戻らない怪物よ。月影ジャックではもうないの」
琴羽は涙を流し右手こぶしをぎゅっと握る。
リリカの言うことはごもっともだ、ジャックは狼として話している。
「リリカさん、心配してくれてありがとうございます。でも、私はこんなのは望んでいません。・・・・私は彼の事を本気で助けたい」
琴羽はジャックに近づき優しく抱きしめる。
銀のペンダントがほのかに優しく光輝く。
『ま、まぶしいっ・・・・・コトハ、何をするつもりだ?』
「私、本当はあなたの事、最初からイヤな人だとは想っていません。ずっとクラスで一人座っているだけのあなたが、見ていてしょうがない。声をかけたかった。でも・・・・・クラスのみんなが私をからかって罰ゲームデートするなんて、最初はイヤだったけれど。・・・・・ジャック君だってこんなのは望んでいないよね?」
リリカは琴羽の流す涙が、ただの嘆きの涙ではない事を知る。
ジャックは唸り声をあげるが、琴羽を襲うことはできなかった。
『・・・・・どうしてそこまで俺を拒絶しない?俺はあの女の言う通り、ただのルー・ガルーで化け物だ。確かに彼女たちをめちゃくちゃにしたのは俺だ。だがその時の記憶がない。人狼は一度取り憑いたら死ぬまで逃げられないぞ』
琴羽は首を振り、喉までつまっていた本音を吐き出した。
「思い出したの。去年のミスコンで運が良くて優勝して、目立つようになったけれど。私はイヤだった。自分で挑んだ訳ではなくクラスのみんなが勝手に決めて。それでも、ジャック君は私に話しかけてくれて本当に嬉しかった。だから私は・・・・・その・・・・」
泣きじゃくり言葉がでなくなった琴羽を見て、リリカは溜息をつく。
琴羽は臆病だけれど、勇敢なところもある。
もしかしたら、別の意味で彼に対処できるかもしれないと。
「・・・・・・ねぇ、二人とも。私、気が変わったわ。琴羽さんが本音を話してくれておかげで私の仕事が減ったわ」
「あっ!?ごめんなさいっ、私ったらつい・・・・・」
リリカはトドメの発言を琴羽に言う。
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