4 / 19
第一章:恋に憑かれた少女【縁の鎮魂歌】エニシ ノ レクイエム
EP2:罰ゲームはデート
しおりを挟む
琴羽は少しためらっていた。
彼女にうまく伝えられるかどうか。
けれどもう後戻りはできない。
なにしろ、琴羽には時間がないのだから。
「・・・・・今から話すことは全て真実です。信じてもらえないかもしれませんが」
「構わないわ。私は最初からあなたの話に文句を言うつもりはないから。落ちついて話してみてほしい。力になってあげるから」
リリカの真剣な眼差しに、琴羽は心打たれる。
この人ならきっと大丈夫。
琴羽は深呼吸をして、自分を落ちつかせる。
うつむきながら語り始めた。
リリカはメモ帳を準備し、リベリオンは鋭い瞳で彼女を霊視した。
「きっかけは、学校で起こった出来事です。私は去年の文化祭でミスコンがあったのですが、一年生なのになぜか優勝してしまって。自分から立候補したわけでなくクラスの皆が勝手に。そんなある日、同じクラスの男子にいきなりこう言われたんです。「俺とデートしてくれないか?」彼はクラスの中でもイケメンでちょっとやんちゃな子でした。私が去年優勝した事をきっかけに。ですが、クラス内ではアイツとデートするなんて罰ゲームだよねって噂されました。何度も断ったのですが、彼は諦めてくれなくて。なんだか評判が悪いらしく彼と話しているだけで不幸になると言われるくらい。私はどうしてそんな事言うんだろうと思ったんですが・・・・。そしてついに私は逃げられなくなりました。友人と遊ぶ約束をしていたのですが、彼女たちが彼の存在に気づいてついには【デート、かわりにしてよ!】って・・・・。数日後には、友人全員が入院しちゃって。・・・・・・野良犬に噛まれた痕だって言われて。なんだか不気味に思っちゃって。そして明後日、デートすることになりました」
涙を流す琴羽を見て、リリカは理解した。
これはただの恋愛相談ではなさそうだ、聞き込み捜査を慎重にしなくては。
「・・・・・つまり、あなたはデートで何も不幸が起こらないでほしいと想っているのでしょう?」
「えっ・・・・?私はうまく断れるようにしたくてその・・・・・」
「待て、娘よ。琴羽君に何か大事な事を伝えなければいけないな」
リリカはこれまで、怪異にまつわる恋愛相談を引き受けて来なかった為レアケース。
琴羽の気持ちを理解しようと思ったが、思いやりが果たして効果があるのかどうか。
交渉は既に始まっていたのだ。
「失礼。琴羽さん、よければ彼の詳細をもっと詳しく教えてくれないかしら?」
「あっ!すみません。えと・・・・・この人です」
スマホを取り出し、写真を見せる琴羽。
琴羽いわく、友人が撮ってくれたモノらしい。
日本人とは思えない見た目で外国人にも見える。
肌は透き通るくらい綺麗で、カッコいい少年。
ショートの茶髪に青い瞳、服装はロックな私服。
「お名前は?」
「えっと、月影ジャック君と言います、出身がフランス人のクオーターです」
リリカは一瞬、琴羽の発言に何か違和感を感じた。
(お父さん、もしかしてこれって)
(間違いない、怪異絡みだ。琴羽君が現実を知れば辛いどころでは済まないだろう)
二人はジャックの見た目、出身に着目した。
そして、琴羽が言った友人が野良犬に噛まれたこと。
悪い意味ではなく、手がかりは見つかった。
これはストーカーどころではなくなった。
彼女にうまく伝えられるかどうか。
けれどもう後戻りはできない。
なにしろ、琴羽には時間がないのだから。
「・・・・・今から話すことは全て真実です。信じてもらえないかもしれませんが」
「構わないわ。私は最初からあなたの話に文句を言うつもりはないから。落ちついて話してみてほしい。力になってあげるから」
リリカの真剣な眼差しに、琴羽は心打たれる。
この人ならきっと大丈夫。
琴羽は深呼吸をして、自分を落ちつかせる。
うつむきながら語り始めた。
リリカはメモ帳を準備し、リベリオンは鋭い瞳で彼女を霊視した。
「きっかけは、学校で起こった出来事です。私は去年の文化祭でミスコンがあったのですが、一年生なのになぜか優勝してしまって。自分から立候補したわけでなくクラスの皆が勝手に。そんなある日、同じクラスの男子にいきなりこう言われたんです。「俺とデートしてくれないか?」彼はクラスの中でもイケメンでちょっとやんちゃな子でした。私が去年優勝した事をきっかけに。ですが、クラス内ではアイツとデートするなんて罰ゲームだよねって噂されました。何度も断ったのですが、彼は諦めてくれなくて。なんだか評判が悪いらしく彼と話しているだけで不幸になると言われるくらい。私はどうしてそんな事言うんだろうと思ったんですが・・・・。そしてついに私は逃げられなくなりました。友人と遊ぶ約束をしていたのですが、彼女たちが彼の存在に気づいてついには【デート、かわりにしてよ!】って・・・・。数日後には、友人全員が入院しちゃって。・・・・・・野良犬に噛まれた痕だって言われて。なんだか不気味に思っちゃって。そして明後日、デートすることになりました」
涙を流す琴羽を見て、リリカは理解した。
これはただの恋愛相談ではなさそうだ、聞き込み捜査を慎重にしなくては。
「・・・・・つまり、あなたはデートで何も不幸が起こらないでほしいと想っているのでしょう?」
「えっ・・・・?私はうまく断れるようにしたくてその・・・・・」
「待て、娘よ。琴羽君に何か大事な事を伝えなければいけないな」
リリカはこれまで、怪異にまつわる恋愛相談を引き受けて来なかった為レアケース。
琴羽の気持ちを理解しようと思ったが、思いやりが果たして効果があるのかどうか。
交渉は既に始まっていたのだ。
「失礼。琴羽さん、よければ彼の詳細をもっと詳しく教えてくれないかしら?」
「あっ!すみません。えと・・・・・この人です」
スマホを取り出し、写真を見せる琴羽。
琴羽いわく、友人が撮ってくれたモノらしい。
日本人とは思えない見た目で外国人にも見える。
肌は透き通るくらい綺麗で、カッコいい少年。
ショートの茶髪に青い瞳、服装はロックな私服。
「お名前は?」
「えっと、月影ジャック君と言います、出身がフランス人のクオーターです」
リリカは一瞬、琴羽の発言に何か違和感を感じた。
(お父さん、もしかしてこれって)
(間違いない、怪異絡みだ。琴羽君が現実を知れば辛いどころでは済まないだろう)
二人はジャックの見た目、出身に着目した。
そして、琴羽が言った友人が野良犬に噛まれたこと。
悪い意味ではなく、手がかりは見つかった。
これはストーカーどころではなくなった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
パラサイト/ブランク
羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。
夜葬の村
中岡 始
ホラー
山奥にひっそりと存在する「夜葬の村」。
この村では、死者を普通の墓に埋葬せず、「夜葬」と呼ばれる奇妙な儀式が行われているという。
新聞記者・相沢直人は、その噂の真相を確かめるため、村へ足を踏み入れる。そこでは、村人たちが外部の人間を極端に警戒し、夜ごとに不気味な儀式を執り行っていた。そして村の墓地には、墓石の代わりに木の板が立ち並び、そこには「夜葬された者たち」の名前が刻まれていた。
取材を進めるうちに、村に関わった者たちが次々と奇妙な現象に巻き込まれていく。
山道で道に迷った登山者が見つけたのは、土の中から覗く自分自身の手。
失踪した婚約者を探す女性が辿り着いたのは、彼の名が刻まれた木の墓標。
心霊YouTuberが撮影した白装束の少女は、カメラからも記憶からも完全に消え去る。
村の医者が往診に訪れると、死んだはずの男が「埋めるな」と呟く。
──そしてある日、村は突如として消失する。
再び村を訪れた相沢直人が見たものは、もぬけの殻となった集落と、増え続けた木の板。
そこに刻まれた名前の最後にあったのは、「相沢直人」。
なぜ、自分の名前がここにあるのか?
夜葬された者たちは、どこへ消えたのか?
本当に滅びたのは、村なのか、それとも──
この村では、「死んだ者」は終わらない。
そして、夜葬は今も続いている……。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。
究極?のデスゲーム
Algo_Lighter
ホラー
気がつくと、見知らぬ島に集められた参加者たち。
黒いフードを被った謎のゲームマスターが告げる—— 「これは究極のデスゲームだ」。
生き残るのはただ一人。他の者に待つのは"ゲームオーバー"のみ。
次々に始まる試練、迫りくる恐怖、そして消えていく敗者たち。
しかし、ゲームが進むにつれて、どこか違和感を覚え始める主人公・ハル。
このデスゲーム、本当に"命がけ"なのか……?
絶望と笑いが交錯する、予測不能のサバイバルゲームが今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる