心霊捜査官の事件簿 依頼者と怪異たちの狂騒曲

プロローグ

　アンティーク調で洋風な書斎で彼女は、歌う。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花。言わぬが花。うしろの少年だあれ？」
ブレザー制服姿に警官帽が特徴の金髪の少女。
所属は【心理心霊課　サイキック・ファンタズマ】。
署から送られたファイルを読み、語り手がどんな怪異絡みの事件にあったかを捜査する。
だけどその裏は、幽霊、妖、魔、怪異を捜査している特殊な仕事。
代償は、依頼者が体験した怪談話。
黄昏たそがれリリカは、心霊捜査官のひとりで優秀な人材だ。
彼女に解けない怪異がらみの事件なんてない。
隣には、優雅に座る父親の姿が。
彼は魔界から追放されたヴァンパイアの王、リベリオン・ファントム。
リリカの因縁ある過去と決着を付けて、契約したらしい。
見た目は怖いけれど、意外と優しい性格。
保護者的存在でしかもこの書斎の主で、家の偉い方と上では呼んでいる。
果たして今回は依頼が来るのか来ないのか。
「最近は、これといった事件はないから平和でいいわね」
『そんな事を言うのか？俺はさぞかし退屈で仕方がないぞ。そうだ、旅行に行こうではないか』
突然の誘いにリリカはふてくされた顔で断る。
「何を言っているの？お父さん、私が魔界へ旅行に行くなんてごめんなのだけれど。あいにく、ご実家である城に招待される程。私はやわじゃないわ」
「いずれは行くのだ。お前は俺にとっての可愛い娘だと王に言わなければいけない。婚約者はお前で決まりだと、もうその血からは逃れはせん』
リベリオンが追放されたのは、悪いことをした訳ではなく王として婚約者を探すためだ。
リリカにとっては嫌で不愉快で最悪、だから父親で我慢したいと想っている。
今日もこんな感じで娘と父が、にぎやかに話す。
その時、ドアの開く音がした。
「あら、来たのね。ようこそ、心霊捜査官へ」
今宵、リリカは小さな三つの事件に挑む・・・・・。
時系列順に、語っていこう。