40 / 53
40
しおりを挟む
わたしはため息が出そうな状態を堪えつつ、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
この家の人たちとわたしの衛生観念が違うのだと、自分に納得させる。お客様の気持ちがわかるだけにそこの説明をすれば、理解をしてもらえるだろうともう一度自分に言い聞かせる。
「おばさん。お客様がタオルが少ないというのは、わたしも同意見です」
「そうかな? 一枚で足りるでしょ? 」
「人によってどこから身体を拭くかは違うと思います。足から拭きたい人もいるでしょうし、背中から、という人もいると思います。足を拭いた後に、同じタオルで頭は拭きたくないじゃないですか。せめてもう一枚タオルを追加する必要はあると思います」
「そうなると洗うのが大変でしょう?乾くのも時間がかかるし。出来たら一枚で済ませたわ」
「そうですね。確かに乾くのが大変なのは良くないと思います。タオルの追加購入は試験運用の後でしたよね? まだ、買ってないと思っていましたけど」
「まだ買ってないよ。あるものを使っていたから」
「でしたら、バスタオルを諦めて、小さなタオルを二枚にしませんか? 洗うのは少し大変でしょうけど、乾くのは早いと思います」
「そうね」
おばさんはわたしの提案に納得がいかないようだ。しぶしぶといった様子である。ここは説得が必要そうだ。
わたしは少し背伸びをしておばさんの説得にかかる。
「おばさん。手間を考えるのはわかります。一人増えるたびにタオルが増えるのですから、考えただけでもうんざりすると思います。でも、ここはお客様の満足度を上げる方が大事だと思います」
「それはそうなんだろうけど」
理解はできるが納得はしたくないような様子である。その気持ちはわたしも理解できる。分かっていても嫌なものは嫌なのだ。
特に洗濯は手洗いなので手間のかかり方は一番大変だ。そこの仕事が増えるのは拒否感は出るはずだ。
救いはバスタオルよりも小さい分洗いやすいはずだ。そこを説得の材料にしたい。
「おばさん。バスタオルより小さいいから洗いやすいと思います。2枚でバスタオル一枚分だと思えば少しは楽になりませんか? 」
「それはそうなんだろうけど」
いかにもしぶしぶだ。諦めが悪いというか、改善を目指すことになったのだから、そこは諦めてもらって、気持ちよく了承してほしいと思う。
気持ちの持ちようで物事は変わるとわたしは思っている。
「おばさん。気持ちよくいきましょう。笑顔でいた方が何でも上手くいくと思いますよ。やってみましょう? 」
「そうだね。喜んでいてくれる人もいるし。それでうまくいくなら試してみようかな」
「ええ。お願いします」
おばさんは改善してくれる様子なので、試験運用の期間を延長する事になった。
持ち出しが増えることになるが、なるべく情報を集めてこの後の本格運用を上手く回したいと思う。
この家の人たちとわたしの衛生観念が違うのだと、自分に納得させる。お客様の気持ちがわかるだけにそこの説明をすれば、理解をしてもらえるだろうともう一度自分に言い聞かせる。
「おばさん。お客様がタオルが少ないというのは、わたしも同意見です」
「そうかな? 一枚で足りるでしょ? 」
「人によってどこから身体を拭くかは違うと思います。足から拭きたい人もいるでしょうし、背中から、という人もいると思います。足を拭いた後に、同じタオルで頭は拭きたくないじゃないですか。せめてもう一枚タオルを追加する必要はあると思います」
「そうなると洗うのが大変でしょう?乾くのも時間がかかるし。出来たら一枚で済ませたわ」
「そうですね。確かに乾くのが大変なのは良くないと思います。タオルの追加購入は試験運用の後でしたよね? まだ、買ってないと思っていましたけど」
「まだ買ってないよ。あるものを使っていたから」
「でしたら、バスタオルを諦めて、小さなタオルを二枚にしませんか? 洗うのは少し大変でしょうけど、乾くのは早いと思います」
「そうね」
おばさんはわたしの提案に納得がいかないようだ。しぶしぶといった様子である。ここは説得が必要そうだ。
わたしは少し背伸びをしておばさんの説得にかかる。
「おばさん。手間を考えるのはわかります。一人増えるたびにタオルが増えるのですから、考えただけでもうんざりすると思います。でも、ここはお客様の満足度を上げる方が大事だと思います」
「それはそうなんだろうけど」
理解はできるが納得はしたくないような様子である。その気持ちはわたしも理解できる。分かっていても嫌なものは嫌なのだ。
特に洗濯は手洗いなので手間のかかり方は一番大変だ。そこの仕事が増えるのは拒否感は出るはずだ。
救いはバスタオルよりも小さい分洗いやすいはずだ。そこを説得の材料にしたい。
「おばさん。バスタオルより小さいいから洗いやすいと思います。2枚でバスタオル一枚分だと思えば少しは楽になりませんか? 」
「それはそうなんだろうけど」
いかにもしぶしぶだ。諦めが悪いというか、改善を目指すことになったのだから、そこは諦めてもらって、気持ちよく了承してほしいと思う。
気持ちの持ちようで物事は変わるとわたしは思っている。
「おばさん。気持ちよくいきましょう。笑顔でいた方が何でも上手くいくと思いますよ。やってみましょう? 」
「そうだね。喜んでいてくれる人もいるし。それでうまくいくなら試してみようかな」
「ええ。お願いします」
おばさんは改善してくれる様子なので、試験運用の期間を延長する事になった。
持ち出しが増えることになるが、なるべく情報を集めてこの後の本格運用を上手く回したいと思う。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる