9 / 53
9
しおりを挟む
おじさんとわたしはテーブルで向かい合わせになる。
今日、話を聞こうと思っていたけどここまで話が進むとは思っていなかったので、聞き取りがどこまでできるかは不明た。
たが、話している間に疑問は出てくるはず、そこを掘り下げることで問題点を洗い出したいと思っている。
まずは本当にお客さんが減っているかどうかから確認するべきだろう。
そこが問題の起点となるはずだ。
「おじさん。1番嫌な質問だけど、お客さん、本当に減ってるんですか?」
「そうだよね。そこの話はしていなかったね。本当だよ。まだ宿の経営に支障が出るほどではないけどね。確実に少なくなってる」
「やっぱり、新しい宿屋ができたから?」
「そうだと思う。ウチは古いと言っても他の宿屋ほど古くはなかった。まだ、新しい方だったんだ。そこが売りの一つだったんだ。そこまで新しくはないけど、他所よりは新しい、そんな感じだったんだよ」
「なるほど。一番の売りが潰された形ですね」
「耳が痛いけど、その通りだよ」
「少なくなったお客は全員その宿屋に流れたのは間違いなさそうですか?他に行ったりとかは?」
「どうだろう。いちいち聞かないし確認もしないし。もしかしたら他に行った可能性もあるかもしれないな」
おじさんの話ではお客さんの流れを把握してはいないようだ。流れた先でお客さんのニーズがわかるのに。
安さを求めるのか、綺麗さを求めるのか、そこで大きく今後が変わってくるのに。
「この宿屋は食事は提供するんですか?お風呂とかは?」
「食事は朝だけだよ。簡単なやつを頼まれれば用意する形だ」
「出すのは?」
「パンと牛乳かお茶。」
「それだけ?」
おじさんのあまりの返事につい冷たい声が出る。
なるほど、今までは大した事をしなくてもお客を捕まえられていたから、何が必要か考えていなかったようだ。
わたしが客なら何回もリピートはしないかもしれない。宿が新しいだけではいつまでも客は捕まえられないだはず。それは考えなくてもわかると思うんだけど。
「それだけ?って、パルちゃん。随分だね」
「それより、お風呂とかはどうなってるんですか?タオルとかの用意はしてるんですか?」
「いや、風呂はないよ」
「お湯の用意も?」
「それは料金をもらえば用意するよ」
「そうですか」
確かにお湯の用意は薪代がかかるから料金をもらわないと合わないか。そこは理解できる。
タオルの用意は全然ないのか、頼まれれば用意するのか。
ここは交易の始めか終着の場所だから長逗留はないはずだ。
洗濯の需要はないのかな?
そこはどうしているのだろう。
「頼まれればお湯を用意するなら、タオルとかは?洗濯も頼まれればするんですか?」
「洗濯はしないよ?そんな事をする宿屋なんて聞いたことがない。洗濯は大変だしね。家族だけでは賄えないよ。部屋の掃除もあるし」
「そうですか」
「リサちゃん何を考えてるんだい?」
「もちろん、とうしたらお客さんが捕まえられるか。リピートしてくれるか、です」
「リピート?」
「そうです。ここは交易の始めか終着の場所だから、何度も通る場所です。毎回来てもらえれば確実な収益に繋がります。そのお客さんをどれだけ捕まえられるか、そこが肝心なはずです」
「そ、そうだね」
おじさんはわたしの勢いに若干引いている。
熱くなりすぎただろうか?
「おじさんの求めるものはなんですか?」
「求めるもの?」
「そうです。客足が戻るだけで良いのか。戻るだけなら方法はいくらでもあります」
「そうなのかい?戻せるなら戻したいし。増やせるなら増やしたいよ」
「手段は問いませんか?」
「エッ?悪いことではないよね?」
「もちろんです。合法的な事しかしませんよ」
「なんか。その言い方も怖いね」
先ほどと同じようにおじさんは引いている。
この状況の認識の差が大きいのだろう。
今日、話を聞こうと思っていたけどここまで話が進むとは思っていなかったので、聞き取りがどこまでできるかは不明た。
たが、話している間に疑問は出てくるはず、そこを掘り下げることで問題点を洗い出したいと思っている。
まずは本当にお客さんが減っているかどうかから確認するべきだろう。
そこが問題の起点となるはずだ。
「おじさん。1番嫌な質問だけど、お客さん、本当に減ってるんですか?」
「そうだよね。そこの話はしていなかったね。本当だよ。まだ宿の経営に支障が出るほどではないけどね。確実に少なくなってる」
「やっぱり、新しい宿屋ができたから?」
「そうだと思う。ウチは古いと言っても他の宿屋ほど古くはなかった。まだ、新しい方だったんだ。そこが売りの一つだったんだ。そこまで新しくはないけど、他所よりは新しい、そんな感じだったんだよ」
「なるほど。一番の売りが潰された形ですね」
「耳が痛いけど、その通りだよ」
「少なくなったお客は全員その宿屋に流れたのは間違いなさそうですか?他に行ったりとかは?」
「どうだろう。いちいち聞かないし確認もしないし。もしかしたら他に行った可能性もあるかもしれないな」
おじさんの話ではお客さんの流れを把握してはいないようだ。流れた先でお客さんのニーズがわかるのに。
安さを求めるのか、綺麗さを求めるのか、そこで大きく今後が変わってくるのに。
「この宿屋は食事は提供するんですか?お風呂とかは?」
「食事は朝だけだよ。簡単なやつを頼まれれば用意する形だ」
「出すのは?」
「パンと牛乳かお茶。」
「それだけ?」
おじさんのあまりの返事につい冷たい声が出る。
なるほど、今までは大した事をしなくてもお客を捕まえられていたから、何が必要か考えていなかったようだ。
わたしが客なら何回もリピートはしないかもしれない。宿が新しいだけではいつまでも客は捕まえられないだはず。それは考えなくてもわかると思うんだけど。
「それだけ?って、パルちゃん。随分だね」
「それより、お風呂とかはどうなってるんですか?タオルとかの用意はしてるんですか?」
「いや、風呂はないよ」
「お湯の用意も?」
「それは料金をもらえば用意するよ」
「そうですか」
確かにお湯の用意は薪代がかかるから料金をもらわないと合わないか。そこは理解できる。
タオルの用意は全然ないのか、頼まれれば用意するのか。
ここは交易の始めか終着の場所だから長逗留はないはずだ。
洗濯の需要はないのかな?
そこはどうしているのだろう。
「頼まれればお湯を用意するなら、タオルとかは?洗濯も頼まれればするんですか?」
「洗濯はしないよ?そんな事をする宿屋なんて聞いたことがない。洗濯は大変だしね。家族だけでは賄えないよ。部屋の掃除もあるし」
「そうですか」
「リサちゃん何を考えてるんだい?」
「もちろん、とうしたらお客さんが捕まえられるか。リピートしてくれるか、です」
「リピート?」
「そうです。ここは交易の始めか終着の場所だから、何度も通る場所です。毎回来てもらえれば確実な収益に繋がります。そのお客さんをどれだけ捕まえられるか、そこが肝心なはずです」
「そ、そうだね」
おじさんはわたしの勢いに若干引いている。
熱くなりすぎただろうか?
「おじさんの求めるものはなんですか?」
「求めるもの?」
「そうです。客足が戻るだけで良いのか。戻るだけなら方法はいくらでもあります」
「そうなのかい?戻せるなら戻したいし。増やせるなら増やしたいよ」
「手段は問いませんか?」
「エッ?悪いことではないよね?」
「もちろんです。合法的な事しかしませんよ」
「なんか。その言い方も怖いね」
先ほどと同じようにおじさんは引いている。
この状況の認識の差が大きいのだろう。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる