紡ぐ者

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【第9章 自由の国】

第4節 最悪の再会

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「コンパルゴ?!」
そこにはコンパルゴの姿があった。
「いつぶりだ?八岐大蛇の時以来か。少しは強くなったか?」
コンパルゴはこちらを舐め腐ったような喋り方をする。
「なぜお前がここにいる?」
「決まってんだろ。こいつの様子を見に来たんだ。」
コンパルゴはゾンビの塊を指差す。
「お前の仕業か!」
「いいや。俺は指示に従っただけだ。」
「指示?誰のだ。」
コンパルゴは少し考える。
「言ったところで意味ないから言わない。それより、早く殺り合おうぜ。俺が言ったこと、忘れてないよなあ?」
(次会うときは必ず殺す。)
ロビンはあのと時のコンパルゴの言葉を思い出す。
「あの時みたいにはいかねえぞ!」
「やっとその気になったか。おい、後ろの3人!手出しすんなよ!お前らの相手はこいつだ!」
ゾンビの塊が徐々に人の形に変わっていく。
「ぐおおぉぉ!」
ゾンビの塊は巨人のような姿になった。近くの廃ビルよりも大きい。
「まじかよおい!」
ゾンビはその巨体で襲いかかってくる。
「うーん。よし、ジャイアントゾンビと名付けよう。」
「なんでこんなときに名前考えてんだよ!」
「だってそのほうが呼びやすいでしょ?」
玖羽はツッコむのに疲れた。玖羽は目の前のビルを指差す。
「あのビルの近くに行くぞ。ビルに着いたら、お前らはゾンビを引き付けてくれ。俺は上から飛び移る。」
3人はビルの近くまでゾンビを誘導する。


ガンッ!
ロビンとコンパルゴは激しくぶつかり合っている。
「ちったあ強くなったみてえだなぁ!」
コンパルゴの拳が大岩を粉砕する。
(こいつ……どんな腕力してんだよ!)
ガシッ!
コンパルゴはロビンの腕を掴んで、ビルの上に放り投げる。
「これはどうだ?!」
コンパルゴは地面を蹴ってビルの上まで飛び上がる。
(脚力もおかしいなぁ!)
コンパルゴはロビンの上まで飛び上がると、拳をロビンに振り下ろす。
ガキインッ!
ロビンは刀で拳を止めて振り払う。
「ふんっ!」
コンパルゴはもう片方の拳で殴りつけるが、ロビンは体を動かしてコンパルゴの上に行く。
「お返しだ!」
ロビンは刀を振り下ろす。しかしコンパルゴは手で刀を掴む。
「なっ……?!」
「この程度で俺が殺られると思うか?それに、この高さだとお前は落下死するぞ。」
ガッ!
ロビンはコンパルゴの胸ぐらを掴む。
「死ぬと思うか?」
ロビンはコンパルゴの頭を落下しながらビルに打ち付ける。
「ぐっ?!」
コンパルゴはロビンの腕を掴むとビルの壁を突き破って中にロビンは投げ飛ばす。
「そらっ!」
コンパルゴは飛び上がってロビンを踏みつけようとする。ロビンは床を転がって避ける。
ドゴンッッ!
衝撃で床が砕けてコンパルゴは下の階に落ちる。
「おらっ!」
コンパルゴは天井を突き破って戻って来る。
「うおっ?!」
ビルが揺れて傾き始める。先程の衝撃でビルが倒壊する。ロビンは急いで外に出る。
「お前だけ行かせるか!」
コンパルゴもビルの外に出てくる。
ガッ!ガンッ!ズバッ!
2人は傾くビルの上でぶつかり合う。ビルはどんどん地面に近づいている。
(このままだと巻き込まれる。)
「やるぞ九尾!」
「その言葉を待っていた!」
ロビンは九尾を憑依する。
ザクッ!
ロビンは刀をコンパルゴの胸に刺す。
「ちっ、貴様……」
ロビンは刀にコンパルゴを刺したまま空中に飛び上がる。刀を抜くとコンパルゴを地面に向かって踏みつける。
ガンッッッ!
コンパルゴはビルを貫通して地面に打ち付けられる。
「がはっ……」
ロビンはすぐにその場を離れる。1秒も満たないうちに、ビルがコンパルゴに倒れかかる。
ドォォォンッ!
辺りに突風が吹く。
「ハア……ハア……ハア、やったか?」
ドンッッッ!
瓦礫を吹き飛ばしてコンパルゴが現れる。
「ハア…ハア…貴様……よくもやってくれたな!」
コンパルゴは怒り心頭だ。ロビンは身構える。



「青!落雷!」
青はジャイアントゾンビに雷を落とす。しかし効果が薄い。
「図体がでかいから効きづらいぞ。」
「じゃあ飛び移る。近くに向かって。」
青はジャイアントゾンビの近くに向かう。ゾンビは巨大な腕で反撃してくる。
「くそっ、近づくことすらできないか。本来の力があれば……」
ズバッ!
ガーネットが魔法でゾンビの左腕を切り落とす。
「切断魔法……威力が私のとは桁違いね。これが天級。」
「今なら左側から移れる。青、再生する前に。」
「言われなくともわかっている。」
青は左側に回り込む。ゾンビは右腕を伸ばして青を掴もうとする。
「喰らうか!」
青は体を蛇のようにくねられせて避ける。美桜は右腕に飛び移って頭部を目指す。
「うがあぁぁぁ!」
ゾンビは雄叫びをあげて暴れ狂う。
「くっ……うわぁ!」
美桜は落下するがゾンビの体に薙刀を突き刺して空中で停止する。美桜は薙刀にぶら下がっている状態だ。
「よいしょっと。」
美桜は薙刀に飛び乗ると、反動を利用して高く飛ぶ。青が美桜を回収する。美桜は魔力を使って薙刀を手繰り寄せる。
「気をつけろ!地上にゾンビが湧いてるぞ!」
玖羽が2人に注意を促す。ガーネットに一体のゾンビが襲いかかる。
ズバァンッ!
弾丸がゾンビの頭を貫通する。
「ふっふっふっ。大魔統制会 アメリカ支部
銃撃部隊 只今参上!」
ビルの上からマールドが軍帽のつばに手を添えて、声を高らかにして立っていた。左手にはスナイパーライフルを手にしている。
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ!」
「こちらでもゾンビに遭遇してねえ。急遽、対ゾンビ用の弾丸を作ってたのさ。」
「こいつで頭を撃ち抜けば一撃で仕留められよ。まあ、あのデカブツには分かんないけど。」
マールドはスナイパーを構える。
「後方支援は私たちに任せて、君たちはデカブツだけに集中して。あとこれ。」
マールドは玖羽に爆弾を渡す。
「了解、面白くなってきたぜ!」
玖羽はビルの上からゾンビに飛び移る。ゾンビは腕を伸ばして振り払おうとする。
ザクッッ!ザシュッッ!
玖羽はゾンビの腕を切り刻みながら頭部を目指す。
カシッ!ピッ!
「じゃあな。」
玖羽はゾンビの頭頂部に爆弾を仕掛けると、後ろに倒れる。青は美桜の指示で玖羽を回収する。
ドォォォン!
爆弾が爆発して、衝撃でゾンビは地面に手をつく。しかし討伐には至らない。
「う~ん……威力はロケラン並なんだけどな~。」
マールドはそう言いつつ、地上のゾンビの頭を的確に撃ち抜く。




「貴様……よくもやってくたな。」
「しかも、あのゾンビもやられっぱなしか。無性にイライラするぜ。」
コンパルゴは頭をかきながら喋る。ビルの下敷きになったのにも関わらず、まるで気にしていない様子だ。
(こいつ……化け物だろ……)
ロビンは顔には出さないが驚愕する。
「お前に問題だ。今の俺は怒っている。この怒りを全て、"攻撃"に変えたらどうなると思う?」
コンパルゴは空(くう)を殴ろうとする。
「物陰に隠れろ!急げ!」
九尾は何かに気づいて警告する。
「遅え!」
コンパルゴは空を殴る。前方に凄まじい衝撃波が走る。
「うわぁぁぁ!」
ロビンは岩陰に隠れるが、衝撃波の威力が凄まじく、吹き飛ばされてしまう。
ドッ、ドンッ、ドシャアッ!
ロビンは何度も地面に打ち付けられる。
「どうだぁ?すごい威力だろ。感情によって威力が変わるんだ。1番強いのは喜び、弱いのは悲しみだな。」
(これで本気じゃないのか?意味が分かんねえ。)
ロビンはなんとか立ち上がるが、全身に痛みが走る。
(肋骨が折れた。この状態じゃ戦えない。)
コンパルゴはこちらに歩いてくる。
「終わりだな。」
コンパルゴは拳を振り上げる。しかし一向に振り下ろさない。
「ちっ、来たか。どうやらお前を殺すのはお預けのようだ。」
バラバラバラバラ……
どこからかヘリコプターが飛んでくる。ヘリコプターはゾンビの真上に止まると、1人の男性がゾンビ目掛けて落下してくる。
ズシャンッッッ!
男性の一撃でゾンビは地面に倒れる。
「ようやくお出ましか。」
コンパルゴは腕を組んで男性のほうを見ていた。
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