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【第2章 山岳に眠る秘郷】
第4節 予想外の来客
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3人が家に帰ると雫が出迎えた。
「皆様お帰りなさいませ。お疲れでしょう、入浴の準備ができております。ご友人のお洋服も用意してあります。」
「ありがとう雫。じゃあ先に入らせてもらうよ。」
「お待ち下さい。」
雫が春蘭を呼び止める。
「旦那様にお客様が来ております。」
「そうか。じゃあ2人が先に入ってくれ。」
春蘭は客間へと向かった。
「どっちが先に入る?」
ロビンが美桜に聞く。
「そうねぇ~。さっきの模擬戦で勝ったほうが先に入るでいいわ。」
「それ自分が先に入るって言ってるもんだろ。まぁいいけど。」
「お先。」
美桜は浴室へ向かう。
「ではご友人様はこちらに。」
ロビンは雫に連れられ、リビングで待つことにした。
一方客間では……
春蘭は客人と会話する。
「まさか君が来てくれるとは思ってもいなかったなぁ、村崎 樫茂。」
「君こそ、顔を合わせるのは実に何年ぶりだろう。」
「こんなとこまで来たんだ、よほど重要なことを伝えにきたんだろ?」
「まぁそれもあるね。ついでに君と久しぶりに手合わせしたいと思ってね。」
「なるほどな。もうすぐ暗くなる。外に行くぞ。」
2人は外に出る。
2人は神社の土俵まで来た。
「この場所で再び樫茂と剣を交えることになるとはね。」
「次の戦うのはいつになるかわからない。思う存分楽しもう。」
2人は剣を抜き衝突する。激しい攻防が繰り広げられ、剣のぶつかる音が響き渡る。
「見ないうちにまた腕を上げたようだね。春蘭」
「ああお前もだ。樫茂。」
鍔迫り合いをしながら会話をする。
「時間が惜しい。この状況で重要な話をしていいかな?」
「いいよ、しっかり聞いておく。」
樫茂は話を始めた。
「これは先日、僕が担当した任務での話だ。」
「村崎様。あれが対象の魔獣です。」
1人の団員が樫茂に伝える。
「なるほど。あの大きさと魔力の量……上級ですか。」
「いかがなさいますか?」
「僕1人でやる。君は下がりたまえ。」
「はっ!」
団員は下がる。
「さて、速やかに終わらせますか。」
樫茂は魔獣の急所を斬りつける。
「おお、急所を一撃で。」
「流石は村崎様だ。」
(所詮は上級。僕の敵では………。!!!)
なんと魔獣が急所を斬られてなお生きている。その光景に驚きを隠せない樫茂。
「馬鹿な。急所を斬ったはずだ。なのになぜ生きている!」
樫茂はすぐに身を隠す。団員が駆け寄る。
「村崎様。あれは一体?」
「僕にもわからない。急所を斬って死なない魔獣など見たことがない。」
「すぐに本部に連絡しろ!この場は僕が収める。すべての団員は市民の避難にあたってくれ。」
「承知しました。」
団員は樫茂の言う通りに動く。
(とは言ったが………どうする。)
(急所を斬っても死なない魔獣。どう倒せばいい。下手に攻撃するだけではこちらが消耗するだけ。)
魔獣がこちらに気づく。
「隠れることも難しいみたいだな!」
魔獣は口から炎を吐く。建物が燃え、黒煙がふきでる。
「早くしないと被害がどんどん広がるな。」
樫茂は建物を踏み台にし魔獣に斬りかかる。
ガキン!
「っっっ!」
頭部に命中するもとんでもなく硬い。魔獣は頭を振り上げ樫茂を払う。樫茂は地面に着地する。
(なんて硬さだ、腕が痺れた。これほどのものは経験したことがない。)
魔獣が襲い掛かる。詠唱し、こちらに炎の雨を降らせる。
「マズイ!」
樫茂は建物の裏に隠れる。
「本気でいくしかないようだね。」
そう言うと詠唱を始めた。
「大地を巡る純粋なる霊魂よ、我が刀身に宿りて魔を祓わん。」
樫茂の剣に人魂が集まり刀身を覆うように光になった。
「これで……終わらせる。」
魔獣が再び炎の雨を降らせる。樫茂は炎を払いながら魔獣に近づく。瓦礫を踏み台にして飛び魔獣に更に近づく。魔獣は両腕を使い樫茂を払おうとする。
「邪魔だ。」
魔獣の腕を斬り落とす。すぐに頭部へ向かって飛ぶ。
「終わりだ。」
樫茂の一撃が魔獣に深手を負わせる。
グオオオオォォォ!!!
魔獣は凄まじい断末魔をあげながら塵となった。
「なんだったんだあいつは?」
樫茂の頭に疑問が残った。
「といった感じだ。」
「なるほどな。そいつは異例の事態だな。」
2人の剣が激しくぶつかり合う。
「僕が戦ったのは炎を扱う上級の魔獣。これと同じものは何体か見つかっている。どれも急所を攻撃すれば一撃だ。」
「しかし今回のは違った、というわけか。」
「本部はこういった魔獣を"変異個体"として最優先討伐対象に登録した。」
「そこまでするということはかなり危険な存在か。」
樫茂の攻撃を防ぎながら口を開く。
「そうなるね。実際かなりの被害を出したからね。」
「実は本部からもう1つ、重要な情報を聞いたんだ。」
「それはなんだ?」
春蘭が聞く。
「どうやら最近、魔力濃度がかなり不安定みたいなんだ。」
魔力濃度とは……
大地を流れる魔力の濃さ。濃ゆいほど人間や他の生物に悪影響を及ぼす。魔道士など魔力を持つものに対しては影響はない。
「魔力濃度が不安定?濃ゆいは聞いたことあるが不安定なんて……今までないぞ?」
「その件も異例の事態なんだろう。」
「とにかくいくら君でも変異個体と遭遇したら慎重に対処すること。僕が伝えに来たことは以上だ。」
樫茂は間合いをとり剣を納める。
「わかった。気に留めておく。」
春蘭も剣をしまう。
「それじゃ僕はこのあたりでお暇させてもらうよ。」
「そうか。気をつけろよ。」
「ああ、もちろんそのつもりさ。」
樫茂は階段を降りていった。春蘭は自分との時計を見る。
「もうこんな時間か。急いで帰らないと心配される。」
春蘭は屋敷へと向かって走り出した。
「皆様お帰りなさいませ。お疲れでしょう、入浴の準備ができております。ご友人のお洋服も用意してあります。」
「ありがとう雫。じゃあ先に入らせてもらうよ。」
「お待ち下さい。」
雫が春蘭を呼び止める。
「旦那様にお客様が来ております。」
「そうか。じゃあ2人が先に入ってくれ。」
春蘭は客間へと向かった。
「どっちが先に入る?」
ロビンが美桜に聞く。
「そうねぇ~。さっきの模擬戦で勝ったほうが先に入るでいいわ。」
「それ自分が先に入るって言ってるもんだろ。まぁいいけど。」
「お先。」
美桜は浴室へ向かう。
「ではご友人様はこちらに。」
ロビンは雫に連れられ、リビングで待つことにした。
一方客間では……
春蘭は客人と会話する。
「まさか君が来てくれるとは思ってもいなかったなぁ、村崎 樫茂。」
「君こそ、顔を合わせるのは実に何年ぶりだろう。」
「こんなとこまで来たんだ、よほど重要なことを伝えにきたんだろ?」
「まぁそれもあるね。ついでに君と久しぶりに手合わせしたいと思ってね。」
「なるほどな。もうすぐ暗くなる。外に行くぞ。」
2人は外に出る。
2人は神社の土俵まで来た。
「この場所で再び樫茂と剣を交えることになるとはね。」
「次の戦うのはいつになるかわからない。思う存分楽しもう。」
2人は剣を抜き衝突する。激しい攻防が繰り広げられ、剣のぶつかる音が響き渡る。
「見ないうちにまた腕を上げたようだね。春蘭」
「ああお前もだ。樫茂。」
鍔迫り合いをしながら会話をする。
「時間が惜しい。この状況で重要な話をしていいかな?」
「いいよ、しっかり聞いておく。」
樫茂は話を始めた。
「これは先日、僕が担当した任務での話だ。」
「村崎様。あれが対象の魔獣です。」
1人の団員が樫茂に伝える。
「なるほど。あの大きさと魔力の量……上級ですか。」
「いかがなさいますか?」
「僕1人でやる。君は下がりたまえ。」
「はっ!」
団員は下がる。
「さて、速やかに終わらせますか。」
樫茂は魔獣の急所を斬りつける。
「おお、急所を一撃で。」
「流石は村崎様だ。」
(所詮は上級。僕の敵では………。!!!)
なんと魔獣が急所を斬られてなお生きている。その光景に驚きを隠せない樫茂。
「馬鹿な。急所を斬ったはずだ。なのになぜ生きている!」
樫茂はすぐに身を隠す。団員が駆け寄る。
「村崎様。あれは一体?」
「僕にもわからない。急所を斬って死なない魔獣など見たことがない。」
「すぐに本部に連絡しろ!この場は僕が収める。すべての団員は市民の避難にあたってくれ。」
「承知しました。」
団員は樫茂の言う通りに動く。
(とは言ったが………どうする。)
(急所を斬っても死なない魔獣。どう倒せばいい。下手に攻撃するだけではこちらが消耗するだけ。)
魔獣がこちらに気づく。
「隠れることも難しいみたいだな!」
魔獣は口から炎を吐く。建物が燃え、黒煙がふきでる。
「早くしないと被害がどんどん広がるな。」
樫茂は建物を踏み台にし魔獣に斬りかかる。
ガキン!
「っっっ!」
頭部に命中するもとんでもなく硬い。魔獣は頭を振り上げ樫茂を払う。樫茂は地面に着地する。
(なんて硬さだ、腕が痺れた。これほどのものは経験したことがない。)
魔獣が襲い掛かる。詠唱し、こちらに炎の雨を降らせる。
「マズイ!」
樫茂は建物の裏に隠れる。
「本気でいくしかないようだね。」
そう言うと詠唱を始めた。
「大地を巡る純粋なる霊魂よ、我が刀身に宿りて魔を祓わん。」
樫茂の剣に人魂が集まり刀身を覆うように光になった。
「これで……終わらせる。」
魔獣が再び炎の雨を降らせる。樫茂は炎を払いながら魔獣に近づく。瓦礫を踏み台にして飛び魔獣に更に近づく。魔獣は両腕を使い樫茂を払おうとする。
「邪魔だ。」
魔獣の腕を斬り落とす。すぐに頭部へ向かって飛ぶ。
「終わりだ。」
樫茂の一撃が魔獣に深手を負わせる。
グオオオオォォォ!!!
魔獣は凄まじい断末魔をあげながら塵となった。
「なんだったんだあいつは?」
樫茂の頭に疑問が残った。
「といった感じだ。」
「なるほどな。そいつは異例の事態だな。」
2人の剣が激しくぶつかり合う。
「僕が戦ったのは炎を扱う上級の魔獣。これと同じものは何体か見つかっている。どれも急所を攻撃すれば一撃だ。」
「しかし今回のは違った、というわけか。」
「本部はこういった魔獣を"変異個体"として最優先討伐対象に登録した。」
「そこまでするということはかなり危険な存在か。」
樫茂の攻撃を防ぎながら口を開く。
「そうなるね。実際かなりの被害を出したからね。」
「実は本部からもう1つ、重要な情報を聞いたんだ。」
「それはなんだ?」
春蘭が聞く。
「どうやら最近、魔力濃度がかなり不安定みたいなんだ。」
魔力濃度とは……
大地を流れる魔力の濃さ。濃ゆいほど人間や他の生物に悪影響を及ぼす。魔道士など魔力を持つものに対しては影響はない。
「魔力濃度が不安定?濃ゆいは聞いたことあるが不安定なんて……今までないぞ?」
「その件も異例の事態なんだろう。」
「とにかくいくら君でも変異個体と遭遇したら慎重に対処すること。僕が伝えに来たことは以上だ。」
樫茂は間合いをとり剣を納める。
「わかった。気に留めておく。」
春蘭も剣をしまう。
「それじゃ僕はこのあたりでお暇させてもらうよ。」
「そうか。気をつけろよ。」
「ああ、もちろんそのつもりさ。」
樫茂は階段を降りていった。春蘭は自分との時計を見る。
「もうこんな時間か。急いで帰らないと心配される。」
春蘭は屋敷へと向かって走り出した。
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