私のための小説

桜月猫

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79話

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 78話の翌日、公はいきつけの喫茶店にやって来ていた。公の隣には白、向かいには桜・楓・暁の3人がいた。
 なぜ、この状況になったかというと、昨日の白の白状のあとのこと。


          ◇


 公は紅茶を飲んでから舞達を見た。

「そういうことだから、白をこの家に泊めたいんだけどいいか?」
「お兄ちゃんが決めたのなら私はそれでいいよ~」

 笑顔で頷く舞の隣では、苦笑しながらも夢も頷いた。

「わたくしも異存はありませんわ」
「公がそれでいいならいい」

 薫も頷いたので公は白に微笑みかけた。

「だから、ここに泊まればいいよ」

 白は嬉しそうに公に微笑み返した。
 そんな2人の間に薫が割り込むと、公を見つめた。

「そもそも、今、この家の主は公なんだから勝手に決めていいんだよ?」

 薫の言葉に公は顔の前で手を振った。

「いやいや。勝手に決めていいわけないだろ?」

 その言葉を聞いた夢はため息を吐いた。

「お義兄さま。白さんを連れてきた時点でなかなか勝手だとおもいますわよ」

 苦言をていする夢。その考えに同意する薫は頷いていた。

「あ~。それはすまないと思う」

 頭を下げた公。その姿に夢と薫は苦笑した。

「怒っているわけじゃないから謝罪は必要なし」
「そうですね」

 2人は公に微笑みを向けると、頭を上げた公は微笑んだ。

「でも、桜さん達にはちゃんと話をしておいたほうがいいですわよ、お義兄さま」
「あ~」

 公は頭を掻いた。


          ◇


 と、いうわけで今この状況ができあがったわけだ。

「なぁ、作者」

 なに?

「この過去話は78話で書けばよかったんじゃねーの」

 書くのがめんどくさかったんだよね。だから、ボツにして書かないでおこうとしたんだけど、書いたほうが分かりやすいと思ったから書いたんだよ。

「はぁ」

 公は呆れたようにため息を吐いた。

「ねぇ、公」

 桜に呼ばれて公がそちらを向くと、桜がジド目で見つめていた。

「えっと………」

 公が頬を掻いていると、桜はニコリと微笑んだ。

 でも、その笑顔が恐かった。

「作者は黙ってて」

 はい。すいません。

「それで、その子のことを私達に説明してほしいわね」
「そうだな」

 公は咳払いすると桜達と向き合った。

「彼女の名前は白。昨日俺が助けた少女で、今うちで居候しているんだ」

 公の紹介に3人の視線が白に集まった。

「初めまして。公の家に居候している白です」

 白が頭を下げると桜と楓は複雑な表情で白を見ていた。

「こっちの3人は俺の幼なじみの桜と楓と暁」
「初めまして~」

 暁が挨拶をし、桜と楓は軽く会釈をした。

「で、どういう状況で白を居候させることになったの?」

 それを聞かれた公は昨日あったことを3人に話した。

「なるほど」
「相変わらずなのね」
「さすが公だね~」

 桜は少し呆れぎみで、楓は苦笑しており、暁は微笑んでいた。

「なんだよ」
「なんでもないわ」
「そういう表情には見えないけど?」

 すると、桜はまたニコリと微笑んだ。

 だから、そんな表面だけ取り繕った笑顔は恐いって。

「うるさいわね、作者。いちいち入ってこないでくれない」

 作者なんだから、いつでもどこでも入ってくるもんなんだよ。

「やっぱり邪魔ね」

 桜がため息を吐いた。

「まぁ~まぁ~」

 暁が桜をなだめていると、彩が飲み物を持ってきた。

「お待たせしました。コーヒーと紅茶とカフェオレとオレンジジュースです」

 それぞれの前に飲み物を置いた彩は一礼した。

「では、ごゆっくりどうぞ」

 暁になだめられて一息吐いた桜は紅茶を一口飲んだ。

「そういえば、具体的な日数とかが出てこなかったんだけど、白はいつまで公の家に厄介になるつもりなの?」

 少しきつめの言葉で投げかけられた問いに、何も考えていなかった白はすぐに答えられなかった。

「どうしたの?」
「いつまでとかは公と話し合ってこれから決めます」

 その答えに桜は少し呆れていた。

「白。あなたは考えなしに公に助けを求め、考えなしに公の家に厄介になろうとしていない?」

 桜の指摘が図星なのか、白は黙りこんでうつ向いてしまった。

 ハイハイハイ。なんかスゴい暗い方向に進んでるんだけど~?

「また出てきたわね。作者」

 そもそも、公がいいって言ったんだからそれでいいんじゃないの?

「公は変なところでお人好しすぎたり、抱えなくていい面倒ごとを抱え込んだりするから、そこら辺を私達がしっかりとみていてあげないといけないんだから」

 素直に心配してるって言えないのか?

「心配してるわけじゃないわよ」

 いや、心配してないとこんなこと言えないって。

「だから、心配してないって」

 してるね。

「してない」

 してる。

「してない」
「はいはい。そこまで」

 楓が止めに入ったことで桜が止まった。

「作者のペースにのせられたらダメでしょ」
「うっ、ごめん」
「桜」

 楓のおかげで落ち着いた桜に公が話しかけた。

「なに?」
「心配してくれるのはありがたいけど、俺なら大丈夫だって」

 そう言って微笑みかける公。

「だから、心配してないって」

 桜はそっぽを向いてしまった。その姿に暁はニコニコしていた。

「白」

 楓に声をかけられて白は顔を上げた。

「桜の言うことも一理あるってことはわかるわよね」

 優しく話しかける楓の言葉に白は頷いた。

「なら、これから先のことは少しは考えて行動してみて」

 白が力強い目で頷くと、楓は微笑んだ。

「でも、相変わらず公はヒーローしてるよね~」

 暁の言葉に反応したのは白だった。

「昨日からみんな公のことをヒーローって言っていますけど、それってどういうことなんですか?」

 気になっていた白が問いかけると、公は額に手を当てた。

「みんなが勝手に呼んでいるだけだから意味はないぞ」

 意味がないことがここまで広まるわけないだろ。

「うるさい。黙れ作者」

 黙りません。公がヒーローと呼ばれるようになったのはあることがきっかけだったんだ。

「きっかけですか?」

 そう。あれは幼稚園の年長の頃の話。

「おい!まさか!」

 じゃあ早速いってみよー!
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