私のための小説

桜月猫

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69話

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 おっちゃんのチャレンジに成功し、たこ焼きを1皿無料でゲットした公達はさらにもう1皿を買ってみんなで分けて食べると、今度は商店街エリアにやって来た。

「こんばんは」
「おや、公ちゃん達じゃないか。いらっしゃい」

 公達の姿を見た店番のおっちゃんの1人が奥へ消えたかと思うと、おばちゃん達が出て来てあれよあれよというまに公達は奥のスペースに引きずり込まれた。

「この足音は、公お兄ちゃん達ですね」

 奥のスペースには瞳がいた。

「あっ。瞳ちゃんだ~」

 瞳に気づいた舞は抱きついた。

「舞ちゃん。お久しぶりです」
「うん。久しぶりだね」
「お久しぶりですわ」
「夢ちゃんもお久しぶり」

 そのまま3人で話し始めた舞達を見て、おばちゃん達はほっこりしていた。

「今年はいつもの焼きとうもろこしとかき氷にフライドポテトまで始めたんだね」
「えぇ。いいじゃがいもが入ったから加えたのよ」

 おばちゃん達は公達の前に焼きとうもろこしやフライドポテトを並べた。

「おっ、確かにこのフライドポテトうめー」

 早速食べ始めた廻に続き、公達もフライドポテトを食べて「美味しい」と言ったので、おばちゃん達はニコニコしていた。

「そういえば、今年は史ちゃんは来ないのかい?」

 おばちゃんに聞かれて公は初めて史が来ていないことに気づいて夢を見た。そのタイミングで狙ったかのように夢のスマホが鳴った。

「もしもし。今は商店街のテントにいますわ。えぇ。わかりましたわ。待っていますの」

 電話を切ってスマホをしまった夢は公へ微笑みかけた。

「噂をすればというもので、遅れていたお姉さまがもうすぐやって来ますわ」
「そうかい。それじゃあ、かき氷を食べる人」
『はい!』

 女性陣は全員手を上げ、それぞれシロップの味を言っていった。
 おばちゃんはそれを店番をしているおっちゃん達に伝えた。そして、おっちゃん達が出来上がったかき氷を持ってくる頃には史と夏蓮もやって来た。

「おっちゃん。私もイチゴのかき氷をお願い」
「はいよ」

 史の注文を受けておっちゃんはまたかき氷を作りに戻った。

「おっ、史ちゃん到着したんだね」
「どうも」
「ほら、焼きとうもろこしとフライドポテトもあるから食べな」
「いただきます」

 フライドポテトをつまみながら史は公達を見た。

「今年のチャレンジはもうしてきたの?」
「あぁ。3戦して1勝2敗だったな」
「難しかったの?」

 公は今回のチャレンジ内容を教えてあげた。

「なるほどね。確かに難しいね」
「食べきれた公がスゲーよ」

 廻がしみじみと言っていると、水が廻にピースを向けた。

「私と公先輩の愛の勝利っす」

 その言葉を聞いた瞳が公の膝の上に座って抱きついた。さらには両腕に舞と夢、後ろから史まで抱きついた。

「あらあら」

 おばちゃん達が微笑ましく見ている中、公はため息を吐いた。

「確かに協力してチャレンジをクリアしたけど、愛で勝利したわけじゃねーからな」
「なっ!」

 公の言葉に驚いた水は椅子に座って机に倒れ伏すと、「シクシク」と泣き真似を始めた。

「公先輩にとって私は1度っきりの使い捨ての女なんすね」
「わざと誤解されるように言うな」
「公ちゃん。女の子は大事に扱えよ。ほら、史ちゃん。かき氷のイチゴだ」
「ありがとう」
「おっちゃん。水の冗談につきあう必要ないですからね」

 笑いながら手を振って戻っていったおっちゃんを見て公はため息を吐いた。

「冗談だなんてヒドいっす。傷ついた心を癒すためには公先輩からの優しいキスが必要っす」

 顔をあげてうるうるした瞳で水が公を見ていると、桜が水の頭を叩いた。

「冗談もそれくらいにして次行くわよ」
「はいっす」

 あっさりと泣き真似を止めて頷いた水は立ち上がった。

「次いくから離れてくれないか?」

 公が言うと、舞と夢が腕から離れ、膝の上から降りた瞳は公と腕を組んだ。
 みんな瞳の目のことは知っているので、文句を言う人はいなかった。

「それじゃあ、お代はここに置いときますね」

 それぞれが食べた分のお代を置いてテントを出た公達。

「次は参拝してからおみくじ引こ~」

 暁の提案にみんなが頷いたので、本殿のほうへと歩きだした。

「しかし、毎年賑やかだよな」

 先頭で人混みをかき分けている廻が言った。

「年1回の夏祭りなんだし、賑わうのは普通よね」
「賑やかじゃなかったら楽しくないっす!」

 楓や水の答えに「そりゃそうだな」と頷いた廻。そのまま人混みの中を進み、ようやく本殿にたどり着いた。
 みんなそれぞれ賽銭を投げて鈴を鳴らし、二礼・二拍手・一礼をして参拝を終えるとおみくじ売り場にやって来た。

「今年の夏休みの運勢はどうかな~」

 暁がウキウキしながら1番におみくじを引くと、公達もおみくじを引いた。

「せーの」

 暁の合図でみんなが一斉におみくじを広げて中を確認した。その結果。
 大吉
 瞳・翔・楓
 吉
 桜・舞・史・音・羊
 中吉
 公・夢・薫・暁
 小吉
 千佳・萌衣・夏蓮
 末吉
 水・廻

「中吉だ~」
「末吉っすよ」

 普通な結果に微笑んでいる暁に対し、水は少し落ち込んでいた。

「そこまで落ち込む必要ないだろ」

 公が頭を撫でてやると、水は落ち込みから復活して微笑んだ。すると、舞や夢や薫も近づいてきたので公は苦笑しながら撫でてやった。

「ほら、くくりにいくわよ」

 おみくじをくくりつけて立ち去ろうとした時、

「公?」

 名前を呼ばれて振り返ると、そこには如月がいた。

「やっぱり公だ。おーい、睦月、弥生、公がいた」

 如月に呼ばれてやって来た睦月と弥生。

「ホントに公くんだ」
「こんばんは。公」
「こんばんは。みなさんも来ていたんですね」
「えぇ」

 公が3人と挨拶をかわしていると、瞳が腕に強く抱きついた。

「この人達は誰ですか?」

 みんなから鋭かったり、興味津々の視線を受けた公は3人の出会いのことを簡単に説明し、3人にはみんなを紹介した。

「ふ~ん。そんなことがあったんだ」

 どこかとげのある言い方をする史。

「そうなんだよ」

 気にした様子もなく普通に返事をする公に史は軽く息を吐いた。

「公くんはここで何してたの?」
「俺達はおみくじを引いてたんですよ」
「へぇ~おみくじか~。私達も引いてみよ!」

 というわけで、3人がおみくじを引くと、睦月が吉、如月が小吉、弥生が中吉だった。

「私が1番下かー」
「おみくじは競うものじゃないから上とか下とかないと思うよ」
「それもそうか」

 納得した如月はおみくじをくくりつけると公を見た。

「私達も一緒に回ってもいいかな?」

 公がみんなを見ると、微妙な表情の人間もいたけど、それでもみんな頷いたので、睦月達もいれて夏祭りを回り始めた。
 それから、ヨーヨーすくいやりんご飴、型抜きなどを回っているうちに9時になったので、入り口まで戻ると、みんな集まっていた。

「って、なんでそっちは女子の数が増えてるんだよ!」
「流れから」

 首をかしげながら答えた公に庵が詰め寄った。

「なんだよ!その流れって!」
「うるさい」

 蛙が殴ると、庵は頭をかかえてうずくまり、黙りこんだ。
 とはいえ、蛙達も多少は驚いていた。

「夏祭りはどうだった?」
「あぁ。楽しかったぞ」

 龍の答えに長達も頷いた。

「それは良かったよ」
「それじゃあ、解散ということで」

 長の言葉でそれぞれが帰路についた。


          ◇


「って終わり方無茶苦茶じゃねーか?」

 家に帰ってきた公の一言目がそれだった。

 眠いしなんだかめんどくさくなってきてね。

「おい、作者」

 いいのいいの。滅茶苦茶なのは今に始まったことじゃないんだから。

「おい!」

 それじゃあ、この話は終了~。
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