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51話
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テストが終わってゆっくりしていると、雛から「助けてもらったお礼がしたいので、みなさんでお越しください」という連絡をもらったので、公達は雛の家の前にやって来たのだが、そのあまりの豪邸ぶりに戸惑っていた。
「スゴいね~」
「スゴすぎるだろ」
「彼女ってお嬢様だったのね」
なんて感想を公達が話していると、ひとりでに門が開いて執事とメイドが出てきた。
「公様と雛お嬢様をお助けいただいた皆様でございますね?」
「あ、はい」
返事を聞いた執事とメイドが頭を下げた。
「ようこそおいでいただきました。さぁ、こちらへどうぞ」
執事のあとについていくと、そこにはリムジンが停まっていて、メイドが扉を開けた。
しかし、公達にとっては予想外のことなので戸惑うしかなく、それを見たメイドは微笑んだ。
「ここから玄関まで歩いていくと30分以上かかりますので、こちらのリムジンでお送りいたします」
メイドの言葉を理解したようで理解できていない公達だが、乗り込む以外に選択肢がないので乗り込んだ。
すると、執事の運転で静かに走り出すリムジン。そのまま5分程乗っているとリムジンが止まり、扉が開いたので外に出ると目の前には立派な豪邸。そして、玄関前には雛と雛母と数人のメイドが待っていた。
リムジンから降りてきた公を見た雛は顔をほころばせて駆け寄った。
「いらっしゃいませ!公様!」
「えっと、招待してくださってありがとうございます」
「ふふっ。そんな堅苦しい挨拶は必要ないですよ。今回は皆さんに雛を助けていただいたお礼をしたくて呼んだのですから」
そう言った雛母は公達に微笑みかけると、公達の緊張した雰囲気も少しやわらいだ。
「こんなところで立ち話もなんですし、中に入りましょうか」
雛母の一言にメイド達が扉を開けたので、執事を先頭に雛母、雛、公達、メイドの順に中に入り、そのまま応接間までやって来た。
応接間には円卓があり、雛母から時計回りに雛・公・光・蛍・楓・暁・薫・桜という順番に座った。
全員が座ると、メイド達が様々なケーキやお菓子と飲み物が乗ったワゴンを押して入ってきて、ケーキとお菓子はテーブルの中央に置いて、飲み物はそれぞれに聞いていった。そして、全員の前に飲み物が行き渡ると、雛母と雛が立ち上がった。
「今回は雛を痴漢から助けていただきありがとうございました」
「ありがとうございました」
頭を下げた2人。
「頭を上げてください」
公の言葉に頭を上げた2人が公を見ると、公は困ったように苦笑していた。
「この前も言いましたが、たまたま近くに居ただけですし、それにこんなお礼をしていただかなくてもよかったんですよ」
「ふふっ」
「え~と………」
雛母が笑ったことに戸惑う公。
「ごめんなさい。普通は助けた相手がお金持ちってわかると少しくらいは欲が出るはずなのに、公くんの態度がこの前と全く変わらなかったからおかしくてね」
そうだよね。私ならちょっとは期待しちゃったりするわよ。
「そうなってしまうのもわからないことはないですけど、俺の場合、相手がお金持ちか貧乏かで態度を変えるつもりは全くないですから」
公の考えに同意するように桜達も頷いていた。公達のその姿を見て雛母は微笑んだ。
「このケーキやお菓子はみんなへの感謝の気持ちとして取り寄せたものだからどんどん食べていってね」
『いただきます』
公達はケーキやお菓子を食べ始めた。
「そういえば、みんなの名前を教えてもらえるかしら?」
雛母が桜を見たので、桜から順に名前を言っていき、光も少し声が小さいながらも自分の声で名前を言った。
「みんなは同じ学校に通っているのよね?」
「はい。小説高校の1年生です」
「公様は私より1つ年下だったのですね」
驚いている雛に公は苦笑した。
「雛さん。様をつけずに公って呼んでもらえませんか?雛さんのほうが年上なんですしそのほうが俺もしっくりきますから」
「いえ。恩人を呼び捨てになんてできないですよ。それに、私のほうこそ敬語はいりませんし、雛って呼んでほしいです」
逆にそう提案されて公が困っていると、雛母が話に入ってきた。
「皆さん。雛が言った通り、私達には敬語を使う必要はありませんし、雛って呼んであげてくれないかしら」
雛母からもお願いされた公達は頷いた。
「わかったよ。雛」
雛と呼んでもらえて嬉しくなった雛は公の腕に抱きついた。
その姿を見ながら蛍は疑問に思っていたことを雛母に聞いた。
「そういえば、どうして雛は電車で通学してるんですか?」
その答えに興味があった公達は雛母の答えを待った。
「1番の目的は世間を知るためですね。社会に出たときに世間知らずでは生きていけませんから。それに、今回は痴漢にあうという不幸な出来事がありましたが、こうして皆さんと出会うという良い縁もあるので電車で通学させているのですよ」
なるほどと頷いている公達。
すると、扉が開いて男性が入ってきた。その男性は雛が公の腕に抱きついているのを見た瞬間、鬼のような形相で公のもとまでいくと拳を振り上げた。
「兄1さん。私の恩人を殴るつもりなのですか?」
雛に睨み付けられた雛兄1は拳をおろした。
「ごめんなさいね。シスコン息子1が無礼を働いちゃって」
「母さん!私はシスコンではありません!」
公を睨み付けながらも雛兄1は雛母に抗議していた。
「今の状況は誰がどう見てもシスコンよ」
雛兄1は公から視線を外してまだシスコンと言ってくる雛母を見た。
「私は」
「それより、何しに来たの?」
雛兄1の言葉にかぶせながら雛母は問いかけた。
「雛の恩人が来ていると聞いたのでお礼をと思ってきたのです」
「なら、その恩人を殴ろうとしたり睨み付けるのはおかしいことじゃない?」
雛母の正論になにも言い返せない雛兄1は公に頭を下げた。
「すまなかった」
「本当にごめんなさいね。この前あった夫を含め、この家の男達は雛に甘いうえに雛のことになると暴走するから困るのよ」
それに、雛兄1と書いているのを見てもらえばわかるように雛の兄はあと2人いて、2人ともシスコンよ。
"イヤな情報ありがとう"
公は内心ため息を吐いていた。
「兄1さん。ここにいるみんなが私を助けてくれた恩人です」
公の腕に抱きついたまま雛がそう言うと、雛兄1は公達に頭を下げた。
「雛を助けてくれてありがとう」
お礼を言って頭を上げた雛兄1は、すぐに公を睨み付けた。
「兄1さん」
雛兄1の態度に怒った雛が雛兄1を睨み付けた。
「うっ」
雛に睨まれた雛兄1は一瞬怯んだが、『雛は俺が守らないと』というはた迷惑な正義感からすぐに立ち直った。
「いつまで抱きついてるんだ?」
「なんで兄1さんにそんなことを言われないといけないの?」
「それはお前のためを思ってだな」
「兄1さんに思われる必要なんてありません」
「なっ」
雛の拒絶の言葉にショックをうけた雛兄1はすごすごと退散していった。
「さぁ。邪魔者もいなくなったことだし、ケーキやお菓子を楽しんでちょうだい」
雛母の言葉に公達は雛兄1のことなどなかったかのようにケーキやお菓子を楽しんだ。
「スゴいね~」
「スゴすぎるだろ」
「彼女ってお嬢様だったのね」
なんて感想を公達が話していると、ひとりでに門が開いて執事とメイドが出てきた。
「公様と雛お嬢様をお助けいただいた皆様でございますね?」
「あ、はい」
返事を聞いた執事とメイドが頭を下げた。
「ようこそおいでいただきました。さぁ、こちらへどうぞ」
執事のあとについていくと、そこにはリムジンが停まっていて、メイドが扉を開けた。
しかし、公達にとっては予想外のことなので戸惑うしかなく、それを見たメイドは微笑んだ。
「ここから玄関まで歩いていくと30分以上かかりますので、こちらのリムジンでお送りいたします」
メイドの言葉を理解したようで理解できていない公達だが、乗り込む以外に選択肢がないので乗り込んだ。
すると、執事の運転で静かに走り出すリムジン。そのまま5分程乗っているとリムジンが止まり、扉が開いたので外に出ると目の前には立派な豪邸。そして、玄関前には雛と雛母と数人のメイドが待っていた。
リムジンから降りてきた公を見た雛は顔をほころばせて駆け寄った。
「いらっしゃいませ!公様!」
「えっと、招待してくださってありがとうございます」
「ふふっ。そんな堅苦しい挨拶は必要ないですよ。今回は皆さんに雛を助けていただいたお礼をしたくて呼んだのですから」
そう言った雛母は公達に微笑みかけると、公達の緊張した雰囲気も少しやわらいだ。
「こんなところで立ち話もなんですし、中に入りましょうか」
雛母の一言にメイド達が扉を開けたので、執事を先頭に雛母、雛、公達、メイドの順に中に入り、そのまま応接間までやって来た。
応接間には円卓があり、雛母から時計回りに雛・公・光・蛍・楓・暁・薫・桜という順番に座った。
全員が座ると、メイド達が様々なケーキやお菓子と飲み物が乗ったワゴンを押して入ってきて、ケーキとお菓子はテーブルの中央に置いて、飲み物はそれぞれに聞いていった。そして、全員の前に飲み物が行き渡ると、雛母と雛が立ち上がった。
「今回は雛を痴漢から助けていただきありがとうございました」
「ありがとうございました」
頭を下げた2人。
「頭を上げてください」
公の言葉に頭を上げた2人が公を見ると、公は困ったように苦笑していた。
「この前も言いましたが、たまたま近くに居ただけですし、それにこんなお礼をしていただかなくてもよかったんですよ」
「ふふっ」
「え~と………」
雛母が笑ったことに戸惑う公。
「ごめんなさい。普通は助けた相手がお金持ちってわかると少しくらいは欲が出るはずなのに、公くんの態度がこの前と全く変わらなかったからおかしくてね」
そうだよね。私ならちょっとは期待しちゃったりするわよ。
「そうなってしまうのもわからないことはないですけど、俺の場合、相手がお金持ちか貧乏かで態度を変えるつもりは全くないですから」
公の考えに同意するように桜達も頷いていた。公達のその姿を見て雛母は微笑んだ。
「このケーキやお菓子はみんなへの感謝の気持ちとして取り寄せたものだからどんどん食べていってね」
『いただきます』
公達はケーキやお菓子を食べ始めた。
「そういえば、みんなの名前を教えてもらえるかしら?」
雛母が桜を見たので、桜から順に名前を言っていき、光も少し声が小さいながらも自分の声で名前を言った。
「みんなは同じ学校に通っているのよね?」
「はい。小説高校の1年生です」
「公様は私より1つ年下だったのですね」
驚いている雛に公は苦笑した。
「雛さん。様をつけずに公って呼んでもらえませんか?雛さんのほうが年上なんですしそのほうが俺もしっくりきますから」
「いえ。恩人を呼び捨てになんてできないですよ。それに、私のほうこそ敬語はいりませんし、雛って呼んでほしいです」
逆にそう提案されて公が困っていると、雛母が話に入ってきた。
「皆さん。雛が言った通り、私達には敬語を使う必要はありませんし、雛って呼んであげてくれないかしら」
雛母からもお願いされた公達は頷いた。
「わかったよ。雛」
雛と呼んでもらえて嬉しくなった雛は公の腕に抱きついた。
その姿を見ながら蛍は疑問に思っていたことを雛母に聞いた。
「そういえば、どうして雛は電車で通学してるんですか?」
その答えに興味があった公達は雛母の答えを待った。
「1番の目的は世間を知るためですね。社会に出たときに世間知らずでは生きていけませんから。それに、今回は痴漢にあうという不幸な出来事がありましたが、こうして皆さんと出会うという良い縁もあるので電車で通学させているのですよ」
なるほどと頷いている公達。
すると、扉が開いて男性が入ってきた。その男性は雛が公の腕に抱きついているのを見た瞬間、鬼のような形相で公のもとまでいくと拳を振り上げた。
「兄1さん。私の恩人を殴るつもりなのですか?」
雛に睨み付けられた雛兄1は拳をおろした。
「ごめんなさいね。シスコン息子1が無礼を働いちゃって」
「母さん!私はシスコンではありません!」
公を睨み付けながらも雛兄1は雛母に抗議していた。
「今の状況は誰がどう見てもシスコンよ」
雛兄1は公から視線を外してまだシスコンと言ってくる雛母を見た。
「私は」
「それより、何しに来たの?」
雛兄1の言葉にかぶせながら雛母は問いかけた。
「雛の恩人が来ていると聞いたのでお礼をと思ってきたのです」
「なら、その恩人を殴ろうとしたり睨み付けるのはおかしいことじゃない?」
雛母の正論になにも言い返せない雛兄1は公に頭を下げた。
「すまなかった」
「本当にごめんなさいね。この前あった夫を含め、この家の男達は雛に甘いうえに雛のことになると暴走するから困るのよ」
それに、雛兄1と書いているのを見てもらえばわかるように雛の兄はあと2人いて、2人ともシスコンよ。
"イヤな情報ありがとう"
公は内心ため息を吐いていた。
「兄1さん。ここにいるみんなが私を助けてくれた恩人です」
公の腕に抱きついたまま雛がそう言うと、雛兄1は公達に頭を下げた。
「雛を助けてくれてありがとう」
お礼を言って頭を上げた雛兄1は、すぐに公を睨み付けた。
「兄1さん」
雛兄1の態度に怒った雛が雛兄1を睨み付けた。
「うっ」
雛に睨まれた雛兄1は一瞬怯んだが、『雛は俺が守らないと』というはた迷惑な正義感からすぐに立ち直った。
「いつまで抱きついてるんだ?」
「なんで兄1さんにそんなことを言われないといけないの?」
「それはお前のためを思ってだな」
「兄1さんに思われる必要なんてありません」
「なっ」
雛の拒絶の言葉にショックをうけた雛兄1はすごすごと退散していった。
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