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41話
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公達の入学から1ヶ月経ち、5月に入った。
5月最初の行事といえばゴールデンウィーク。は飛ばして。
『ちょっと待ったー!』
あれ?登場人物勢揃いで何しているの?
「いきなり学生が待ち焦がれている行事をすっ飛ばすな!」
「そうですわ!わたくし達がお義兄さまとゆっくり過ごせる時間を取らないで欲しいですわ!」
そんなこと言っても、休日の話なんて結局似たり寄ったりになるからね~。
「そこはあんたが頑張って考えればいいことでしょ」
「そうだよ~。めんどくさがらずに頑張れ~」
はぁ。わかったわよ。やればいいのでしょ。
◇
ゴールデンウィーク初日。
「お兄ちゃ~ん!」
「お義兄さま~!」
元気いっぱいの舞と夢は寝ている公の上にダイブしてボディプレスをかました。
「ぐはぁ!」
苦悶の声をあげた公は違う眠りへと落ちていった。
「お兄ちゃん!?」
「お義兄さま!?」
2人は慌てて公の肩を掴んで前後にガクガクと揺すり始めた。
「ハッ!」
目が覚めた公を見て、2人はホッと息を吐いていた。
「妹達よ。起こしてくれるのはありがたいのだけど、起こし方をもう少し考えてくれると嬉しいよ」
『ごめんなさい』
シュンとした2人の頭を公は撫でてやった。
「おはよう、2人とも」
「おはよう!お兄ちゃん!」
「おはようございます、お義兄さま」
「着替えるから下で待っててくれ」
「わかった!」
「はい」
2人が部屋を出たので、公はパジャマから着替えて荷物を持ってダイニングへ。
「やぁ義弟くん。おはよう」
「おはよう、義姉さん」
朝食を食べていた史と挨拶をかわした公はそのまま史の隣に座った。
「どうぞ、公様」
「ありがとう、萌衣さん」
朝食を公の前に運んだ萌衣は公・舞・夢が持っている荷物を見て首を傾げた。
「どこかへお出掛けになられるのですか?」
「ゴールデンウィークや夏休みと冬休みの長期休暇には家族で泊まりで出掛けるのがうちの定番なんだよ」
「なるほど。家族旅行にいかれるのですね」
「えぇ。1泊2日だから、その間、萌衣さんにはお留守番をお願いします」
公の言葉に萌衣は信じられないという表情をした。
「私はお留守番なのですか?」
「もちろんだよ。メイドは家族じゃないから家族旅行に連れていく気はないよ」
史の念押しに萌衣がガックリしていると、薫が萌衣の肩に手を乗せた。
「薫様」
「公達が帰ってくるまで私と2人」
「薫様もお留守番なんですか?」
「うん。公に拒否された」
「あくまでも主人家の家族旅行だからな」
「ぶー」
頬を膨らませる薫を見て、公は苦笑した。
「薫も1度家に帰ったらどうだ?」
「家はここだけど?」
「実家ってことだよ」
「あー。嫁に出したから帰ってくる時は旦那と一緒に帰ってこいって言われてるから1人で帰ることはできない」
「嫁にもらってもいねーぞ?」
「えっ?」
なんでそんなことを公が言うのかわからないとばかりに首を傾げる薫を見て、公はため息を吐いた。
「じゃあ、帰らないってことでいいんだな?」
「いい」
ムダな言い合いをする気のない公はこれで話を打ち切り、食事に戻った。
朝食を食べ終わると、公達は薫と萌衣に見送られて車に乗った。
今日は夏蓮もいないので運転は史がする。
「それじゃあシートベルトはつけたかい?」
「うん!」
「はい」
「大丈夫だよ」
「それじゃあ」
『出発(ですわ)~!』
◇
蛙は庵から呼び出されて渋々庵が待っているファミレスにやってきた。
「なんだよ?」
「なに。寂しい独り者同士慰めあおうぜ」
その言葉で蛙は察した。
「なるほど。朧月も誘ってはみたが、デートだからムリと断られたからいじけてるのか」
図星をつかれた庵は顔を背けた。その分かりやすい反応に蛙は苦笑した。
「いじけるくらいならお前も早く彼女作ればいいんじゃねーか」
「うるせー。彼女ができねーからこうしていじけてるんじゃねーかよ!」
それはもっともな答えなのだけど、威張って言えるような答えでもなかったので、蛙はさらに苦笑した。
「お前の場合はもっと女心ってやつを学べ。そうじゃないといつまでたっても彼女ができねーぞ」
彼女が欲しいと言うといつも朧月と蛙から言われるこの言葉。しかし、庵は理解しようとしても、どうも女心というものが理解できなかった。
「女心を学べとかいうけど、どうやればいいんだよ」
庵はテーブルに突っ伏した。
「そんなのは近くにいる女子を見て学ぶしかないだろうな」
「それが出来たらここまで苦労はしてねーよ。ホントにどうすればいいんだよ」
本気で悩んでいる庵の姿に蛙は少しアドバイスをしてやる。
「そういや、入学式の日に桜と楓にもう少し落ち着きを持てって言われたんだってな」
蛙の言葉に入学式の日を思い出して頷いた。
「だったらもう少し落ち着きを持ってみたらどうだ?」
「う~ん。でも、それって俺らしくねーじゃねーか」
「別にずっと落ち着いてろって言ってるんじゃねーよ。はしゃいだりうるさくしたりするにしても、時と場所と場合を選べって言ってるんだよ」
蛙は庵にもわかるようにあえて「TPOを選べ」とは言わなかった。
庵がTPOを理解できるわけないからね~。
「俺だってTPOくらい知ってるさ!」
じゃあ、何の略か言ってみなさいよ。
「時間のTIMEと、場所は……………」
答えがわからずに頭を抱えてしまった庵の代わりに蛙が答えた。
「場所がPLACEで場合がOCCASIONで、それぞれの頭文字を取ってTPOだ」
「そうなのか~」
ぷぷっ。やっぱりわかってないじゃない。
「うるせー!」
「それより」
蛙は庵が拗ねる前に脱線している話をもとに戻す。
「そうやって時と場所と場合を選んではしゃいだりすれば、周りのお前を見る目も変わるし、お前だって周りを見る余裕ができるんじゃねーか?」
蛙の言葉をうけて真剣に考えた庵だけど、よくわからなくなって頭を掻きむしりだした。
「あーもう!そもそもお前も遠距離とはいえ彼女がいるからそんなことが言えるんだよ!それに朧月も朧月だ!男の友情より彼女を選ぶなんて許せねー!」
考えることを放棄して愚痴を言い始めた庵に蛙は盛大にため息を吐いた。
◇
その頃、朧月は。
「ハックション!」
「朧月さん。どうしたんですか?風邪ですか?」
「いや。朝、庵の誘い断ったから、庵が蛙相手に俺の愚痴でも言ってるんだろう」
そう言いながらため息を吐いた朧月を見て朧月の彼女紘は苦笑した。
「庵先輩の誘いを受けてもよかったんですよ?デートなんていつでもできるのですから」
紘の言葉に朧月はまたため息を吐き、紘の頭を強く撫で回した。
「ちょっ!朧月さん!止めてください!」
「お前が変なことを言ったからだ。庵の誘いよりデートのほうがよっぽど大事に決まっているだろ」
堂々と宣言する朧月に、紘は顔を赤くした。
「それよりこれなんか紘に似合うんじゃねーか?」
朧月は棚からビーズで出来たブレスレットを手に取った。
「可愛いです」
「左手を出してみて」
朧月に言われるまま紘が左手を前に出すと、朧月はその手首にブレスレットをつけてあげた。
「うん。やっぱり似合ってる」
「そう、ですか?」
ハニカミながら紘は左手を胸の前に持ってきてブレスレットを朧月に見せた。
「あぁ。似合ってるよ」
朧月笑顔で頷くと紘は少し顔を赤らめた。
「紘。ブレスレット外すから左手を出して」
紘が左手を出すと朧月はブレスレットを外してレジに向かった。
「これください」
「はい。520円です」
「つけて帰るのでタグを取ってもらえますか?」
「かしこまりました」
店員がタグをとっている間に朧月は520円を財布から取り出して置いた。
「はい。ちょうどいただきます。ありがとうございました」
ブレスレットを受け取って紘のもとへ戻ってきた朧月。
「紘。もう1回左手を出して」
差し出された左手に買ってきたブレスレットを取り付ける。
「プレゼントだよ」
「ありがとう、朧月さん」
お礼を言いながら紘は満面の笑みを浮かべ、それを見て朧月も笑顔になった。
5月最初の行事といえばゴールデンウィーク。は飛ばして。
『ちょっと待ったー!』
あれ?登場人物勢揃いで何しているの?
「いきなり学生が待ち焦がれている行事をすっ飛ばすな!」
「そうですわ!わたくし達がお義兄さまとゆっくり過ごせる時間を取らないで欲しいですわ!」
そんなこと言っても、休日の話なんて結局似たり寄ったりになるからね~。
「そこはあんたが頑張って考えればいいことでしょ」
「そうだよ~。めんどくさがらずに頑張れ~」
はぁ。わかったわよ。やればいいのでしょ。
◇
ゴールデンウィーク初日。
「お兄ちゃ~ん!」
「お義兄さま~!」
元気いっぱいの舞と夢は寝ている公の上にダイブしてボディプレスをかました。
「ぐはぁ!」
苦悶の声をあげた公は違う眠りへと落ちていった。
「お兄ちゃん!?」
「お義兄さま!?」
2人は慌てて公の肩を掴んで前後にガクガクと揺すり始めた。
「ハッ!」
目が覚めた公を見て、2人はホッと息を吐いていた。
「妹達よ。起こしてくれるのはありがたいのだけど、起こし方をもう少し考えてくれると嬉しいよ」
『ごめんなさい』
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「おはよう、2人とも」
「おはよう!お兄ちゃん!」
「おはようございます、お義兄さま」
「着替えるから下で待っててくれ」
「わかった!」
「はい」
2人が部屋を出たので、公はパジャマから着替えて荷物を持ってダイニングへ。
「やぁ義弟くん。おはよう」
「おはよう、義姉さん」
朝食を食べていた史と挨拶をかわした公はそのまま史の隣に座った。
「どうぞ、公様」
「ありがとう、萌衣さん」
朝食を公の前に運んだ萌衣は公・舞・夢が持っている荷物を見て首を傾げた。
「どこかへお出掛けになられるのですか?」
「ゴールデンウィークや夏休みと冬休みの長期休暇には家族で泊まりで出掛けるのがうちの定番なんだよ」
「なるほど。家族旅行にいかれるのですね」
「えぇ。1泊2日だから、その間、萌衣さんにはお留守番をお願いします」
公の言葉に萌衣は信じられないという表情をした。
「私はお留守番なのですか?」
「もちろんだよ。メイドは家族じゃないから家族旅行に連れていく気はないよ」
史の念押しに萌衣がガックリしていると、薫が萌衣の肩に手を乗せた。
「薫様」
「公達が帰ってくるまで私と2人」
「薫様もお留守番なんですか?」
「うん。公に拒否された」
「あくまでも主人家の家族旅行だからな」
「ぶー」
頬を膨らませる薫を見て、公は苦笑した。
「薫も1度家に帰ったらどうだ?」
「家はここだけど?」
「実家ってことだよ」
「あー。嫁に出したから帰ってくる時は旦那と一緒に帰ってこいって言われてるから1人で帰ることはできない」
「嫁にもらってもいねーぞ?」
「えっ?」
なんでそんなことを公が言うのかわからないとばかりに首を傾げる薫を見て、公はため息を吐いた。
「じゃあ、帰らないってことでいいんだな?」
「いい」
ムダな言い合いをする気のない公はこれで話を打ち切り、食事に戻った。
朝食を食べ終わると、公達は薫と萌衣に見送られて車に乗った。
今日は夏蓮もいないので運転は史がする。
「それじゃあシートベルトはつけたかい?」
「うん!」
「はい」
「大丈夫だよ」
「それじゃあ」
『出発(ですわ)~!』
◇
蛙は庵から呼び出されて渋々庵が待っているファミレスにやってきた。
「なんだよ?」
「なに。寂しい独り者同士慰めあおうぜ」
その言葉で蛙は察した。
「なるほど。朧月も誘ってはみたが、デートだからムリと断られたからいじけてるのか」
図星をつかれた庵は顔を背けた。その分かりやすい反応に蛙は苦笑した。
「いじけるくらいならお前も早く彼女作ればいいんじゃねーか」
「うるせー。彼女ができねーからこうしていじけてるんじゃねーかよ!」
それはもっともな答えなのだけど、威張って言えるような答えでもなかったので、蛙はさらに苦笑した。
「お前の場合はもっと女心ってやつを学べ。そうじゃないといつまでたっても彼女ができねーぞ」
彼女が欲しいと言うといつも朧月と蛙から言われるこの言葉。しかし、庵は理解しようとしても、どうも女心というものが理解できなかった。
「女心を学べとかいうけど、どうやればいいんだよ」
庵はテーブルに突っ伏した。
「そんなのは近くにいる女子を見て学ぶしかないだろうな」
「それが出来たらここまで苦労はしてねーよ。ホントにどうすればいいんだよ」
本気で悩んでいる庵の姿に蛙は少しアドバイスをしてやる。
「そういや、入学式の日に桜と楓にもう少し落ち着きを持てって言われたんだってな」
蛙の言葉に入学式の日を思い出して頷いた。
「だったらもう少し落ち着きを持ってみたらどうだ?」
「う~ん。でも、それって俺らしくねーじゃねーか」
「別にずっと落ち着いてろって言ってるんじゃねーよ。はしゃいだりうるさくしたりするにしても、時と場所と場合を選べって言ってるんだよ」
蛙は庵にもわかるようにあえて「TPOを選べ」とは言わなかった。
庵がTPOを理解できるわけないからね~。
「俺だってTPOくらい知ってるさ!」
じゃあ、何の略か言ってみなさいよ。
「時間のTIMEと、場所は……………」
答えがわからずに頭を抱えてしまった庵の代わりに蛙が答えた。
「場所がPLACEで場合がOCCASIONで、それぞれの頭文字を取ってTPOだ」
「そうなのか~」
ぷぷっ。やっぱりわかってないじゃない。
「うるせー!」
「それより」
蛙は庵が拗ねる前に脱線している話をもとに戻す。
「そうやって時と場所と場合を選んではしゃいだりすれば、周りのお前を見る目も変わるし、お前だって周りを見る余裕ができるんじゃねーか?」
蛙の言葉をうけて真剣に考えた庵だけど、よくわからなくなって頭を掻きむしりだした。
「あーもう!そもそもお前も遠距離とはいえ彼女がいるからそんなことが言えるんだよ!それに朧月も朧月だ!男の友情より彼女を選ぶなんて許せねー!」
考えることを放棄して愚痴を言い始めた庵に蛙は盛大にため息を吐いた。
◇
その頃、朧月は。
「ハックション!」
「朧月さん。どうしたんですか?風邪ですか?」
「いや。朝、庵の誘い断ったから、庵が蛙相手に俺の愚痴でも言ってるんだろう」
そう言いながらため息を吐いた朧月を見て朧月の彼女紘は苦笑した。
「庵先輩の誘いを受けてもよかったんですよ?デートなんていつでもできるのですから」
紘の言葉に朧月はまたため息を吐き、紘の頭を強く撫で回した。
「ちょっ!朧月さん!止めてください!」
「お前が変なことを言ったからだ。庵の誘いよりデートのほうがよっぽど大事に決まっているだろ」
堂々と宣言する朧月に、紘は顔を赤くした。
「それよりこれなんか紘に似合うんじゃねーか?」
朧月は棚からビーズで出来たブレスレットを手に取った。
「可愛いです」
「左手を出してみて」
朧月に言われるまま紘が左手を前に出すと、朧月はその手首にブレスレットをつけてあげた。
「うん。やっぱり似合ってる」
「そう、ですか?」
ハニカミながら紘は左手を胸の前に持ってきてブレスレットを朧月に見せた。
「あぁ。似合ってるよ」
朧月笑顔で頷くと紘は少し顔を赤らめた。
「紘。ブレスレット外すから左手を出して」
紘が左手を出すと朧月はブレスレットを外してレジに向かった。
「これください」
「はい。520円です」
「つけて帰るのでタグを取ってもらえますか?」
「かしこまりました」
店員がタグをとっている間に朧月は520円を財布から取り出して置いた。
「はい。ちょうどいただきます。ありがとうございました」
ブレスレットを受け取って紘のもとへ戻ってきた朧月。
「紘。もう1回左手を出して」
差し出された左手に買ってきたブレスレットを取り付ける。
「プレゼントだよ」
「ありがとう、朧月さん」
お礼を言いながら紘は満面の笑みを浮かべ、それを見て朧月も笑顔になった。
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