私のための小説

桜月猫

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18話

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 倒れていたメイドさんはかなりの美女よ。重要なことだからもう1度言うわ。倒れていたメイドさんはかなりの美女よ。服の上からでもわかるスタイルのよさ。さらにいえば、仰向けに倒れていることで爆乳としか言えないおっぱいがこれでもかと自己主張しているわね。

 そんな予想外の光景に公と雪の思考がフリーズした。そんな2人に牡丹が事実を突きつける。

「美人なメイドさん、だよね」

 2人の反応はない。

「おーい」

 再度牡丹が問いかけるも、やっぱり反応はない。

 ただの屍のようね。

「死んでねーよ」

 ようやく公が反応した。

 だって牡丹の言葉への反応が無かったし~。

「ホントだよ~」
「いや、あまりにも予想外すぎる光景だったからな」
「メイドだもんね~」
「えぇ。メイドね」

 雪もフリーズから返ってきて、ようやく事実をのみこんだ。

「どうしてこんなところに美人なメイドさんが倒れてるの?」
「確かに疑問に思うけど、今は医務室に運ぶことを優先すべきだろう」

 事実をのみこんで冷静になった公はメイドさんを運ぶためにおんぶして歩き出す。

 ナイスバディな美女メイドさんの爆乳やピチピチの太ももの感触はどう?公。

「うるせーよ、作者」
「楽しんでる?」
「牡丹ものるな」
「男の子だからね」
「雪まで」

 笑いだす2人の姿にため息を吐いた公。

「早く戻らないといけないんだからな」
「そうだったね」
「はーい」

 3人は少し早足で医務室に向かったのだが、みんなが集まる広場を通りすぎる時にはさすがに騒ぎになった。
 メイドさんを背負って帰ってきたのだから仕方ないことではあった。なので、3人は騒ぎをムシして医務室へ。
 生徒達がついてきたがっていたが、そこは先生が引き止めたが、蛍・由椰・彩・桜・楓・暁・薫・庵・朧月・蛙は特別に許可がでてついてきていた。

「すいません」

 雪が扉を開けてくれたので公が中に入ると、小説高校の保険の先生と常駐している女医がいた。

「はい。ってあらどうし………。そのメイドさんは?」

 先生と女医はメイドさんを見て戸惑っていた。

「森の中で倒れていたので連れてきました」
「そこのベッドに寝かせてくれるかしら」

 女医の指示に従ってメイドさんをベッドに寝かせると、女医はカーテンを閉めてメイド服を脱がせて傷がないかなどの確認を始めた。
 確認は数分で終わった。

「怪我などはない。倒れていたのは多分空腹のせいだろう」

 女医の説明を聞いた公達はホッとした。

「それで、どういう経緯でメイドさんを拾ってきたの?」

 先生が気になるのは当然そこだったので、公達を見た。しかし、雪や牡丹はついていっただけだし、蛍達に至っては今合流したばかりなのでなので経緯なんかわかるはずもないので、全員の視線が公に向いた。

「その前に、メイドの女性が起きたときにずぐに食べられる物を作りたいんですが」

 公の提案に先生は女医を見た。

「そうね。軽いものでいいので用意していたほうがいいですね」
「ならお願いできるかしら?」
「わかりました」

 医務室を出た公は食堂を使わせてもらってお吸い物と卵粥を作り始めた。


          ◇


 公が出ていったあと、薫は少しむくれていた。庵も少し怒りをおぼえていた。

「なにむくれてるのよ」

 桜は薫を見た。

「庵なに怒ってるんだよ」

 朧月は庵を叩いた。

『だって、また公が女性を連れてきた』

 2人の言葉に呆れや苦笑といった雰囲気が医務室に広がった。

「なに言ってるんだよ」

 朧月はさらに庵を叩くと、庵は頬を膨らませた。

「でも、ホントになんであんなところにメイドさんが倒れていたんだろう?」

 牡丹の疑問はみんなが思っていたことだが、こればかりは公に聞いてもわからないことなので、メイドさんが起きるのを待つしかなかった。

「とりあえず、わかる範囲でいいから教えてもらえるかな?」

 先生に問いかけられるも、違うクラスだったり違う班の桜や庵達は雪達を見た。

「私達がわかることといえば、最後のポイントで大樹の幹周を測っていると公がシジュウカラを見つけました」
「そしたら急に慌てだして走り出したんだよね」
「なので、私と牡丹が追いかけるとメイドさんを見つけたんです」
「それで医務室に連れてきたのね」
「はい」

 雪と牡丹の説明を聞いた先生は微笑んだ。

「いい判断だわ」
「メイドさんを見つけたのも医務室に早く連れていこうと言ったのも公です」
「でも、なんで公はメイドさんが倒れてることに気づいたんだろうか?」
「あの時、なにか音が聞こえたとかありませんでしたしね」

 音が聞こえたわけでもないのに、公はメイドさんが倒れていることに気づいてなんの迷いもなく向かって助けた。なぜそんなことができたのか、あの場にいた蛍達が、特についていった雪と牡丹が疑問に思ったことだ。
 しかし、公に聞かないとわからないことなので公が帰ってくるのを待っていると、ベッドの方から人の動く気配がしたので女医がカーテンを開けるとメイドさんが起き上がっていた。

「気がついたみたいね」
「ここは?」
「ここはあなたが倒れていた森の近くにある高原のキャンプ場の医務室よ。たまたま今日からこの高原で合宿していた高校の学生があなたを見つけてここに運んでくれたのよ」

 女医の説明に、メイドさんの視線は自然と雪達に向いた。

「彼女達がその学生ですか?」

 メイドが疑問を口にした時、タイミングよく公が帰ってきた。

「丁度よかった。彼が君を助けた1番の功労者だよ」

 女医がなぜそんなことを言い出したのか一瞬理解できなかった公だが、メイドさんが起き上がってるのを見て納得した。

「目が覚めたんですね」
「このたびは助けていただきまことにありがとうございます。本来なら立ち上がってお礼を申しあげたいのですが、このような体勢でのお礼になって誠に申し訳ありません」

 ベッドの上で深々と頭を下げたメイドさん。

「大丈夫ですよ。お礼は確かに受けとりましたから。それより、お名前を伺っても?」
「これは失礼しました。私はメイドをしている萌衣めいです。以後お見知りおきを」
「俺は公って言います」

 あとのメンバーも自己紹介を終えたというていで次にいくわよ。

『ぶー!』

 暁・庵・牡丹が不満そうに頬を膨らませた。

 だって1回1回新しい登場人物が出てきたからといって、全員が自己紹介をしていたらめんどくさいでしょ。だから、これからはよっぽどのことがない限り、自己紹介はパスするわ。ってことで、早く次にいくわよ。公。

 ため息を吐いた公は萌衣を見た。

「ご飯は食べれそうですか?一様軽くご飯を作ってきたのですが」
「何から何までありがとうございます。食事はありがたく頂戴いたしたいと思います」

 萌衣の堅苦しい言葉に苦笑しながらも、公はお椀をメイドの前に置いた。

「まずはお吸い物です。これを飲んで少し胃を落ち着けてください」

 萌衣がお吸い物には具がなく、ホントにシンプルなお吸い物だった。お吸い物を一口飲んだ萌衣はホッと一息ついた。

「出汁からちゃんととった美味しいお吸い物ですね」
「お口にあってよかったです」
「これは公様がお作りになられたのですか?」
「そうですけど、様をつけなくてもいいですよ。萌衣さん」
「いえ。助けていただいたお方を呼び捨てなんてできません」
「せめて、さんで呼んでくれませんか?」
「メイドとしてお断りさせていただきます」
「別に萌衣さんは俺のメイドじゃないですよね?」
「それでもメイドとしてお断りさせていただきます」

 頑なな萌衣に、諦めた公はため息を吐きながら1人用の土鍋を萌衣の前に置いた。

「卵粥です。熱いので気をつけてください」

 レンゲを受け取った萌衣は早速卵粥を一口。

「こちらも大変美味しいですね」
「ありがとうございます」

 それからは萌衣が食事を終えるのを公達は静かに待った。萌衣が食事を終え一息ついて落ち着いたのを見て先生は公に話しかけた。

「それで公君。どういう経緯で萌衣さんを見つけたのか教えてほしいのだけど」
「そうですね。萌衣さんを見つけれたのはこいつのおかげです」

 そう言いながら、あれからなぜか公の頭の上で休んでいるシジュウカラを撫でた。

「どういうこと?」

 訳がわからず桜は首を傾げた。

「作者のせいで動物と会話ができるようになってしまったんだよ」

 私のせいじゃないわよ!

「直接の原因じゃなくても間接的な原因はお前だろうが!」

 まぁ、そう言われるとそうかもしれないけど、全てを私のせいみたいに言うのは止めてくれないかな!

「結局全ての原因はお前にあることが多いんだし、お前が原因だとみんな納得するんだからそれでいいだろ」
「それもそうね」

 みんな頷いて同意していた。

 理不尽だわー!

「というわけで、こいつが萌衣さんが倒れていることを教えてくれたので見つけて助けることができたんですよ」

 公の説明に納得した先生は頷いていた。

「だから、ホントの功労者はこいつですよ」

 全員の視線がシジュウカラに集まると、シジュウカラは「ピピツ」と鳴いた。

「ありがとうございます」
【気にしなくていいわよ】

 ベッドへ飛んだシジュウカラは萌衣へ鳴いてからまた公の頭の上に帰ってきた。

「萌衣さんはなんで森の中で倒れていたのですか?」

 経緯を話し終えた公は気になっていたことを萌衣に問いかけた。

「ご主人様になってくれる人を探して旅をしていたんですが、いろいろあって力尽きてあそこで倒れてしまったのです」

 萌衣の説明に頷きながらチラリと後ろを振り返った公は、朧月と蛙に押さえつけられている庵を見て苦笑した。

「とりあえず、そのご主人様探しの旅は今日1日はドクターストップだな」

 女医がそう言うと、萌衣は素直に頷いた。

「今日1日はそのベッドでゆっくりすればいいからね」
「お世話になります」

 萌衣は頭を下げた。
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