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124話
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最後にお爺さんに向けて文句を言った廻は「ふぅ~」と息を吐きました。
「万結。爺さんはちゃんと成仏したか?」
『はい。笑いながら成仏していきました』
その言葉を聞いた廻は「ふっ」と笑いました。
「そうか。じゃあ、ナースステーションで待ってるからな」
『わかりました。すぐに行きます』
「急がなくていいぞ」
『はい』
万結の返事を聞いた廻はナースコールを切りました。
「というわけで、今から万結が来るぞ」
話しかけながら廻が後ろを振り返ると、そこにいたのは公と夏ではなくハリセンをかまえた鬼でした。
「えっ?」
予想外の人物がいたことに廻は戸惑い、固まっているうちに鬼はハリセンを振り下ろし、廻の頭を殴り付けました。
しかし、鬼はその一撃だけで終わらず、さらに返すハリセンで廻の顔面を打ち上げました。
「ぐおっ!」
のけ反り、後ろに倒れた廻を見た鬼は頷くと走り去っていきました。
「イテテ」
額を擦りながら起き上がった廻が回りを見回しますが、公と夏の姿はありませんでした。
「あいつら!逃げやがったか!」
再度回りを見回した廻は叫びました。
「逃げてないよ。隠れていただけだよ」
声のしたほうを廻が見ると、机のかげから夏をおんぶした公が出てきました。
「テメーら!」
廻は公達を指差しました。
「仕方ねーだろ。鬼に見つかったらさっきのお前みたいにハリセンを食らうことになるんだからな」
「そうだが!だったら、鬼が来たことを俺にも教えろよ!」
廻は公に迫りました。
「だって、お前楽しそうにお爺さんと話していたじゃねーか。だから、邪魔しちゃ悪いから俺達だけ隠れたんだよ」
「楽しくなんて話してねーよ!」
「いやいや。十分楽しそうだったぞ。だから、鬼だって話終わるのを待ってくれてたぞ」
「マジか?」
まさか、鬼が待っていたとは思って思っていなかった廻は驚いていました。
「ホントよ」
夏も肯定したので、廻は頭を掻き、ため息を吐きました。
「廻先輩!夏先輩!公!」
そこへ万結がやってきました。
「よう、万結」
「1人なのね」
「龍はどうしたんだ?」
基本、万結は龍と一緒に行動しているので、公達は気になって問いかけました。
「途中まで一緒にいたんですけど、鬼と出会った時に囮になってくれて離ればなれになってしまったんですよ」
万結は微笑んでいました。
「なるほど」
「さすが龍だな」
「作者とは大違いね」
マスターの知らないところでマスターの株がさらに落ちていました。
「そういえば、廻先輩達は子供幽霊の隠れている場所についてなにかわかりましたか?」
『あ~』
色々あったせいで本来の目的を忘れていた公と廻は苦笑しました。
「まさか、2人とも本来の目的を忘れてたの?」
さらに苦笑した公と廻に夏は呆れていました。
「怖くて腰を抜かして公におんぶされている夏には呆れられたくねーな」
「うっ」
そう言われると何も言えなくなる夏は顔を赤くしながら公の背中に顔をうずめました。
その様子を見ていた万結は、そんな夏を微笑ましい表情で見ていました。
「そういう万結はどうなんだ?」
公は万結に問い返しました。
「アハハ。私のほうもなにもわかっていませんね」
苦笑しなが万結は頭を掻きました。
「それじゃあ、本来の目的である隠れている子供幽霊を探しに行くか」
「そう………」
同意しようとした公の言葉が止まり、夏や万結と一緒に廻の後ろを唖然とした表情で指差しました。
「なんだよ」
振り返った廻の目の前には鬼が立っていました。
「ハハッ。またかよ」
もう笑うしかない廻は鬼の罰を待ちました。
すると、鬼はタイツの上からでもわかるくらい口元をニヤケさせると、バズーカを構えました。
「それはヤベーだろ!」
廻だけではなく、公達も耳を塞ぎながらしゃがみこみました。
直後、放たれたバズーカからは轟音と共に紙吹雪とテープを打ち出しました。つまり、バズーカはクラッカーだったのです。
舞い散る紙吹雪とテープを見ながら呆然としている公達を見て、さらにニヤけた鬼はバズーカを捨てて去っていきました。
「ビックリした~」
「ってか、2連続で狙ってくるなんて普通はなしだろ!」
「そこら辺のことを俺にキレられてもな」
公は苦笑しながら立ち上がりました。
「それはそうだが」
公の正論を理解しつつも納得出来ていない廻は、憮然とした表情で立ち上がりました。
「とりあえず、ここにいてもまた鬼がやって来そうですし、移動しませんか?」
「そうだな」
万結の提案を受け入れた公達は移動を始めました。
「やっぱりおかしいだろ」
しかし、廻はまだぶつぶつ言っています。
「終わったことなんだし、いいじゃないか」
公は慰めるように廻の肩を叩きました。
「はぁ~」
大きくため息を吐いて廻は気持ちを落ち着かせました。
「そうだな。引きずってたってしかたないよな」
「そうだよ。引きずってたってしかたないんだよ」
公は笑顔で同意しました。
「だけど」
廻はそんな笑顔の公の頬を引っ張りました。
「今回の原因の半分はお前だってこと忘れるなよ」
「俺のせいじゃねーだろ」
「お前のせいだよ」
廻がさらに強く公の頬を引っ張っていると、どこからか声が聞こえてきました。
「万結。爺さんはちゃんと成仏したか?」
『はい。笑いながら成仏していきました』
その言葉を聞いた廻は「ふっ」と笑いました。
「そうか。じゃあ、ナースステーションで待ってるからな」
『わかりました。すぐに行きます』
「急がなくていいぞ」
『はい』
万結の返事を聞いた廻はナースコールを切りました。
「というわけで、今から万結が来るぞ」
話しかけながら廻が後ろを振り返ると、そこにいたのは公と夏ではなくハリセンをかまえた鬼でした。
「えっ?」
予想外の人物がいたことに廻は戸惑い、固まっているうちに鬼はハリセンを振り下ろし、廻の頭を殴り付けました。
しかし、鬼はその一撃だけで終わらず、さらに返すハリセンで廻の顔面を打ち上げました。
「ぐおっ!」
のけ反り、後ろに倒れた廻を見た鬼は頷くと走り去っていきました。
「イテテ」
額を擦りながら起き上がった廻が回りを見回しますが、公と夏の姿はありませんでした。
「あいつら!逃げやがったか!」
再度回りを見回した廻は叫びました。
「逃げてないよ。隠れていただけだよ」
声のしたほうを廻が見ると、机のかげから夏をおんぶした公が出てきました。
「テメーら!」
廻は公達を指差しました。
「仕方ねーだろ。鬼に見つかったらさっきのお前みたいにハリセンを食らうことになるんだからな」
「そうだが!だったら、鬼が来たことを俺にも教えろよ!」
廻は公に迫りました。
「だって、お前楽しそうにお爺さんと話していたじゃねーか。だから、邪魔しちゃ悪いから俺達だけ隠れたんだよ」
「楽しくなんて話してねーよ!」
「いやいや。十分楽しそうだったぞ。だから、鬼だって話終わるのを待ってくれてたぞ」
「マジか?」
まさか、鬼が待っていたとは思って思っていなかった廻は驚いていました。
「ホントよ」
夏も肯定したので、廻は頭を掻き、ため息を吐きました。
「廻先輩!夏先輩!公!」
そこへ万結がやってきました。
「よう、万結」
「1人なのね」
「龍はどうしたんだ?」
基本、万結は龍と一緒に行動しているので、公達は気になって問いかけました。
「途中まで一緒にいたんですけど、鬼と出会った時に囮になってくれて離ればなれになってしまったんですよ」
万結は微笑んでいました。
「なるほど」
「さすが龍だな」
「作者とは大違いね」
マスターの知らないところでマスターの株がさらに落ちていました。
「そういえば、廻先輩達は子供幽霊の隠れている場所についてなにかわかりましたか?」
『あ~』
色々あったせいで本来の目的を忘れていた公と廻は苦笑しました。
「まさか、2人とも本来の目的を忘れてたの?」
さらに苦笑した公と廻に夏は呆れていました。
「怖くて腰を抜かして公におんぶされている夏には呆れられたくねーな」
「うっ」
そう言われると何も言えなくなる夏は顔を赤くしながら公の背中に顔をうずめました。
その様子を見ていた万結は、そんな夏を微笑ましい表情で見ていました。
「そういう万結はどうなんだ?」
公は万結に問い返しました。
「アハハ。私のほうもなにもわかっていませんね」
苦笑しなが万結は頭を掻きました。
「それじゃあ、本来の目的である隠れている子供幽霊を探しに行くか」
「そう………」
同意しようとした公の言葉が止まり、夏や万結と一緒に廻の後ろを唖然とした表情で指差しました。
「なんだよ」
振り返った廻の目の前には鬼が立っていました。
「ハハッ。またかよ」
もう笑うしかない廻は鬼の罰を待ちました。
すると、鬼はタイツの上からでもわかるくらい口元をニヤケさせると、バズーカを構えました。
「それはヤベーだろ!」
廻だけではなく、公達も耳を塞ぎながらしゃがみこみました。
直後、放たれたバズーカからは轟音と共に紙吹雪とテープを打ち出しました。つまり、バズーカはクラッカーだったのです。
舞い散る紙吹雪とテープを見ながら呆然としている公達を見て、さらにニヤけた鬼はバズーカを捨てて去っていきました。
「ビックリした~」
「ってか、2連続で狙ってくるなんて普通はなしだろ!」
「そこら辺のことを俺にキレられてもな」
公は苦笑しながら立ち上がりました。
「それはそうだが」
公の正論を理解しつつも納得出来ていない廻は、憮然とした表情で立ち上がりました。
「とりあえず、ここにいてもまた鬼がやって来そうですし、移動しませんか?」
「そうだな」
万結の提案を受け入れた公達は移動を始めました。
「やっぱりおかしいだろ」
しかし、廻はまだぶつぶつ言っています。
「終わったことなんだし、いいじゃないか」
公は慰めるように廻の肩を叩きました。
「はぁ~」
大きくため息を吐いて廻は気持ちを落ち着かせました。
「そうだな。引きずってたってしかたないよな」
「そうだよ。引きずってたってしかたないんだよ」
公は笑顔で同意しました。
「だけど」
廻はそんな笑顔の公の頬を引っ張りました。
「今回の原因の半分はお前だってこと忘れるなよ」
「俺のせいじゃねーだろ」
「お前のせいだよ」
廻がさらに強く公の頬を引っ張っていると、どこからか声が聞こえてきました。
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