私のための小説

桜月猫

文字の大きさ
上 下
110 / 125

109話

しおりを挟む
          ☆

「あーーーーー!!!!」
≪っ!!!≫
<いきなり叫んでどうしたんだ?マスター>

 俺の叫び声にロマはビクッと驚いたが、マロは普通に問いかけてきた。

「ボケが足りない!笑いが足りない!コメディが足りない!楽しさが足りない!」
≪なにを言うかと思えば≫

 ロマは呆れ、マロは苦笑していた。

「その反応はなんだよ」

 俺は2人を睨み付けた。

≪またマスターがおかしなことを言い始めたなという反応ですよ≫
「おかしなことじゃないだろ!」
<おかしいよね>

 ロマへ反論したらマロから反論が返ってきた。

「どこがだよ!」

 なのでマロにかみついた。

<今回の話は白の家出解決の話だよね>

 マロの確認の言葉に俺は頷いた。

<だったら、コメディとか笑いがないのは普通だろ?>

 マロの言葉はその通りだ。

「そうだよ。だからこそ、コメディや笑いに走らないように頑張って書いてただろ?」

 その努力はわかってくれているのか、ロマもマロも頷いてくれた。

「だろ!だからこそ、ここら辺でコメディや笑いに走ってもいいだろ!」
≪いいわけないですよ!≫

 ロマから怒られた。

「なんでだよ!頑張ったんだから俺の好きにしていいだろ!」
≪頑張ったと言ってもたった4話の間だけじゃないですか!≫
<それに、マスターが好き勝手してるのはいつものことだしね>

 マロの言葉にロマは大きく深々と頷いた。

「うるさい!俺にだって息抜きが必要なんだよ!」

 俺が叫ぶと、ロマはジトーと俺を見つめ、マロは苦笑していた。

<とりあえず、白の家出解決編をしっかりと終わらせないとね>
「そんなん知るか!俺は息抜きで好き勝手する!誰がなんと言おうとするんだからな!」
≪マッ!≫


          ☆


 真夏の太陽が照りつける甲子園。
 その一塁側のベンチに放り出したロマやマロ、それに公達主要メンバー達が集まっていた。

「で、なんで俺達はこんなところにいるんだ?」

 公の疑問はもっともであり、理由を知っているロマとマロは申し訳なさそうにしていた。

「どうせ、作者がまためちゃくちゃしてるんでしょ」

 桜の的確な言葉にみんな『あぁ~』と納得していた。

<その通り、マスターが暴走してね>

 申し訳なさそうに苦笑しているマロの隣では、ロマが頭を下げた。

≪申し訳ございません≫
「2人のせいじゃないんだから~、謝らなくても大丈夫だよ~」

 暁が微笑みかけた。

「暁の言う通りだよ」

 公達も大丈夫とばかりに2人に微笑みかける。

「しかし、球場にいるということは、野球の試合をしろってことなんだよな?」

 朧月はグラウンドの方へ視線を向けた。

「そうみたいだね。ここにスコアブックとスタメン表が置いてあるからね」

 蛍は置いてあったスコアブックとスタメン表を手に取った。
 スタメン表はほぽ空白だったのだけど、1ヶ所、4番だけは公の名前が書いてあった。しかも、ポジションはピッチャー。

「なんで俺が4番でピッチャーなんだよ!」

 公が抗議の声をあげた。

≪確実にマスターの嫌がらせです≫
「だろうね。印刷で消せないようにしているからね」
「はぁ」

 わかっていたことだがため息を吐かずにはおられない公が盛大にため息を吐いていると、蛙が慰めるように肩に手を置いた。

「問題は他のメンバーをどうしましょう」

 蛍からスタメン表を受け取った秋がみんなを見た。

「なら、我のスタメンでクリーンナップ入りは確実であろう?」

 胸を張りながら前に出てきた中二だが、みんなは当然のごとく無視をしてスタメンを考え始めた。

「とりあえず、メンバーは公・蛙・庵・朧月・龍・壱・裁・廻・人でいいかしら?」

 秋に名前を呼ばれたメンバーは全員了承とばかりに頷いた。

「では、こちらにポジションが書かれたクジが」
「こっちには数字が書かれたクジがあるので引いてください」

 夢と舞が持っているクジを蛙達が順番に引いていき、スタメン表が以下の通りに出来上がった。

1番・センター・裁
2番・ファースト・朧月
3番・ショート・龍
4番・ピッチャー・公
5番・サード・蛙
6番・ライト・壱
7番・キャッチャー・人
8番・レフト・庵
9番・セカンド・廻

 出来上がったスタメン表を雪が審判へと渡すと、スタメンメンバーの服装が私服からユニホームへ変わった。

「アーーーーーーーー!」

 高校野球で聞き慣れたあの音が聞こえてきたので、スタメンメンバーはホームベースへ駆け出して整列した。
 三塁側のベンチから出てきて整列した対戦相手は棒人間達。

「え~と」

 予想外の対戦相手に戸惑いつつも、とりあえず一礼してからベンチへと戻っていった。

「なぁ、対戦相手が人間ですらないって」
「でも、作者のことだからマトモな相手じゃないだろうな」

 公達は軽く準備運動をしてから守備に入った。
 蛙達が守備練習をする中、公と人はピッチャーマウンドで話をしていた。

「ところで、変化球は投げれるか?」
「いちようスライダー、カーブ、フォークの握りかたは知っているけど、曲がるかどうかはわからないな。ただ、ストレートにしても変化球にしてもコントロールに不安がな」
「素人チームなんやし、それは仕方ないやろ」

 人は公にボールを渡した。

「とりあえず、1がストレート、2がスライダー、3がカーブ、4がフォークな」
「わかった」
「コースはミットをかまえた辺りに適当投げてこい。あとはこっちでちゃんと取ってやるからさ」
「頼んだぞ」

 公が頷いたのを見た人は、最後に公の胸を軽く叩いてからホームベースまで戻り、キャッチャーマスクをかぶって座り、キャッチャーミットをかまえた。
 なので、公はそのキャッチャーミットめがけて3球ピッチング練習をした。

「よし!」

 ピッチング練習を終えて公が気合いを入れていると、1番バッターがバッターボックスに立った。

「プレイボール!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

転校先は着ぐるみ美少女学級? 楽しい全寮制高校生活ダイアリー

ジャン・幸田
キャラ文芸
 いじめられ引きこもりになっていた高校生・安野徹治。誰かよくわからない教育カウンセラーの勧めで全寮制の高校に転校した。しかし、そこの生徒はみんなコスプレをしていた?  徹治は卒業まで一般生徒でいられるのか? それにしてもなんで普通のかっこうしないのだろう、みんな!

春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。 他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。 そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。 三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。 新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。   この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。

同好怪!?

阿弥陀乃トンマージ
キャラ文芸
 静岡県静岡市にある私立高校、『海道学園』に勤務する、若い男性地学教師、村松藤次。  ある日職員室で昼食中の彼の下に、不良、優等生、陽キャという個性バラバラな三人の女子生徒が揃って訪ねてくる。  これは一体何事かと構えていると、不良が口を開く。  「同好怪を立ち上げるから、顧問になってくれ」  同好……怪!?そして、その日の夜、学校の校庭で村松は驚くべきものを目撃することになる。  新感覚パニックアクション、ここにスタート!

幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~

しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。 のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。 彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。 そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。 しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。 その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。 友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?

JOLENEジョリーン・鬼屋は人を許さない 『こわい』です。気を緩めると巻き込まれます。

尾駮アスマ(オブチアスマ おぶちあすま)
キャラ文芸
ホラー・ミステリー+ファンタジー作品です。残酷描写ありです。苦手な方は御注意ください。 完全フィクション作品です。 実在する個人・団体等とは一切関係ありません。 あらすじ 趣味で怪談を集めていた主人公は、ある取材で怪しい物件での出来事を知る。 そして、その建物について探り始める。 ほんの些細な調査のはずが大事件へと繋がってしまう・・・ やがて街を揺るがすほどの事件に主人公は巻き込まれ 特命・国家公務員たちと運命の「祭り」へと進み悪魔たちと対決することになる。 もう逃げ道は無い・・・・ 読みやすいように、わざと行間を開けて執筆しています。 もしよければお気に入り登録・イイネ・感想など、よろしくお願いいたします。 大変励みになります。 ありがとうございます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...