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――暴いた先――
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祭りに行った兄さんが結局帰ってくることは無かった。
行方不明者扱いとなって、数年後、死亡扱いとなった。
兄さんの最期の手がかりとなるのは、僕に言った祭りへ行くという事実だけ。
十年後、僕は兄さんの部屋を必死に捜索して、そして見つけた。
神暴きへの招待状を。
一体、どんなものかと思い、検索しても出てくることは無かった。
僕は必死に探し回って、図書館でとある古文書を見つけたのだ。
其処には、神暴きについての詳細なものが書かれていた。
さらに、それ関連の資料を探した結果、神暴きの参加者は助かることはないという結論に辿り着いたのだ。
こんな祭りによって。僕は最愛の兄さんを失ったのかと、その日は涙が枯れるくらい泣いた。
そして、こんな祭りなんて終わらせてやるという気持ちが湧いてきた。
更に僕は神暴きに付いて調べていくと、現代の神暴きは“聖神の会”という秘密結社が指揮しているということが分かった。
僕は何とかしてその組織に潜り込みたいと考えていた。あらゆる手段を使ってでも。
そして、念願叶い、僕はその秘密結社に潜り込むことが出来たのだ。
忠実な彼らの狗として。
そして、神暴きの真の姿に見えることが出来た。それは金持ちの道楽で意地汚い大人達が人の命を賭けて遊ぶという酷いものだった。
僕の心は憎悪の炎で焼きつかれそうにだった。
だから、この計画はなんとしてでも成功させないといけないと思った。
彼らに忠実なフリをして確実に僕は地位を高めていく。
そして、神暴きの総指揮を任されることとなった。
全て計画通りにいった。怖いくらいに。
暴き手はもちろん最初から決めていた。
初代暴き手で神となった、弐沙だ。
古文書で呼んだとき、僕は彼にとてつもない憧れを感じていた。
現代にいける不老不死。彼をもし対峙することになったら僕はどれだけ興奮するだろうと、そんな事を考え、神暴きのシナリオを作っていっていた。
ついにその日が来た。僕は参加者に扮して作ったシナリオ通りに裁きを行っていった。
弐沙が僕のシナリオに気づいて、きっと狩り手を、そして僕を見つけてくれると信じていた。
僕の考えたとおりに弐沙は僕を暴いてくれた。
そして、僕を本気で倒そうとしてくれた。
正直嬉しすぎて、ついつい本音を漏らしてしまった。
「もしかすれば。誰もこんな惨たらしい死に方なんてしなくても良かったかもしれない。今回の参加者だって、歴代の参加者だって、そして……、兄さんだって」
その本音は弐沙の耳にも入ってしまったようで、僕が逃げようとした途端。
チリッ。
急に左目が焼けるように熱くなっていた。
よく見ると、僕を睨んで弐沙が何かを呟いているのだ。
そう、彼は僕を祟ったのだ。
「……やってくれましたね?」
僕は彼に向かって笑う。
「私を痛めつけてくれた御礼としての“贈り物”だ。有難く受け取れ」
彼も僕に向かって笑った。
「今生、大事にするとしましょう。では、ごきげんよう。またお会いできる日を楽しみにしておきましょう」
戻ってみると、左目には何やら赤い紋様が刻まれていた。
どうやら古代文字のような類いらしい。
僕はその意味を調べてみると、
『永遠という生に苦しみもがけ』
という意味の文字が刻まれているのが分かった。
実に弐沙らしいやと僕は笑った。
そして、弐沙に祟られたことによって、僕は不老不死となった。
今なら、あの奴らを倒せると考えた。そして、奴らから奪い取った資金で私兵を雇い、彼らの本拠地を襲撃した。それが事の顛末だ。
「さぁ、これからどうしようか」
僕は神暴きが行われていた。あの村へ気が付いたら足を運んでいた。
きっと他に行くあてなどない。
そう途方に暮れていた。
「何をなされているんですか?」
黄昏ている僕を医者のような格好の男が訪ねる。
「何をしたいのか分からなくて、ここにきてしまったんです」
「そうなんですか。僕の名前はイリサって言います。もしよろしかったら、お話でもききましょうか?」
男はそう言って、易しく僕の手を取ってくれた。
時はいくらか過ぎ、F村には十数人の人々が集められた。
「おい、一体ここはドコだ」
「私、家に居たはずなのに、何でこんな村に」
「一体何がどうなってるんだ」
人々は今の状況を把握できずにいた。
「皆さん、よくぞお集まりいただけました」
能面を被った男は嬉しそうに、人々を歓迎した。
「皆さんには、始まる前に一つ昔話をしましょう」
男は語る。
遥か昔、この村は流刑を免れた罪人達が再犯を犯さぬようにと閉じ込めた収容場として作られました。
ある日、その村で不可解な死人が出ました。
それはまるで、磔にされているような姿でした。
その磔にされた死人には文が括りつけられていました。
その文にはこう書かれていました。
『この罪に塗れた村を粛清しにやってきた。これから十日間、私はお前たちの罪を裁くだろう。この村に紛れ込んでいる、私、神を暴けば命だけは助けてやろう』と。
村人はその文を見て恐怖に怯え、また、紛れ込んでいる神を見つけようと疑心暗鬼になっていきました。
そんな村の中で一日毎に行われる裁き。
あるモノは手をもがれ、あるモノは口を縫われ、またあるモノは心の臓が抜き取られていました。
そして運命の十日目を迎え、村人達はこれで村はおしまいだと誰もが確信していました。
しかし、この村に見覚えのない罪で収容されていた一人の青年だけは違いました。
彼は村に紛れている神を見事暴きました。
暴かれた神、イサ様は彼を賞賛し、山の奥へと消えていきました。
こうして、村に平和が訪れたのでした。村人は神暴いた彼を何時までも称えていました。
しかし、イサ様はコレだけでは満足しませんでした。
次は、自分の分身である“狩り手”を寄越し、村人に挑むようになりました。
しかし、これは金持ちが自分の利益のために作ったまやかしの祭りでした。
そこに、初代の暴き手が現れ、それを暴いたのです。
そして、まやかしの神暴きは幕を閉じたのです。
「そして、今日ここに始まりますは、真の神暴きにございます」
男はそう言って恭しく一礼をする。
「ふざけるな、俺達を直ぐに返せ」
「そうよ。家に戻して!」
人々は即刻こんな村から出せと怒りを能面の男につけてきた。
「残念ながらそれは出来ません。あなた方はここで死んでもらわなければなりません」
能面の男はニヤリと笑う。
「私は神から神託を受けました。この世には裁くべき人間が多すぎると、初代の暴き手はその任務を背負っていたのに、彼は弱くて裁くことが出来ませんでした。だから、神は私に託されたのです。人々を裁くことを」
能面の男が右手で合図をすると、一斉に銃撃が始まり、人々は折り重なるようにしてしんでいった。
「一沙様、これでいいんですね」
「……そうだ」
男が能面を取ると、それは貴札の姿だった。
その横にはイリサがニッコリと笑っていた。
貴札は一沙から神託を受けて、未来永劫の狩り手となった。
狩り手は人々を連れ去り、その罪を次々と裁いていく。
そのことを弐沙と怜は知る由もなかった。だって、彼らは何も知らされていないのだから。
「さぁ、弐沙の代わりに君が神の裁きを続けよう。新たな暴き手がこの村に誕生するまでは。未来永劫、ずっとね」
そう言ってイリサは笑った。
さぁ、神暴きを続けよう。
狂気の祭りのハジマリハジマリ。
行方不明者扱いとなって、数年後、死亡扱いとなった。
兄さんの最期の手がかりとなるのは、僕に言った祭りへ行くという事実だけ。
十年後、僕は兄さんの部屋を必死に捜索して、そして見つけた。
神暴きへの招待状を。
一体、どんなものかと思い、検索しても出てくることは無かった。
僕は必死に探し回って、図書館でとある古文書を見つけたのだ。
其処には、神暴きについての詳細なものが書かれていた。
さらに、それ関連の資料を探した結果、神暴きの参加者は助かることはないという結論に辿り着いたのだ。
こんな祭りによって。僕は最愛の兄さんを失ったのかと、その日は涙が枯れるくらい泣いた。
そして、こんな祭りなんて終わらせてやるという気持ちが湧いてきた。
更に僕は神暴きに付いて調べていくと、現代の神暴きは“聖神の会”という秘密結社が指揮しているということが分かった。
僕は何とかしてその組織に潜り込みたいと考えていた。あらゆる手段を使ってでも。
そして、念願叶い、僕はその秘密結社に潜り込むことが出来たのだ。
忠実な彼らの狗として。
そして、神暴きの真の姿に見えることが出来た。それは金持ちの道楽で意地汚い大人達が人の命を賭けて遊ぶという酷いものだった。
僕の心は憎悪の炎で焼きつかれそうにだった。
だから、この計画はなんとしてでも成功させないといけないと思った。
彼らに忠実なフリをして確実に僕は地位を高めていく。
そして、神暴きの総指揮を任されることとなった。
全て計画通りにいった。怖いくらいに。
暴き手はもちろん最初から決めていた。
初代暴き手で神となった、弐沙だ。
古文書で呼んだとき、僕は彼にとてつもない憧れを感じていた。
現代にいける不老不死。彼をもし対峙することになったら僕はどれだけ興奮するだろうと、そんな事を考え、神暴きのシナリオを作っていっていた。
ついにその日が来た。僕は参加者に扮して作ったシナリオ通りに裁きを行っていった。
弐沙が僕のシナリオに気づいて、きっと狩り手を、そして僕を見つけてくれると信じていた。
僕の考えたとおりに弐沙は僕を暴いてくれた。
そして、僕を本気で倒そうとしてくれた。
正直嬉しすぎて、ついつい本音を漏らしてしまった。
「もしかすれば。誰もこんな惨たらしい死に方なんてしなくても良かったかもしれない。今回の参加者だって、歴代の参加者だって、そして……、兄さんだって」
その本音は弐沙の耳にも入ってしまったようで、僕が逃げようとした途端。
チリッ。
急に左目が焼けるように熱くなっていた。
よく見ると、僕を睨んで弐沙が何かを呟いているのだ。
そう、彼は僕を祟ったのだ。
「……やってくれましたね?」
僕は彼に向かって笑う。
「私を痛めつけてくれた御礼としての“贈り物”だ。有難く受け取れ」
彼も僕に向かって笑った。
「今生、大事にするとしましょう。では、ごきげんよう。またお会いできる日を楽しみにしておきましょう」
戻ってみると、左目には何やら赤い紋様が刻まれていた。
どうやら古代文字のような類いらしい。
僕はその意味を調べてみると、
『永遠という生に苦しみもがけ』
という意味の文字が刻まれているのが分かった。
実に弐沙らしいやと僕は笑った。
そして、弐沙に祟られたことによって、僕は不老不死となった。
今なら、あの奴らを倒せると考えた。そして、奴らから奪い取った資金で私兵を雇い、彼らの本拠地を襲撃した。それが事の顛末だ。
「さぁ、これからどうしようか」
僕は神暴きが行われていた。あの村へ気が付いたら足を運んでいた。
きっと他に行くあてなどない。
そう途方に暮れていた。
「何をなされているんですか?」
黄昏ている僕を医者のような格好の男が訪ねる。
「何をしたいのか分からなくて、ここにきてしまったんです」
「そうなんですか。僕の名前はイリサって言います。もしよろしかったら、お話でもききましょうか?」
男はそう言って、易しく僕の手を取ってくれた。
時はいくらか過ぎ、F村には十数人の人々が集められた。
「おい、一体ここはドコだ」
「私、家に居たはずなのに、何でこんな村に」
「一体何がどうなってるんだ」
人々は今の状況を把握できずにいた。
「皆さん、よくぞお集まりいただけました」
能面を被った男は嬉しそうに、人々を歓迎した。
「皆さんには、始まる前に一つ昔話をしましょう」
男は語る。
遥か昔、この村は流刑を免れた罪人達が再犯を犯さぬようにと閉じ込めた収容場として作られました。
ある日、その村で不可解な死人が出ました。
それはまるで、磔にされているような姿でした。
その磔にされた死人には文が括りつけられていました。
その文にはこう書かれていました。
『この罪に塗れた村を粛清しにやってきた。これから十日間、私はお前たちの罪を裁くだろう。この村に紛れ込んでいる、私、神を暴けば命だけは助けてやろう』と。
村人はその文を見て恐怖に怯え、また、紛れ込んでいる神を見つけようと疑心暗鬼になっていきました。
そんな村の中で一日毎に行われる裁き。
あるモノは手をもがれ、あるモノは口を縫われ、またあるモノは心の臓が抜き取られていました。
そして運命の十日目を迎え、村人達はこれで村はおしまいだと誰もが確信していました。
しかし、この村に見覚えのない罪で収容されていた一人の青年だけは違いました。
彼は村に紛れている神を見事暴きました。
暴かれた神、イサ様は彼を賞賛し、山の奥へと消えていきました。
こうして、村に平和が訪れたのでした。村人は神暴いた彼を何時までも称えていました。
しかし、イサ様はコレだけでは満足しませんでした。
次は、自分の分身である“狩り手”を寄越し、村人に挑むようになりました。
しかし、これは金持ちが自分の利益のために作ったまやかしの祭りでした。
そこに、初代の暴き手が現れ、それを暴いたのです。
そして、まやかしの神暴きは幕を閉じたのです。
「そして、今日ここに始まりますは、真の神暴きにございます」
男はそう言って恭しく一礼をする。
「ふざけるな、俺達を直ぐに返せ」
「そうよ。家に戻して!」
人々は即刻こんな村から出せと怒りを能面の男につけてきた。
「残念ながらそれは出来ません。あなた方はここで死んでもらわなければなりません」
能面の男はニヤリと笑う。
「私は神から神託を受けました。この世には裁くべき人間が多すぎると、初代の暴き手はその任務を背負っていたのに、彼は弱くて裁くことが出来ませんでした。だから、神は私に託されたのです。人々を裁くことを」
能面の男が右手で合図をすると、一斉に銃撃が始まり、人々は折り重なるようにしてしんでいった。
「一沙様、これでいいんですね」
「……そうだ」
男が能面を取ると、それは貴札の姿だった。
その横にはイリサがニッコリと笑っていた。
貴札は一沙から神託を受けて、未来永劫の狩り手となった。
狩り手は人々を連れ去り、その罪を次々と裁いていく。
そのことを弐沙と怜は知る由もなかった。だって、彼らは何も知らされていないのだから。
「さぁ、弐沙の代わりに君が神の裁きを続けよう。新たな暴き手がこの村に誕生するまでは。未来永劫、ずっとね」
そう言ってイリサは笑った。
さぁ、神暴きを続けよう。
狂気の祭りのハジマリハジマリ。
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