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夏フェス、カンナ隠し子事件!?
その2
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「か、か、かかかかかかか……」
女児にパパと指差された俺を見て、史はまるでバイブレーションかのように細かく振動を始めた。
「カンちゃんのことをパパって……、コレはもしかして隠し子?」
「というか、お相手の女性が居ただなんて!!」
史は二重にショックを受けてワナワナと震える。
「結局のところそこかよ。というか隠し子なんて居ないし」
「え、ということは、既に認知しているの!?」
「あー、もう、面倒くさいなぁ!」
俺の大声に女児がビックリして、ポロポロと涙を流した。
「ううっ……」
俺は女児の泣き顔にギョッとして、急いで女児の目線の高さまで屈み、慰める。
「ごめんよぅ。君に対して怒った訳じゃないんだ。だから、泣くなって……」
「いーけないんだ、いけないんだ。女の子を泣かすなんて」
そう囃す史をギロっと睨みつけながら、俺は女児を慰めていると。いきなり両腕を俺の前に出して、
「パパ。だっこ」
そういって、俺に抱きついてくるので、仕方なく女児を抱き上げてあげると、女児は満足そうに笑った。
「んー、なかなか様になっているねぇ。本当の親子みたい」
「だから、違うからな。あ、そうだ。お名前と歳は言えるかな?」
俺は女児に名前と年齢を尋ねる。
「えっとね、にゅいはじぇゆう、4しゃい」
“ゆう”と名乗った女児は元気よく指で4を表現する。
「はい、よく言えました。偉いね」
「えへへ。パパにほめられた。ゆううれしいー!」
ゆうちゃんは俺に褒められて、ジタバタと暴れるので、危うく落しそうになる。
「おっと、危ない」
「ゆうちゃんは今日は誰とここに来たのか、お兄ちゃんに教えてくれないかな?」
史がゆうちゃんに訊くと、ゆうちゃんは暫し考えて、
「えーっと、ゆうでしょ? りんねーちゃんとね、ママとね来たんだよ!! ゆうが遊んでたらね、ママたちが居なくなったんだけどね、パパに会えたから嬉しいの」
ゆうちゃんは指折って数えながら俺達に誰と来たのか答えた。
ということは、母親と姉の3人で来て、父親は来ていないという事か
「ゆうちゃん、疲れちゃったから抱っこおしまいね」
俺はゆうちゃんを下ろす。少しゆうちゃんは名残惜しそうな表情をしたが、直ぐに俺の脚に抱きついてきた。
そんな中俺はスマホを取り出し、【テリトリー】を立ち上げる。
「ん? 【テリトリー】で何を調べるの?」
「SNSで迷子を捜している奴が居るんじゃないかと思って調べるんだよ」
“ノイサン”、“迷子”という検索項目でSNSのリアルタイム検索をかけてみる。
すると、結構な数の検索結果が表示された。その数5000件。
「迷子になる奴多すぎじゃねぇか!」
「会場が広いからねぇ。はぐれたときの待ち合わせ場所を決めておかないと結構大変だよ。よい子は広い会場ではちゃんと待ち合わせ場所を決めておこうね。わかったかな?」
「はーい!」
史の言葉にゆうちゃんが元気よく返事をする光景に若干和みつつ、俺は更にゆうちゃんの服装と髪型を追加で検索項目に打ち込んだ。
すると、検索件数があっという間に0件へと変わった。
「ということは、SNSに迷子情報を載せて居ないということか」
「まだ4歳の女の子だしね。SNSに掲載したらそれこそ誘拐されたりしたら大変だし。ここは迷子センターのテントへ連れて行くしか無いんじゃないかなぁ?」
「やっぱりそうするしかないか。でも、俺はそろそろ出番が来るし、史頼めるか?」
「あいあいさー。ゆうちゃん、ココは暑いし、お兄ちゃんと迷子センターのテントで涼みに行こうか?」
史がゆうちゃんに手を差し伸べるが、俺の脚に掴まったまま動かない。
「行かない! ゆうはパパと一緒にいっしょにいる!」
そう言って俺の脚から離れようとしない。
コレは非常に面倒くさいことになったぞ。
何が一番面倒くさいって……、
この一部始終をノイサンのスタッフとアーティストの方々が見ているということだ。
幸いにも、白樺鬼軍曹は別件の仕事で今日は居ないが、後で誰かに聞いていじられてしまっては終わりだ。
……後で、スタッフには口止めをしておこう。
「ゆうちゃん、俺はこれから仕事があるから、この能天気なお兄ちゃんと一緒に待っててくれないかな?」
「え、俺のことを能天気とか酷くない?!」
史はそう文句を言うが、事実だから仕方ないよなーという意味を込めて、俺は史に微笑みかける。
「うん、分かった。パパを待つ」
「よし、良い子だ。あと、史、コレ」
俺は、史に紙切れを手渡す。
「ん? 何かの電話番号?」
「迷子センターのテント責任者が持っている携帯の番号だ。そこに電話をかけて迷子放送をして貰っていてくれ。どうせ連れていっても泣いちゃうだろうし」
「了解。任せなよ、パパ♪」
「……後で覚えてろよ?」
俺がニコリと笑うと、史はヒィと軽い悲鳴を上げた。
「カンナさん、そろそろ出番です」
ステージ側のスタッフが俺の出番が迫っていることを知らせてくる。
「はーい。じゃあ、後は頼んだぞ」
「りょーかい」
「パパいってらっしゃいー」
史は敬礼をし、ゆうちゃんはブンブンと腕を振りながら俺のことを見送る。
やっぱり、パパ呼びされるのが恥ずかしい俺は、ゆうちゃんの目線までしゃがんで言い聞かせる。
「ゆうちゃん、俺の名前はカンナだから、パパじゃなくて、そうだなぁ……“カンちゃん”って呼んでくれないかなぁ?」
「うん! 分かった! カンちゃんいってらっしゃーい!」
女児にパパと指差された俺を見て、史はまるでバイブレーションかのように細かく振動を始めた。
「カンちゃんのことをパパって……、コレはもしかして隠し子?」
「というか、お相手の女性が居ただなんて!!」
史は二重にショックを受けてワナワナと震える。
「結局のところそこかよ。というか隠し子なんて居ないし」
「え、ということは、既に認知しているの!?」
「あー、もう、面倒くさいなぁ!」
俺の大声に女児がビックリして、ポロポロと涙を流した。
「ううっ……」
俺は女児の泣き顔にギョッとして、急いで女児の目線の高さまで屈み、慰める。
「ごめんよぅ。君に対して怒った訳じゃないんだ。だから、泣くなって……」
「いーけないんだ、いけないんだ。女の子を泣かすなんて」
そう囃す史をギロっと睨みつけながら、俺は女児を慰めていると。いきなり両腕を俺の前に出して、
「パパ。だっこ」
そういって、俺に抱きついてくるので、仕方なく女児を抱き上げてあげると、女児は満足そうに笑った。
「んー、なかなか様になっているねぇ。本当の親子みたい」
「だから、違うからな。あ、そうだ。お名前と歳は言えるかな?」
俺は女児に名前と年齢を尋ねる。
「えっとね、にゅいはじぇゆう、4しゃい」
“ゆう”と名乗った女児は元気よく指で4を表現する。
「はい、よく言えました。偉いね」
「えへへ。パパにほめられた。ゆううれしいー!」
ゆうちゃんは俺に褒められて、ジタバタと暴れるので、危うく落しそうになる。
「おっと、危ない」
「ゆうちゃんは今日は誰とここに来たのか、お兄ちゃんに教えてくれないかな?」
史がゆうちゃんに訊くと、ゆうちゃんは暫し考えて、
「えーっと、ゆうでしょ? りんねーちゃんとね、ママとね来たんだよ!! ゆうが遊んでたらね、ママたちが居なくなったんだけどね、パパに会えたから嬉しいの」
ゆうちゃんは指折って数えながら俺達に誰と来たのか答えた。
ということは、母親と姉の3人で来て、父親は来ていないという事か
「ゆうちゃん、疲れちゃったから抱っこおしまいね」
俺はゆうちゃんを下ろす。少しゆうちゃんは名残惜しそうな表情をしたが、直ぐに俺の脚に抱きついてきた。
そんな中俺はスマホを取り出し、【テリトリー】を立ち上げる。
「ん? 【テリトリー】で何を調べるの?」
「SNSで迷子を捜している奴が居るんじゃないかと思って調べるんだよ」
“ノイサン”、“迷子”という検索項目でSNSのリアルタイム検索をかけてみる。
すると、結構な数の検索結果が表示された。その数5000件。
「迷子になる奴多すぎじゃねぇか!」
「会場が広いからねぇ。はぐれたときの待ち合わせ場所を決めておかないと結構大変だよ。よい子は広い会場ではちゃんと待ち合わせ場所を決めておこうね。わかったかな?」
「はーい!」
史の言葉にゆうちゃんが元気よく返事をする光景に若干和みつつ、俺は更にゆうちゃんの服装と髪型を追加で検索項目に打ち込んだ。
すると、検索件数があっという間に0件へと変わった。
「ということは、SNSに迷子情報を載せて居ないということか」
「まだ4歳の女の子だしね。SNSに掲載したらそれこそ誘拐されたりしたら大変だし。ここは迷子センターのテントへ連れて行くしか無いんじゃないかなぁ?」
「やっぱりそうするしかないか。でも、俺はそろそろ出番が来るし、史頼めるか?」
「あいあいさー。ゆうちゃん、ココは暑いし、お兄ちゃんと迷子センターのテントで涼みに行こうか?」
史がゆうちゃんに手を差し伸べるが、俺の脚に掴まったまま動かない。
「行かない! ゆうはパパと一緒にいっしょにいる!」
そう言って俺の脚から離れようとしない。
コレは非常に面倒くさいことになったぞ。
何が一番面倒くさいって……、
この一部始終をノイサンのスタッフとアーティストの方々が見ているということだ。
幸いにも、白樺鬼軍曹は別件の仕事で今日は居ないが、後で誰かに聞いていじられてしまっては終わりだ。
……後で、スタッフには口止めをしておこう。
「ゆうちゃん、俺はこれから仕事があるから、この能天気なお兄ちゃんと一緒に待っててくれないかな?」
「え、俺のことを能天気とか酷くない?!」
史はそう文句を言うが、事実だから仕方ないよなーという意味を込めて、俺は史に微笑みかける。
「うん、分かった。パパを待つ」
「よし、良い子だ。あと、史、コレ」
俺は、史に紙切れを手渡す。
「ん? 何かの電話番号?」
「迷子センターのテント責任者が持っている携帯の番号だ。そこに電話をかけて迷子放送をして貰っていてくれ。どうせ連れていっても泣いちゃうだろうし」
「了解。任せなよ、パパ♪」
「……後で覚えてろよ?」
俺がニコリと笑うと、史はヒィと軽い悲鳴を上げた。
「カンナさん、そろそろ出番です」
ステージ側のスタッフが俺の出番が迫っていることを知らせてくる。
「はーい。じゃあ、後は頼んだぞ」
「りょーかい」
「パパいってらっしゃいー」
史は敬礼をし、ゆうちゃんはブンブンと腕を振りながら俺のことを見送る。
やっぱり、パパ呼びされるのが恥ずかしい俺は、ゆうちゃんの目線までしゃがんで言い聞かせる。
「ゆうちゃん、俺の名前はカンナだから、パパじゃなくて、そうだなぁ……“カンちゃん”って呼んでくれないかなぁ?」
「うん! 分かった! カンちゃんいってらっしゃーい!」
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