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défendu
伯爵家次男 ロイク・シルヴェストル・シャンデルナゴール
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「ロイク……?それが…あなたの本当の名前なの?ルイ。」
突然打ち明けられた衝撃的な事実に驚いた様子のアメリーが、ルイ…もといロイクを見つめている。
「ああ。でももうこの名は捨てたんだ。あの家を出てからの俺は貴族なんかじゃない。君の知ってるルイだ。いつか話そうと思っていたんだ。君に隠し事なんかしたくないからね。」
そう言ってロイクは過去の自分を全てアメリーにさらけ出した。
自分はシャンデルナゴール伯爵の次男として生まれ、幼い頃から親の指示通りに生きてきたこと。いずれはどこかの貴族と結婚させられ、シャンデルナゴール家の血筋を残さなければならなかったこと。そして、その全てが嫌になり家も名前も全て捨てて一人で生きていこうと決めたことを。
「…でも、結局1人で生きるなんて無理だった。貴族の世界から出たことが無く市民の生活の厳しさを知らなかった俺は…あの時君に助けられなかったらどこかで野垂れ死んでいただろうね…。ありがとうアメリー。」
ロイクは改めてアメリーに感謝の言葉を伝えた。
そんなロイクを見つめながらアメリーは不安そうな顔をした。
「…あなたが元貴族だということは分かったわ。…でもそうなると、沢山の人があなたを探してるんじゃ……」
アメリーの言う通りだ。
ロイクが家を出てからシャンデルナゴール家の召使達は血眼になってロイクを捜しているに違いない。
今いる場所も安全だとは言いきれない。
「そう…俺があの家の奴らに見つかるのも時間の問題なんだ。だから家を出た当初は色んな街を転々としながらいずれは国境を越えて隣国に逃げるつもりだった……でも……」
言葉の途中でロイクはアメリーを抱き寄せた。
「今の俺には君が居る。君をこの街に残して1人で逃亡するなんて考えられない。」
ロイクがこの世で唯一愛する人であるアメリー。16年の人生の中で初めて人を愛することが出来たのは紛れも無く彼女のお陰だ。そんな大切な人と別れるなど死んでも出来ないとロイクは強く感じていた。
「私も…一緒にこの街を離れればいいの?」
不安そうなアメリー。彼女から体を離しロイクは首を横に振った。
「いや、君はこの街の人達…特に花屋の夫妻にとっては無くてはならない存在だ。俺一人の我儘の為に君を振り回すなんて考えていない。ただ…俺は今まで以上に目立たないよう行動する。外出は仕事と必需品の調達のみに絞って…今までのように君とこの街を歩くことも出来なくなる……。」
つい先日、アメリーと街を歩いている時に嫌な視線を感じたロイク。振り返らずに横目で見るとマクシミリアン家の長男と召使がいたのだ。彼らが自分の両親に告げ口するかもしれない。
「仕事の方はより良い物を仕立てる為に客に見えない部屋で集中したいとかって理由をつけてシェロンさんを説得するつもりだ。休憩時間も部屋に籠って過ごすから…今までみたいに君に会いに行けない……。」
視線を落とすロイク。そんな彼にアメリーは明るく答えた。
「でも、それなら私が会いに行けばいいじゃない!街を散歩出来なくてもあなたと2人なら楽しいわよ!」
無邪気なアメリーの笑顔にロイクは益々罪悪感を覚えた。
「本当に申し訳ない……。君のような素敵な女性は俺のような陰で生きる男じゃなくて堂々と人前を歩ける良い男に大切にされるべきなのに……」
アメリーは15歳。ロイクは年頃の彼女から普通の恋愛を奪っているような気がしてならなかった。それでも自分は彼女無しでは生きられないから別れを告げることも出来ない。しかし、そんな彼のジレンマをアメリーはあっさりとかき消した。
「他の男性なんて興味無いわ!私が好きなのはあなただけよ。」
そう言ってアメリーはロイクの頬にキスをした。ロイクは驚いた表情でアメリーを見た後、彼女をゆっくりと抱き寄せた。
「ありがとう……。俺はこれからも君の恋人…ルイ・シャノワーヌだ。」
その日、アメリーは孤児院へ帰ることは無かった。
突然打ち明けられた衝撃的な事実に驚いた様子のアメリーが、ルイ…もといロイクを見つめている。
「ああ。でももうこの名は捨てたんだ。あの家を出てからの俺は貴族なんかじゃない。君の知ってるルイだ。いつか話そうと思っていたんだ。君に隠し事なんかしたくないからね。」
そう言ってロイクは過去の自分を全てアメリーにさらけ出した。
自分はシャンデルナゴール伯爵の次男として生まれ、幼い頃から親の指示通りに生きてきたこと。いずれはどこかの貴族と結婚させられ、シャンデルナゴール家の血筋を残さなければならなかったこと。そして、その全てが嫌になり家も名前も全て捨てて一人で生きていこうと決めたことを。
「…でも、結局1人で生きるなんて無理だった。貴族の世界から出たことが無く市民の生活の厳しさを知らなかった俺は…あの時君に助けられなかったらどこかで野垂れ死んでいただろうね…。ありがとうアメリー。」
ロイクは改めてアメリーに感謝の言葉を伝えた。
そんなロイクを見つめながらアメリーは不安そうな顔をした。
「…あなたが元貴族だということは分かったわ。…でもそうなると、沢山の人があなたを探してるんじゃ……」
アメリーの言う通りだ。
ロイクが家を出てからシャンデルナゴール家の召使達は血眼になってロイクを捜しているに違いない。
今いる場所も安全だとは言いきれない。
「そう…俺があの家の奴らに見つかるのも時間の問題なんだ。だから家を出た当初は色んな街を転々としながらいずれは国境を越えて隣国に逃げるつもりだった……でも……」
言葉の途中でロイクはアメリーを抱き寄せた。
「今の俺には君が居る。君をこの街に残して1人で逃亡するなんて考えられない。」
ロイクがこの世で唯一愛する人であるアメリー。16年の人生の中で初めて人を愛することが出来たのは紛れも無く彼女のお陰だ。そんな大切な人と別れるなど死んでも出来ないとロイクは強く感じていた。
「私も…一緒にこの街を離れればいいの?」
不安そうなアメリー。彼女から体を離しロイクは首を横に振った。
「いや、君はこの街の人達…特に花屋の夫妻にとっては無くてはならない存在だ。俺一人の我儘の為に君を振り回すなんて考えていない。ただ…俺は今まで以上に目立たないよう行動する。外出は仕事と必需品の調達のみに絞って…今までのように君とこの街を歩くことも出来なくなる……。」
つい先日、アメリーと街を歩いている時に嫌な視線を感じたロイク。振り返らずに横目で見るとマクシミリアン家の長男と召使がいたのだ。彼らが自分の両親に告げ口するかもしれない。
「仕事の方はより良い物を仕立てる為に客に見えない部屋で集中したいとかって理由をつけてシェロンさんを説得するつもりだ。休憩時間も部屋に籠って過ごすから…今までみたいに君に会いに行けない……。」
視線を落とすロイク。そんな彼にアメリーは明るく答えた。
「でも、それなら私が会いに行けばいいじゃない!街を散歩出来なくてもあなたと2人なら楽しいわよ!」
無邪気なアメリーの笑顔にロイクは益々罪悪感を覚えた。
「本当に申し訳ない……。君のような素敵な女性は俺のような陰で生きる男じゃなくて堂々と人前を歩ける良い男に大切にされるべきなのに……」
アメリーは15歳。ロイクは年頃の彼女から普通の恋愛を奪っているような気がしてならなかった。それでも自分は彼女無しでは生きられないから別れを告げることも出来ない。しかし、そんな彼のジレンマをアメリーはあっさりとかき消した。
「他の男性なんて興味無いわ!私が好きなのはあなただけよ。」
そう言ってアメリーはロイクの頬にキスをした。ロイクは驚いた表情でアメリーを見た後、彼女をゆっくりと抱き寄せた。
「ありがとう……。俺はこれからも君の恋人…ルイ・シャノワーヌだ。」
その日、アメリーは孤児院へ帰ることは無かった。
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