6 / 15
défendu
ルイ・シャノワーヌ
しおりを挟む
???
今、アメリーはなんと言った?
ルイは自分の聞き間違いかもしれないと思い、聞き返した。
「え、えっと…今なんて?」
「?えっと、もしルイさんが良ければここで2人で暮らしませんか?って言ったんですけど…野宿よりはマシかなぁって…」
聞き間違いではなかった。彼女は確かに『ここで2人で暮らそう』と言った。昨日初めて会ったばかりのルイに。予想外の発言にルイは困惑した。
「え、いや、ちょっと待って。えーと、そもそもここって人連れ込んじゃいけないんだよね?…いや、問題はそこじゃないか…えーと…」
慌てるルイにアメリーは笑顔で答える。
「はい。でも窓から出入りすればバレないですよ!ここだけの話、近くの部屋の子たちもこっそり友達入れたりしてるんです。だからもしその子たちにバレてしまったとしても先生方にさえ見つからなければ問題ありません!」
そうか。見つからなければ…
いや、そういう問題じゃない!
ルイはぶんぶんと首を横に振った。
「いやいや問題はそこじゃないんだよ…。アメリー、俺、男なんだよ?」
「はい。知ってますよ!」
何の躊躇いもなく即答するアメリー。しっかりした子だと思ったが、彼女はどうやら他人を疑う事を知らないようだ。ルイはアメリーの瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「俺を疑わないでくれるのは凄く嬉しい。でも、アメリー。俺と君は昨日出会ったばかりなんだよ?もしも俺が悪人だったらどうする?気付いた時には手遅れ…女性である君は男である俺に力では勝てないよ……。」
アメリーの優しさには凄く感謝しているし、尊敬もしている。しかし世の中は汚い人間だらけだということをルイは痛い程知っているのだ。
アメリーは驚いたのか暫く黙っていたが、やがて口を開いた。
「私も…何も全ての人を信じているわけではありません。世の中には悪い人が沢山いる事も分かっています。でも…ルイさんは違う…!なんでか分からないけど…そう思うんです。……それじゃあ駄目ですか?」
真剣な眼差しをルイに向けるアメリー。
『困っている人を助けるのは当たり前』と彼女は言っていた。そんな彼女に今のルイを見捨てる事など出来ないのだろう。
「…ありがとう。それじゃあ、住む場所が見つかるまでの間だけ…世話になるよ。勿論出来るだけ早く出て行けるように努力するから…。よろしく。」
ルイがそう言うとアメリーはニコッと笑った。
「そうと決まれば!今日は私はお仕事お休みでルイさんは病み上がりなのでゆっくりしてて下さいね!私、朝食取ってくるので2人で分けて食べましょう!」
そう言うとアメリーは部屋を出た。
1人部屋に残されたルイはもしアメリー以外の人物が入ってきたらどこに隠れようかと辺りを見回した。
ルイ・シャノワーヌとアメリー・ミシュレ。この2人の出会いが、悲劇の始まりだということをこの時は誰も知る由もなかった。
今、アメリーはなんと言った?
ルイは自分の聞き間違いかもしれないと思い、聞き返した。
「え、えっと…今なんて?」
「?えっと、もしルイさんが良ければここで2人で暮らしませんか?って言ったんですけど…野宿よりはマシかなぁって…」
聞き間違いではなかった。彼女は確かに『ここで2人で暮らそう』と言った。昨日初めて会ったばかりのルイに。予想外の発言にルイは困惑した。
「え、いや、ちょっと待って。えーと、そもそもここって人連れ込んじゃいけないんだよね?…いや、問題はそこじゃないか…えーと…」
慌てるルイにアメリーは笑顔で答える。
「はい。でも窓から出入りすればバレないですよ!ここだけの話、近くの部屋の子たちもこっそり友達入れたりしてるんです。だからもしその子たちにバレてしまったとしても先生方にさえ見つからなければ問題ありません!」
そうか。見つからなければ…
いや、そういう問題じゃない!
ルイはぶんぶんと首を横に振った。
「いやいや問題はそこじゃないんだよ…。アメリー、俺、男なんだよ?」
「はい。知ってますよ!」
何の躊躇いもなく即答するアメリー。しっかりした子だと思ったが、彼女はどうやら他人を疑う事を知らないようだ。ルイはアメリーの瞳を真っ直ぐに見つめて言った。
「俺を疑わないでくれるのは凄く嬉しい。でも、アメリー。俺と君は昨日出会ったばかりなんだよ?もしも俺が悪人だったらどうする?気付いた時には手遅れ…女性である君は男である俺に力では勝てないよ……。」
アメリーの優しさには凄く感謝しているし、尊敬もしている。しかし世の中は汚い人間だらけだということをルイは痛い程知っているのだ。
アメリーは驚いたのか暫く黙っていたが、やがて口を開いた。
「私も…何も全ての人を信じているわけではありません。世の中には悪い人が沢山いる事も分かっています。でも…ルイさんは違う…!なんでか分からないけど…そう思うんです。……それじゃあ駄目ですか?」
真剣な眼差しをルイに向けるアメリー。
『困っている人を助けるのは当たり前』と彼女は言っていた。そんな彼女に今のルイを見捨てる事など出来ないのだろう。
「…ありがとう。それじゃあ、住む場所が見つかるまでの間だけ…世話になるよ。勿論出来るだけ早く出て行けるように努力するから…。よろしく。」
ルイがそう言うとアメリーはニコッと笑った。
「そうと決まれば!今日は私はお仕事お休みでルイさんは病み上がりなのでゆっくりしてて下さいね!私、朝食取ってくるので2人で分けて食べましょう!」
そう言うとアメリーは部屋を出た。
1人部屋に残されたルイはもしアメリー以外の人物が入ってきたらどこに隠れようかと辺りを見回した。
ルイ・シャノワーヌとアメリー・ミシュレ。この2人の出会いが、悲劇の始まりだということをこの時は誰も知る由もなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クアドロフォニアは突然に
七星満実
ミステリー
過疎化の進む山奥の小さな集落、忍足(おしたり)村。
廃校寸前の地元中学校に通う有沢祐樹は、卒業を間近に控え、県を出るか、県に留まるか、同級生たちと同じく進路に迷っていた。
そんな時、東京から忍足中学へ転入生がやってくる。
どうしてこの時期に?そんな疑問をよそにやってきた彼は、祐樹達が想像していた東京人とは似ても似つかない、不気味な風貌の少年だった。
時を同じくして、耳を疑うニュースが忍足村に飛び込んでくる。そしてこの事をきっかけにして、かつてない凄惨な事件が次々と巻き起こり、忍足の村民達を恐怖と絶望に陥れるのであった。
自分たちの生まれ育った村で起こる数々の恐ろしく残忍な事件に対し、祐樹達は知恵を絞って懸命に立ち向かおうとするが、禁忌とされていた忍足村の過去を偶然知ってしまったことで、事件は思いもよらぬ展開を見せ始める……。
青春と戦慄が交錯する、プライマリーユースサスペンス。
どうぞ、ご期待ください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
総務の黒川さんは袖をまくらない
八木山
ミステリー
僕は、総務の黒川さんが好きだ。
話も合うし、お酒の趣味も合う。
彼女のことを、もっと知りたい。
・・・どうして、いつも長袖なんだ?
・僕(北野)
昏寧堂出版の中途社員。
経営企画室のサブリーダー。
30代、うかうかしていられないなと思っている
・黒川さん
昏寧堂出版の中途社員。
総務部のアイドル。
ギリギリ20代だが、思うところはある。
・水樹
昏寧堂出版のプロパー社員。
社内をちょこまか動き回っており、何をするのが仕事なのかわからない。
僕と同い年だが、女性社員の熱い視線を集めている。
・プロの人
その道のプロの人。
どこからともなく現れる有識者。
弊社のセキュリティはどうなってるんだ?
✖✖✖Sケープゴート
itti(イッチ)
ミステリー
病気を患っていた母が亡くなり、初めて出会った母の弟から手紙を見せられた祐二。
亡くなる前に弟に向けて書かれた手紙には、意味不明な言葉が。祐二の知らない母の秘密とは。
過去の出来事がひとつづつ解き明かされ、祐二は母の生まれた場所に引き寄せられる。
母の過去と、お地蔵さまにまつわる謎を祐二は解き明かせるのでしょうか。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる