呪部屋の生贄

猫屋敷 鏡風

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右上ノエルの末路

贖罪

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「主文、被告人右上ノエルを極刑とする。」

私に告げられた死刑判決。
声高らかに笑う私に刑務官が「行くぞ」と冷たく吐き捨てた。

あの事故の後私は病院に運ばれ治療されたらしい。しかし、その事がきっかけで私の正体が右上ノエルだとバレてしまった。どうやらミサリの霊は簡単には死なせてくれないらしい。
刑務官は私を牢屋に戻すと、私の髪を切ると言い出した。

「本来なら日本の死刑は絞首刑だが…裁判長様によると貴様の死刑は3日後呪山にてギロチンで行うそうだ。」

それを聞いて私は思わず大笑いしてしまった。

「マジかよ!ギロチンとか今時!しかも日本だし!」

私の態度が気に触ったのか刑務官は私を殴ってきた。

「態度を弁えろこの凶悪犯!分かっているだろうが呪山は貴様が左川さんを殺した場所だぞ!?左川さんに懺悔しながら死んでいくんだな!」

ミエカを殺した?…ああ、そういう事になってんだった。
私はため息をつくと、刑務官に向かってニヤリと笑って見せた。

「あのさぁ、今更だけど私本当はミエカの事殺してなんかいないんだよ?教えてやろうか?この事件の真相…アンタだけに……」

そして私は一連の出来事を刑務官に話した。
私とミエカがミサリをいじめで自殺に追い込んだこと。それからまずミエカに不可解な出来事が起き、ミエカは会社をクビになったこと。それから何故か私がミエカを殺したことになっていること。洗いざらい真実を全てさらけ出した。それを聞いた刑務官は「はぁ?」と漏らしたが、なんとこの話をしている間立ち聞きをしていたこの事件の担当刑事や裁判官など関係者全員がぞろぞろと集まってきた。そして、幽霊を信じる派と信じない派で一時混乱したが、「何かあったらすべての責任は私が取る。」という裁判長の発言で私は予定通りギロチンで殺されることになった。
まあ別に良いんだけどね、死刑で。元はと言えば私達のいじめから始まった問題なんだし。

ーーー

死刑執行当日、呪山には本当にギロチンが設置されていてその周りを大勢の野次馬達が取り囲んでいた。私が護送車から降ろされると野次馬達は一斉に私に罵詈雑言を浴びせた。

「凶悪殺人犯!」

「そんな女早く殺せ!」

「死ねえええぇ!!」

マスコミっぽい奴らが私にカメラを向け、TVのリポーターらしい奴もいる。
野次馬の1人が投げた石が私の額に直撃した。今にも私を殺しに来そうな野次馬達を警察官達が必死に抑えている。そんな騒ぎを他所に私はギロチンに固定された。

「えー、観客の皆様、マスコミ報道関係者の皆様、本日は右上ノエル公開処刑にお越し頂きありがとうございます…。」

裁判長がマイクを使ってアナウンスしている。日本ってこんなにイカれた国だっけ?そんな私の疑問なんて無視するかのように私の死のカウントダウンが始まった。

「10」

私の死刑を皆楽しんでる。

「9」

まるで年末のカウントダウンみたいだな。

「8」

まあそれだけ私が日本中から嫌われてるってことか。

「7」

…あれ?あの人は……。

「6」

ふと視界に入ったのは泣き叫ぶ1人の中年女性。美穂子おばさん……ごめんね………。

「5」

いじめなんてしたから……。

「4」

ミサリもごめん……。

「3」

ミエカもごめん。

「2」

いじめっ子右上ノエル、死にます。

「1」

死ぬ瞬間まで悪女で居よう。私はニヤリと不敵な笑みを観客に向けた。

「バーイ!」

グキャッ…………
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