呪部屋の生贄

猫屋敷 鏡風

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右上ノエル

潔白の証明

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私を殺人犯に仕立て上げた人間は誰なのか?
ミエカを惨殺して上半身と下半身をバラバラにまでして…その罪を私に擦り付けるということは、ミエカと私の2人に恨みがある人物の可能性が高い。
私がミエカと一緒にやってきた悪事…数え切れない程沢山あった。万引き、恐喝、暴行、いじめ……。
私はネットで私についての情報を調べ、近所の人にも怪しまれない程度に地味にさり気なく色々聞いてみた。しかし、これといった手がかりを得る事は出来なかった。

ある日、いつもの様にエゴサしているととあるブログが目に付いた。

『右上ノエルに殺された』

私に恨みを持つ…もしかすると私に罪を擦り付けた人物のブログだろうか?右上ノエルなんて名前同姓同名で居ないだろうし。私の鼓動はどんどん速くなっていくが、私は思い切ってそのブログを開いた。

『20XX年X月X日
今日は右上と左川に校舎の裏で殴られた。途中から何人かの男子達もやってきて右上に命令されて私を殴った。』

20XX年…今から17年前の日付だ。私が小学6年の時?
私は小学校低学年からずっと色んな人間をいじめてきた。だからこのブログの主が誰なのか全く分からなかった。手がかりを得るため画面をスクロールし読み進める。

『右上が私の机をライターで燃やしてそれを私のせいにして先生に言った。先生は私を怒った。お母さんも私を怒った。本当は私じゃないって言いたかったけど言えなかった。言ったら次は私の髪の毛を燃やすって右上が言うから。』

『右上と左川にお酒を万引きするように命令された。なんとかバレずに盗めたけど右上が欲しかったやつじゃなくて殴られた。』

ここまで読んでも私はこのブログの主が誰なのか分からない。こんないじめ、やったこと自体覚えてないし、やってたとしても多分色んな奴にやってきたと思う。その後も『トイレに閉じ込められて水をかけられた』とか『階段から突き落とされた』とか私にされたことがつらつらと書かれていたが、私は全く思い出せなかった。
しかし、次の書き込みを見て私は凍りついた。

『右上と左川に旧校舎の呪部屋に閉じ込められた。逃げれない。どうしよう。』

旧校舎の呪部屋……
私とミエカがあそこに閉じ込めたのは……

『私はずっと泣きじゃくっている。夜になったけど誰も来ない。先生ももう帰ったのかな…。そうだ…窓からなら逃げれるかもしれない。私はここが4階だということも忘れて飛び降りた。』

そうだ…
あの子は飛び降りたんだ……

『私は死んだ。右上ノエルに殺された。』

私のせいで飛び降りて死んだんだ……

『右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。
右上ノエルに殺された。』

私が殺した……
あの子の名前は……

「つ…きはら……みさり……?」

ようやく思い出した私は震えていた。
月原ミサリ。私とミエカが自殺に追い込んだ少女。
彼女は確かに死んだはず。だとするとこんなブログ書けるわけ……。
もしかして…ミサリは幽霊になって私達に復讐をしたのだろうか?ミエカが会社をクビになったのも私がミエカを殺したことになってるのも全部ミサリの呪い……?
私の頭にその考えが過ぎった時、

〝ヒサシブリ……ヤットオモイダシテクレタンダネ……〟

突如どこからか聞こえた少女の声。私は恐怖のあまり家を飛び出した。
しかし外はもう真っ暗でその上豪雨だった。私はとりあえず美穂子おばさんの家を目指して走った。
おばさんならきっと私を助けてくれるはず。
ずぶ濡れで一目散に走っているとおばさんの家の明かりが見えた。戸が開いておばさんが家から出てきて傘を差す。畑の様子を見に行くのだろうか?そんなおばさんに向かって私は叫んだ。

「助けてっ!美穂子おばさん!」

私の声が届いたのかこちらを向く美穂子おばさん。しかし、

「危ないっ!」

突如おばさんが叫んだ。

「え……」

キイイィーーーーーッ
ドンッ

鈍い音と共に私の体は地面に強く叩きつけられた。そして、全身に強い痛みが走る。私は車に轢かれたらしい。薄れていく意識の中で少女の笑い声が聞こえた気がした。

ミサリ…
いじめたりしてごめん……

私は自分が死んでいくのを感じながら意識を失った……。
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