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左川ミエカ
不可解な現象
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「おい!起きろ!起きろよこのグズ!」
次の日、私はノエルに文字通り叩き起された。
「ん…ノエル……?なに……?」
ノエルが私よりも早く起きている。珍しいなと思っていると、
「てめぇ昨日の仕返しか!?なんなんだよコレ!」
ノエルが見せつけてきたのはズタボロになったノエルのお気に入りのバッグだった。よく見ると『死ね』『人殺し』等の落書きもしてある。
「ノエル…どうしたのこれ……」
聞き返した私をノエルは思いっ切り殴った。
「しらばっくれんじゃねえよ!てめぇの仕業だろ!?昨日の事根に持ってやがったんだな!?あぁ!?」
「ち、違うよ…私じゃな……」
私が言いかけた時、玄関のチャイムが鳴った。
「は、はい……!」
ドアを開けるとそこには怒った様子の管理人さんが立っていた。
「左川さん、もう少し静かにして頂けませんかね?前々からお宅が煩いと他の部屋の方から苦情が来ているんですよ。」
「す、すみません!以後気をつけますので…」
頭を下げ謝罪する私に舌打ちをして管理人さんは去っていった。
「何あのジジイこちとら家賃払ってんだから文句言うなよ。…って、ミエカもそれくらい言い返せよな!」
「そんな……」
どこまでも自己中心的なノエルに私はついていけない。私が溜息をつきながら会社に行く支度をしようとすると、ノエルは持っていたバッグを私に投げつけた。
「それちゃんと弁償しろよな!?50万もしたんだから!」
そう吐き捨てるとノエルはタバコに火をつけた。
ーーー
「ちょっとミエカ、アザだらけじゃん!?どうしたの!?」
会社に行くと隣のデスクのルミが驚いた様子で聞いてきた。
「あはは、大丈夫。私、この資料コピーしなきゃいけないから…」
そう言って立ち上がると私の目の前に上ヶ岡さんが立っていた。
「な…なんですか……」
言いかけた私を上ヶ岡さんは思いっ切り平手打ちした。
「ちょ、上ヶ岡さん!なにしてるんですか!?」
驚いた様子で私たちの所へ駆け寄って来たリカが上ヶ岡さんを睨みつけている。
「左川さん、あなたどういうつもり?どうして会長に下らないイタズラするの!?」
会長?イタズラ?私はさっぱり訳が分からなかった。
「イタズラって何の事ですか…?」
聞き返した私に上ヶ岡さんは来なさいと言って踵を返した。私とルミとリカは顔を見合せると、とりあえず上ヶ岡さんの後を付いて行った。
ーーー
私達が連れてこられたのはモニタールームだった。
上ヶ岡さんがそこに居た警備員さんにお願いしますと何か頼んでいる。
「これ、会長室の監視カメラの映像よ。見なさい。」
上ヶ岡さんに促され私達は映像に注目した。
しかし、そこに映し出された光景に私は思わず目を見開いた。映像には会長室に侵入した私と思しき人物が映り込んでおりその人物は会長が部屋に飾っていた美少女フィギュアを盗んでいたのだ。
「嘘……ミエカ、何で会長のフィギュア盗んだの!?」
ルミが震えた声で私に問い掛ける。
しかし、私はこんなことやっていない。
「違う…これは何かの間違いで……」
「でもこの映像の女ミエカじゃん!」
そう言い放つとルミはリカに泣き付いた。
リカはルミを抱きしめると私を睨みつけた。
「酷いよミエカ。私とルミ信じてたのに……。上ヶ岡さん、すみませんでした。…行こうルミ。」
ルミとリカは上ヶ岡さんに頭を下げると私に軽蔑の眼差しを向け去っていった。
ーーー
あの後、私のデスクの引き出しから会長の盗まれたフィギュアと同人誌が見つかり私は会社をクビになった。私は無実を訴えたが防犯カメラの映像がある以上誰も私を信じてはくれなかった。
私は会社から1000万円の罰金を取られアパートも追い出された。金が無くなった私に用は無いとノエルも離れていった。
行き場を失った私は呪山という山でホームレス生活をする事になった。
次の日、私はノエルに文字通り叩き起された。
「ん…ノエル……?なに……?」
ノエルが私よりも早く起きている。珍しいなと思っていると、
「てめぇ昨日の仕返しか!?なんなんだよコレ!」
ノエルが見せつけてきたのはズタボロになったノエルのお気に入りのバッグだった。よく見ると『死ね』『人殺し』等の落書きもしてある。
「ノエル…どうしたのこれ……」
聞き返した私をノエルは思いっ切り殴った。
「しらばっくれんじゃねえよ!てめぇの仕業だろ!?昨日の事根に持ってやがったんだな!?あぁ!?」
「ち、違うよ…私じゃな……」
私が言いかけた時、玄関のチャイムが鳴った。
「は、はい……!」
ドアを開けるとそこには怒った様子の管理人さんが立っていた。
「左川さん、もう少し静かにして頂けませんかね?前々からお宅が煩いと他の部屋の方から苦情が来ているんですよ。」
「す、すみません!以後気をつけますので…」
頭を下げ謝罪する私に舌打ちをして管理人さんは去っていった。
「何あのジジイこちとら家賃払ってんだから文句言うなよ。…って、ミエカもそれくらい言い返せよな!」
「そんな……」
どこまでも自己中心的なノエルに私はついていけない。私が溜息をつきながら会社に行く支度をしようとすると、ノエルは持っていたバッグを私に投げつけた。
「それちゃんと弁償しろよな!?50万もしたんだから!」
そう吐き捨てるとノエルはタバコに火をつけた。
ーーー
「ちょっとミエカ、アザだらけじゃん!?どうしたの!?」
会社に行くと隣のデスクのルミが驚いた様子で聞いてきた。
「あはは、大丈夫。私、この資料コピーしなきゃいけないから…」
そう言って立ち上がると私の目の前に上ヶ岡さんが立っていた。
「な…なんですか……」
言いかけた私を上ヶ岡さんは思いっ切り平手打ちした。
「ちょ、上ヶ岡さん!なにしてるんですか!?」
驚いた様子で私たちの所へ駆け寄って来たリカが上ヶ岡さんを睨みつけている。
「左川さん、あなたどういうつもり?どうして会長に下らないイタズラするの!?」
会長?イタズラ?私はさっぱり訳が分からなかった。
「イタズラって何の事ですか…?」
聞き返した私に上ヶ岡さんは来なさいと言って踵を返した。私とルミとリカは顔を見合せると、とりあえず上ヶ岡さんの後を付いて行った。
ーーー
私達が連れてこられたのはモニタールームだった。
上ヶ岡さんがそこに居た警備員さんにお願いしますと何か頼んでいる。
「これ、会長室の監視カメラの映像よ。見なさい。」
上ヶ岡さんに促され私達は映像に注目した。
しかし、そこに映し出された光景に私は思わず目を見開いた。映像には会長室に侵入した私と思しき人物が映り込んでおりその人物は会長が部屋に飾っていた美少女フィギュアを盗んでいたのだ。
「嘘……ミエカ、何で会長のフィギュア盗んだの!?」
ルミが震えた声で私に問い掛ける。
しかし、私はこんなことやっていない。
「違う…これは何かの間違いで……」
「でもこの映像の女ミエカじゃん!」
そう言い放つとルミはリカに泣き付いた。
リカはルミを抱きしめると私を睨みつけた。
「酷いよミエカ。私とルミ信じてたのに……。上ヶ岡さん、すみませんでした。…行こうルミ。」
ルミとリカは上ヶ岡さんに頭を下げると私に軽蔑の眼差しを向け去っていった。
ーーー
あの後、私のデスクの引き出しから会長の盗まれたフィギュアと同人誌が見つかり私は会社をクビになった。私は無実を訴えたが防犯カメラの映像がある以上誰も私を信じてはくれなかった。
私は会社から1000万円の罰金を取られアパートも追い出された。金が無くなった私に用は無いとノエルも離れていった。
行き場を失った私は呪山という山でホームレス生活をする事になった。
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