占い否定派、転職して占い師になる。

会社倒産

いきなりすぎて、アタマが真っ白だ。
経営がうまく行ってないとはうすうす気づいていたが。

社長は申し訳ないと何度も頭を下げ、なぜ今月末までで会社を畳まないといけないのか、みんなの前で事細かに説明をしてくれている。

その説明が、右の耳から左の耳にスーッと抜けていくのを智絵は感じていた。

今月末か。

今日は15日。ちょうど給料日だ。

今月の給料はちゃんと払われるし、逃げたりせず、みんなに説明をするうちの社長はやっぱりいい人だ。

智絵がこの会社に入ったのは社長に惚れたからだ。

人柄と顔に。

そんな非科学的な決め方をしたのは初めてだったが、一目惚れも初めてだったのだからしかたがない。

社長（イケメン）と一社員（ごくごく普通の女子）の恋が実ると思っていたわけではないが、それでも恋心は消えなかった。　

倒産が告げられている今、このときも。