不思議なことが起きても不思議じゃない日

舞浜あみ

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はじまり

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ついに、私と祖母の謎解きが、謎解きお化け屋敷【ZASHIKIWARASHI】ではじまった。

そっと開いた扉の先には一冊の雑誌が落ちていた。

かなり昔の旅行雑誌のようだ。

雑誌の表紙はハワイかな?雑草のない庭の椰子。その後ろに映る南国の豪邸。これも謎解きのヒントなのだろうか?

謎解きお化け屋敷は昔の日本家屋のような雰囲気で、そこに落ちている南国を思わせる雑誌は違和感があった。

部屋の内装も良く見てから次の部屋へ進んでみることにした。1980年1月のカレンダー。箪笥の上に木彫りの熊。ちゃぶ台の上にはお人形。材料は油脂だろうか、赤い服を着た小さな女の子のお人形。ちゃぶ台のそばには茶色の座椅子や赤い座布団がある。座椅子の上には猫じゃらし。座椅子の上にはこけし。

そろそろ次に行ってみることにした。次の部屋は裸電球だった。チカチカして点いたり消えたりしていて、お化け屋敷要素が強めだった。

チカチカする裸電球に気を取られていたら、何か小さい物を蹴飛ばした。何だろうと思い、下をよく見回すとザラザラした小石が落ちていた。部屋の中に小石。これも変だ。

その時だった。

チカチカしつつも点いていた電球が完全に消えて、真っ暗になってしまったのだ。

「それではここでもんだいでーす」

また元気な子どもの声が聞こえてきた。

「だいいちもん!この謎解きお化け屋敷の名前はなんでしょうか?」

私と祖母は、暗闇ではぐれてしまわないように手をつなぎながら一緒に答えた。

「座敷わらし」

するとまた元気な声は

「ごめいとう!」

と言ってくれた。そして

「だいにもん!【ざ】ではじまり【し】でおわるものを五つ言ってください!」

と、問題は続いた。

まず私がまた

「座敷わらし」

と答えた。続けて祖母が

「雑誌」

と答えた。

祖母は入ってすぐに落ちていたヒントを忘れなかったのだ。

それを聞いて私もひらめいた。

「ザラザラした小石」

「さすがね!彩衣ちゃんあの小石もヒントだったのね。」

祖母に褒められて私は嬉しくなった。

「あっ、おばあちゃんもひらめいたわ。彩衣ちゃんのザラザラでおばあちゃんの好きな物を思い出したわ。ザラメのお菓子。うふふ」

「おばあちゃん!すごいよ!ザラメのお菓子も【ざ】で始まって【し】で終わるね!」

祖母のひらめきに彩衣は感心した。そして、祖母が好きといったら、もうひとつ思い浮かんだ。

「おばあちゃん、最後のひとつは物じゃなくて人を言おうよ。おばあちゃんも私も好きな。」

「うふふ。おばあちゃんもわかっちゃった。じゃあ彩衣ちゃん、せーので一緒に答えましょう。」

「せーの」

「財津清」

「ごめいとう!」

子どもの声がさっきよりも遠くから聞こえたような気がした。さっきよりも声が小さく聞こえたのだ。

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