3 / 13
七月八日
しおりを挟む
七月八日。
いそいそとお茶とお菓子の準備をととのえた。
紅茶と祖母の好きなザラメのお菓子だ。
今日はたくさんおばあちゃんから話を聞かせてもらうんだ。まるで恋話をするのがなによりも楽しい女学生のような雰囲気で浮足立っていた。
財津家では祖母の律と孫の彩衣がテーブルを挟んでにこにこと向かい合っている。
「それで、おばあちゃん昨夜はどんなことがあったの?どんな話をしたの?教えて教えて!」
彩衣は待ちきれずに祖母を急かしたが、祖母はいつも通りゆったりとしていた。
「彩衣ちゃん、昨日は綺麗な瓶のお酒をどうもありがとうね。うさぎさん柄だったわね。十五夜のうさぎさんはお餅つきをしているけど、七夕のうさぎさんは何をしてるのでしょうね。やっぱりお餅つきかしらね。うふふ。」
彩衣の質問とは全然ちがう返事がかえってきたが、祖母もとても機嫌が良さそうだ。
「お酒を少し飲んで窓をあけてお空を見ながら待っていたら、ちゃんと今年も来てくれたわよ。きよしさん。」
「おばあちゃん、よかったね!」
と彩衣は言った。おばあちゃんがきよしさんと言うときはきよしさん♡と言っているように聞こえる。
「お空を見て待っているのに、気がつくと隣に座っているのよ。不思議ね。」
「そうなんだ、不思議!」
「今年のきよしさんはね、なんとね、とてもびっくりする姿だったのよ。うふふ。」
「何なに?どんな姿だったの?教えて、おばあちゃん。」
「あのね、、、うふふ。」
「なんとね、子供の姿だったのよ。びっくりでしょう。」
いそいそとお茶とお菓子の準備をととのえた。
紅茶と祖母の好きなザラメのお菓子だ。
今日はたくさんおばあちゃんから話を聞かせてもらうんだ。まるで恋話をするのがなによりも楽しい女学生のような雰囲気で浮足立っていた。
財津家では祖母の律と孫の彩衣がテーブルを挟んでにこにこと向かい合っている。
「それで、おばあちゃん昨夜はどんなことがあったの?どんな話をしたの?教えて教えて!」
彩衣は待ちきれずに祖母を急かしたが、祖母はいつも通りゆったりとしていた。
「彩衣ちゃん、昨日は綺麗な瓶のお酒をどうもありがとうね。うさぎさん柄だったわね。十五夜のうさぎさんはお餅つきをしているけど、七夕のうさぎさんは何をしてるのでしょうね。やっぱりお餅つきかしらね。うふふ。」
彩衣の質問とは全然ちがう返事がかえってきたが、祖母もとても機嫌が良さそうだ。
「お酒を少し飲んで窓をあけてお空を見ながら待っていたら、ちゃんと今年も来てくれたわよ。きよしさん。」
「おばあちゃん、よかったね!」
と彩衣は言った。おばあちゃんがきよしさんと言うときはきよしさん♡と言っているように聞こえる。
「お空を見て待っているのに、気がつくと隣に座っているのよ。不思議ね。」
「そうなんだ、不思議!」
「今年のきよしさんはね、なんとね、とてもびっくりする姿だったのよ。うふふ。」
「何なに?どんな姿だったの?教えて、おばあちゃん。」
「あのね、、、うふふ。」
「なんとね、子供の姿だったのよ。びっくりでしょう。」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
若月骨董店若旦那の事件簿~水晶盤の宵~
七瀬京
ミステリー
秋。若月骨董店に、骨董鑑定の仕事が舞い込んできた。持ち込まれた品を見て、骨董屋の息子である春宵(しゅんゆう)は驚愕する。
依頼人はその依頼の品を『鬼の剥製』だという。
依頼人は高浜祥子。そして持ち主は、高浜祥子の遠縁に当たるという橿原京香(かしはらみやこ)という女だった。
橿原家は、水産業を営みそれなりの財産もあるという家だった。しかし、水産業で繁盛していると言うだけではなく、橿原京香が嫁いできてから、ろくな事がおきた事が無いという事でも、有名な家だった。
そして、春宵は、『鬼の剥製』を一目見たときから、ある事実に気が付いていた。この『鬼の剥製』が、本物の人間を使っているという事実だった………。
秋を舞台にした『鬼の剥製』と一人の女の物語。

静寂の園
渡波みずき
ミステリー
画家だった祖父の足跡を探して訪れた修道院にて、私はひとつのメッセージを受け取る。それは、遠く時間を隔てて、祖父から届いたもののように思われた。
第三回ホラー・ミステリー小説大賞奨励賞(最終選考)
大江戸あやかし絵巻 ~一寸先は黄泉の国~
坂本 光陽
ミステリー
サブとトクという二人の少年には、人並み外れた特技があった。めっぽう絵がうまいのである。
のんびり屋のサブは、見た者にあっと言わせる絵を描きたい。聡明なトクは、美しさを極めた絵を描きたい。
二人は子供ながらに、それぞれの夢を抱いていた。そんな彼らをあたたかく見守る浪人が一人。
彼の名は桐生希之介(まれのすけ)。あやかしと縁の深い男だった。

共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる