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レストラン
父と母
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ガチャ。
「こんばんわ、あのね、ちょっとお願いがあるの。おにぎりを2つ作ってくれないかしら。ラップに包んで持って帰れるような物を。あっ、具はなんでもいいから。」
朝子は裏口のドアを開けるやいなや、いつもの早口で話始めた。
「うん、わかった。」
そんなのはもう慣れっこの創は落ち着いて答えた。その隣で見習いコックの七海は目を丸くしていた。
「具はスモークサーモンとチーズかな。それならご飯に少しブラックペッパーを混ぜたほうが良さそうだ。」
創は独り言をいいながらおにぎりを作り始めた。創の独り言は優しさだ。話すのが苦手な七海が、作り方を質問しなくていいように、わざと独り言をいいながら作っているのだ。
「七海くん、驚かせてごめんね、今ね、小さなお客様二人とドアの前で会ってね、特別にテイクアウトメニューでおにぎりがあることにしちゃったの。」
七海はコクリと頷いた。
「ちなみに値段は30円にしちゃった。うふふ。」
七海はまた目を丸くした。
「おいおい、うちは子ども食堂でも駄菓子屋でもないんだぞ。今どき30円じゃ、いくらおにぎりでも赤字だぞ。」
そう言いながらも創の声は全然怒っていない。それどころか、楽しそうですらある。
「うふふ。そうよね。」
そして、朝子も全然反省などしていない。
「こんばんわ、あのね、ちょっとお願いがあるの。おにぎりを2つ作ってくれないかしら。ラップに包んで持って帰れるような物を。あっ、具はなんでもいいから。」
朝子は裏口のドアを開けるやいなや、いつもの早口で話始めた。
「うん、わかった。」
そんなのはもう慣れっこの創は落ち着いて答えた。その隣で見習いコックの七海は目を丸くしていた。
「具はスモークサーモンとチーズかな。それならご飯に少しブラックペッパーを混ぜたほうが良さそうだ。」
創は独り言をいいながらおにぎりを作り始めた。創の独り言は優しさだ。話すのが苦手な七海が、作り方を質問しなくていいように、わざと独り言をいいながら作っているのだ。
「七海くん、驚かせてごめんね、今ね、小さなお客様二人とドアの前で会ってね、特別にテイクアウトメニューでおにぎりがあることにしちゃったの。」
七海はコクリと頷いた。
「ちなみに値段は30円にしちゃった。うふふ。」
七海はまた目を丸くした。
「おいおい、うちは子ども食堂でも駄菓子屋でもないんだぞ。今どき30円じゃ、いくらおにぎりでも赤字だぞ。」
そう言いながらも創の声は全然怒っていない。それどころか、楽しそうですらある。
「うふふ。そうよね。」
そして、朝子も全然反省などしていない。
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