ぬいぐるみ

舞浜あみ

文字の大きさ
上 下
6 / 9
レストラン

父と母

しおりを挟む
ガチャ。

「こんばんわ、あのね、ちょっとお願いがあるの。おにぎりを2つ作ってくれないかしら。ラップに包んで持って帰れるような物を。あっ、具はなんでもいいから。」

朝子は裏口のドアを開けるやいなや、いつもの早口で話始めた。

「うん、わかった。」

そんなのはもう慣れっこの創は落ち着いて答えた。その隣で見習いコックの七海ナナミは目を丸くしていた。

「具はスモークサーモンとチーズかな。それならご飯に少しブラックペッパーを混ぜたほうが良さそうだ。」

創は独り言をいいながらおにぎりを作り始めた。創の独り言は優しさだ。話すのが苦手な七海が、作り方を質問しなくていいように、わざと独り言をいいながら作っているのだ。

「七海くん、驚かせてごめんね、今ね、小さなお客様二人とドアの前で会ってね、特別にテイクアウトメニューでおにぎりがあることにしちゃったの。」

七海はコクリと頷いた。

「ちなみに値段は30円にしちゃった。うふふ。」

七海はまた目を丸くした。

「おいおい、うちは子ども食堂でも駄菓子屋でもないんだぞ。今どき30円じゃ、いくらおにぎりでも赤字だぞ。」

そう言いながらも創の声は全然怒っていない。それどころか、楽しそうですらある。

「うふふ。そうよね。」

そして、朝子も全然反省などしていない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

後宮出入りの女商人 四神国の妃と消えた護符

washusatomi
キャラ文芸
西域の女商人白蘭は、董王朝の皇太后の護符の行方を追う。皇帝に自分の有能さを認めさせ、後宮出入りの女商人として生きていくために――。 そして奮闘する白蘭は、無骨な禁軍将軍と心を通わせるようになり……。

風切山キャンプ場は本日も開拓中 〜妖怪達と作るキャンプ場開業奮闘記〜

古道 庵
キャラ文芸
弱り目に祟り目。 この数ヶ月散々な出来事に見舞われ続けていた"土井 涼介(どい りょうすけ)"二十八歳。 最後のダメ押しに育ての親である祖母を亡くし、田舎の実家と離れた土地を相続する事に。 都内での生活に限界を感じていたこともあり、良いキッカケだと仕事を辞め、思春期まで過ごした"風切村(かざきりむら)"に引っ越す事を決める。 手元にあるのは相続した実家と裏山の土地、そして趣味のキャンプ道具ぐらいなものだった。 どうせ自分の土地ならと、自分専用のキャンプ場にしようと画策しながら向かった裏山の敷地。 そこで出会ったのは祖父や祖母から昔話で聞かされていた、個性豊かな妖怪達だった。 彼らと交流する内、山と妖怪達が直面している窮状を聞かされ、自分に出来ることは無いかと考える。 「……ここをキャンプ場として開いたら、色々な問題が丸く収まるんじゃないか?」 ちょっとした思いつきから端を発した開業の話。 甘い見通しと希望的観測から生まれる、中身がスカスカのキャンプ場経営計画。 浮世離れした妖怪達と、田舎で再起を図るアラサー男。 そしてそんな彼らに呆れながらも手を貸してくれる、心優しい友人達。 少女姿の天狗に化け狸、古杣(ふるそま)やら山爺やら鎌鼬(かまいたち)やら、果ては伝説の大妖怪・九尾の狐に水神まで。 名も無き山に住まう妖怪と人間が織りなすキャンプ場開業&経営の物語。 風切山キャンプ場は、本日も開拓中です! -------- 本作は第6回キャラ文芸大賞にて、奨励賞を受賞しました!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

梅子ばあちゃんのゆったりカフェヘようこそ!(東京都下の高尾の片隅で)

なかじまあゆこ
キャラ文芸
『梅子ばあちゃんのカフェへようこそ!』は梅子おばあちゃんの作る美味しい料理で賑わっています。そんなカフェに就職活動に失敗した孫のるり子が住み込みで働くことになって……。 おばあちゃんの家には変わり者の親戚が住んでいてるり子は戸惑いますが、そのうち馴れてきて溶け込んでいきます。 カフェとるり子と個性的な南橋一家の日常と時々ご当地物語です。 どうぞよろしくお願いします(^-^)/ エブリスタでも書いています。

天使の林檎喫茶~軽井沢 高原教会にて記憶の祈り、預かります~

ミラ
キャラ文芸
軽井沢の高原教会で祈りを捧げると、林檎の森の深くにある小さな煉瓦の家、天使喫茶に招かれることがある。本物の天使が悩める貴方をお出迎えします。 愛くるしい天使のお手製、林檎スイーツと共に。 あなただけの記憶の選択をお手伝いいたします。

龍天双極〜暴れ龍と龍使い〜

晴なつ暎ふゆ
キャラ文芸
神々が住む街、龍天街。 そこに住む青年――彩斗と、暴れ龍と評される龍――黒焉がタッグを組んで、現世のあれこれを解決したり、色々頑張りながら徳を積んでいく話。

処理中です...