ぬいぐるみ

舞浜あみ

文字の大きさ
上 下
5 / 9
レストラン

しおりを挟む
家を出た朝子は、レストラン『KOHE』に急ぎ足で向かっていた。夫のお店の手伝いなので、何時から何時までとシフトが決まっているわけではない。それでも、毎日決まった時間に行くのは朝子の性格だ。17時を1分でも過ぎてしまったらなんとなく気持ちが悪いのだ。

ふとお店の前を見ると、レストランのドアの前で小学校の高学年ぐらいの男の子と低学年ぐらいの男の子が話をしている。

「いい匂いする。高いよね?」

「たぶん」

「ちょっとだけでも食べてみたい。お腹ペコペコ。」

「180円しかない」

「ぼく、32円。」

朝子は裏口から入る前に話しかけた。

「どうしたの?」

「あっ、、、」

二人は急に話しかけられて、びっくりした顔と気まずそうな顔を見せた。

「どうしたの?お腹すいてるの?」

朝子はもう一度話しかけた。

大きい方の男の子が

「このお店の1番安い物って何円かわかりますか?」

朝子は少し考えた。お腹がすいてるのだろう。家庭の事情も男の子二人の関係もわからない。でも、このレストランが美味しそうだと思って、何でもいいから食べてみたいと思ったのだろう。

「うーん、確か、30円のおにぎりかな。」

朝子はメニューには載ってもいない物を答えた。

「えっ!?本当に?」

小さい方の男の子がキラキラした目をこちらに向けた。

「テイクアウトってわかる?お店で食べるんじゃなくて、持って帰るメニューなんだけど。」

「いいよ!全然!ぼく、30円あるし!ほら!」

まだ小さいさな子ども手にのった10円玉2つと5円玉2つを見せてくれた。

「あの、2つ買いたいです、おにぎり。」

大きい方の男の子が言った。

「わかった。待ってて、何のおにぎりでもいい?」

「うん!」

二人は笑顔で返事をした。

「今の人お店の人だったんだね。」

レストランの中へ入る朝子の背中にそんな声が聞こえてきた。

確かに、今の朝子はお店のエプロンも着けていないし、通りすがりのおばちゃんと思うよね、と思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...