52 / 54
52 誕生祭…しかし
しおりを挟む
王子誕生のパーティーが催された。
私の体調の回復を待ってからの開催だった。
王子は私の元を離れ乳母に面倒を見て貰っているらしい。
中々会えないことに少し不満が残っているが仕方がない。
「久々に王子に会えるわ。リリアンも会いたいでしょ?」
「はい。お母様。でも、私は姉として何が出来るのでしょうか」
「私にもそれは……」
私の隣でリリアン姫が不安げな顔をしながら私にそう問いかけて来た。
確かに何をすればいいのか、私にも分からない。
ただ、元気に過ごしてい暮れることを願う事しかできない。
私にはそれ以外の仕事が沢山あるのだ。
王子の事は乳母に任せる、そう国王と話をしたのだった。
今日は久々にグラン王子に会うことが出来る。
アルバン国王がグラン王子を抱きながらこちらに向かって歩いてきた。
会場には沢山の貴族や王族達が盛大に王子誕生を祝ってくれていた。
「グラン。母上だぞ」
「グラン……こちらにおいで」
「オギャーオギャーオギャー」
まだ何も自分の言葉で話すことが出来ない王子。
そんな王子を抱きしめてあげると直ぐに泣き止んだ。
「どうやらマリアが母だと分かっているのだな」
「ええ。私の大切な子供ですから」
「そうだな……」
国王はそう言って笑っていた。
パーティ―は盛大に盛り上がりを見せていたが、私が壇上の上で座っているだけの所に貴族の令嬢立ちがまた集まって来た。
あの、クリスティ様が取り巻き達を連れてやって来たのだった。
「おめでとうございます。マリア様。元気な男の子だとお聞きしましたが、本当にお元気そうですわね」
「素敵な男の子ですわっ」
「まぁ、可愛らしいですわ」
取り巻き達もそう言って私の子供の頬を触りながら言うとクリスティ様が私に向かって話し出した。
「これだけ盛大に誕生祭を執り行われたのですから、貴女様がもっと盛り上げないといけないのではなくて?」
「そんな…私も疲れております故。本日はこの場にいさせてもらっているのです」
「そんなの王妃としてどうなんでしょうね。ねえ~皆様?」
クリスティ様はそう言って取り巻き達に同意を求めると、騒がしく私の事をバカにすることを口に出した。
それを黙って聞いていると、いきなり大きな声で国王が私の所へやって来た。
「いい加減にしろっ! 其方達は私の妻に対してなんと無礼な事を言っているのだっ! 王妃のマリアに向かって何たる無礼。もう私が許さんっ!!」
アルバン国王がそう怒鳴った姿を私は初めて目にした。
令嬢達もビックリした顔つきでアルバン国王を見つめ、会場はシーンとなってしまった。
「オギャーオギャーオギャーっ!」
「おお、グラン。大きな声を出して済まなかったな。おい、この子を中へ。これよりこやつらの今までの振る舞いについて話をするっ!!」
お祝いムードが一変して緊張感漂うシリアス展開になってしまった。
一体彼女たちはどうなるのだろう。
私は黙ったままその行く末を見つめていた。
私の体調の回復を待ってからの開催だった。
王子は私の元を離れ乳母に面倒を見て貰っているらしい。
中々会えないことに少し不満が残っているが仕方がない。
「久々に王子に会えるわ。リリアンも会いたいでしょ?」
「はい。お母様。でも、私は姉として何が出来るのでしょうか」
「私にもそれは……」
私の隣でリリアン姫が不安げな顔をしながら私にそう問いかけて来た。
確かに何をすればいいのか、私にも分からない。
ただ、元気に過ごしてい暮れることを願う事しかできない。
私にはそれ以外の仕事が沢山あるのだ。
王子の事は乳母に任せる、そう国王と話をしたのだった。
今日は久々にグラン王子に会うことが出来る。
アルバン国王がグラン王子を抱きながらこちらに向かって歩いてきた。
会場には沢山の貴族や王族達が盛大に王子誕生を祝ってくれていた。
「グラン。母上だぞ」
「グラン……こちらにおいで」
「オギャーオギャーオギャー」
まだ何も自分の言葉で話すことが出来ない王子。
そんな王子を抱きしめてあげると直ぐに泣き止んだ。
「どうやらマリアが母だと分かっているのだな」
「ええ。私の大切な子供ですから」
「そうだな……」
国王はそう言って笑っていた。
パーティ―は盛大に盛り上がりを見せていたが、私が壇上の上で座っているだけの所に貴族の令嬢立ちがまた集まって来た。
あの、クリスティ様が取り巻き達を連れてやって来たのだった。
「おめでとうございます。マリア様。元気な男の子だとお聞きしましたが、本当にお元気そうですわね」
「素敵な男の子ですわっ」
「まぁ、可愛らしいですわ」
取り巻き達もそう言って私の子供の頬を触りながら言うとクリスティ様が私に向かって話し出した。
「これだけ盛大に誕生祭を執り行われたのですから、貴女様がもっと盛り上げないといけないのではなくて?」
「そんな…私も疲れております故。本日はこの場にいさせてもらっているのです」
「そんなの王妃としてどうなんでしょうね。ねえ~皆様?」
クリスティ様はそう言って取り巻き達に同意を求めると、騒がしく私の事をバカにすることを口に出した。
それを黙って聞いていると、いきなり大きな声で国王が私の所へやって来た。
「いい加減にしろっ! 其方達は私の妻に対してなんと無礼な事を言っているのだっ! 王妃のマリアに向かって何たる無礼。もう私が許さんっ!!」
アルバン国王がそう怒鳴った姿を私は初めて目にした。
令嬢達もビックリした顔つきでアルバン国王を見つめ、会場はシーンとなってしまった。
「オギャーオギャーオギャーっ!」
「おお、グラン。大きな声を出して済まなかったな。おい、この子を中へ。これよりこやつらの今までの振る舞いについて話をするっ!!」
お祝いムードが一変して緊張感漂うシリアス展開になってしまった。
一体彼女たちはどうなるのだろう。
私は黙ったままその行く末を見つめていた。
26
お気に入りに追加
1,041
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

[完結]思い出せませんので
シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」
父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。
同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。
直接会って訳を聞かねば
注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。
男性視点
四話完結済み。毎日、一話更新


娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる