王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐

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51 王子誕生

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「オギャー、オギャーっ!」


部屋中に響き渡る元気な赤子の産声。


「王妃様っ! 元気な男の子ですっ! やりましたね」
「有難う。これで私の役目も果たされたってことよね」
「よく頑張りました」


医師や侍女たちに囲まれながら私はベッドの上で産声を嗅げている我が子を見ながらそう言った。
アルバン国王も産まれる直前に来られ、私の傍に寄り添ってくれていた。
何も言葉を交わすことはなかったが笑顔で私の事を見つめていた。
これで私の役割も終わり。
そう思いながら安堵した。


王子誕生は瞬く間に国民にニュースとして知られお祭り騒ぎになっていたそうだ。
ラスティからの報告だった。
私は疲れてしまいその場で目を瞑り眠ってしまった。
王子は私の元を離れ乳母の元育てられることになった。
リリアンとは違った育て方をするそうだ。
王子となった子供の名を訊いたのは翌朝の事だった。


「王子の名は『グラン』と名付けた。大空のように心が広い人に育ってほしいとな」
「グラン……よき名ですね。私も好きです、その名前」
「そうか。良かった。私が独断で決めたわけではないが良い名だと思う」


アルバン国王はそう言って笑いながらグラン王子を抱いていた。
微笑ましい姿に見えるその光景を私はベッドの上で見つめていた。
一つの役割、それが果たされたことの安堵とこれから王妃としての役割を考えながらどう行動することが正しいのかを国王に訊ねた。


「其方の役割は私の傍に居てこれからも私を助けて欲しい。何分其方は対外の仕事をすることは苦手だと思うが、これからはそう言ったこと、外交、それに国民の元へ顔を見せて欲しい。私の為に、国の為にお願いしたい」
「分かりました。私も全力でそのお仕事が出来るよう努めを果たします」


それは覚悟の言葉だった。
それからの私の生活は一変することになること、その時は予想だにしなかった出来事が待っていたのだった。


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