51 / 54
51 王子誕生
しおりを挟む
「オギャー、オギャーっ!」
部屋中に響き渡る元気な赤子の産声。
「王妃様っ! 元気な男の子ですっ! やりましたね」
「有難う。これで私の役目も果たされたってことよね」
「よく頑張りました」
医師や侍女たちに囲まれながら私はベッドの上で産声を嗅げている我が子を見ながらそう言った。
アルバン国王も産まれる直前に来られ、私の傍に寄り添ってくれていた。
何も言葉を交わすことはなかったが笑顔で私の事を見つめていた。
これで私の役割も終わり。
そう思いながら安堵した。
王子誕生は瞬く間に国民にニュースとして知られお祭り騒ぎになっていたそうだ。
ラスティからの報告だった。
私は疲れてしまいその場で目を瞑り眠ってしまった。
王子は私の元を離れ乳母の元育てられることになった。
リリアンとは違った育て方をするそうだ。
王子となった子供の名を訊いたのは翌朝の事だった。
「王子の名は『グラン』と名付けた。大空のように心が広い人に育ってほしいとな」
「グラン……よき名ですね。私も好きです、その名前」
「そうか。良かった。私が独断で決めたわけではないが良い名だと思う」
アルバン国王はそう言って笑いながらグラン王子を抱いていた。
微笑ましい姿に見えるその光景を私はベッドの上で見つめていた。
一つの役割、それが果たされたことの安堵とこれから王妃としての役割を考えながらどう行動することが正しいのかを国王に訊ねた。
「其方の役割は私の傍に居てこれからも私を助けて欲しい。何分其方は対外の仕事をすることは苦手だと思うが、これからはそう言ったこと、外交、それに国民の元へ顔を見せて欲しい。私の為に、国の為にお願いしたい」
「分かりました。私も全力でそのお仕事が出来るよう努めを果たします」
それは覚悟の言葉だった。
それからの私の生活は一変することになること、その時は予想だにしなかった出来事が待っていたのだった。
部屋中に響き渡る元気な赤子の産声。
「王妃様っ! 元気な男の子ですっ! やりましたね」
「有難う。これで私の役目も果たされたってことよね」
「よく頑張りました」
医師や侍女たちに囲まれながら私はベッドの上で産声を嗅げている我が子を見ながらそう言った。
アルバン国王も産まれる直前に来られ、私の傍に寄り添ってくれていた。
何も言葉を交わすことはなかったが笑顔で私の事を見つめていた。
これで私の役割も終わり。
そう思いながら安堵した。
王子誕生は瞬く間に国民にニュースとして知られお祭り騒ぎになっていたそうだ。
ラスティからの報告だった。
私は疲れてしまいその場で目を瞑り眠ってしまった。
王子は私の元を離れ乳母の元育てられることになった。
リリアンとは違った育て方をするそうだ。
王子となった子供の名を訊いたのは翌朝の事だった。
「王子の名は『グラン』と名付けた。大空のように心が広い人に育ってほしいとな」
「グラン……よき名ですね。私も好きです、その名前」
「そうか。良かった。私が独断で決めたわけではないが良い名だと思う」
アルバン国王はそう言って笑いながらグラン王子を抱いていた。
微笑ましい姿に見えるその光景を私はベッドの上で見つめていた。
一つの役割、それが果たされたことの安堵とこれから王妃としての役割を考えながらどう行動することが正しいのかを国王に訊ねた。
「其方の役割は私の傍に居てこれからも私を助けて欲しい。何分其方は対外の仕事をすることは苦手だと思うが、これからはそう言ったこと、外交、それに国民の元へ顔を見せて欲しい。私の為に、国の為にお願いしたい」
「分かりました。私も全力でそのお仕事が出来るよう努めを果たします」
それは覚悟の言葉だった。
それからの私の生活は一変することになること、その時は予想だにしなかった出来事が待っていたのだった。
24
お気に入りに追加
1,041
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。



ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

[完結]思い出せませんので
シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」
父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。
同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。
直接会って訳を聞かねば
注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。
男性視点
四話完結済み。毎日、一話更新


娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる