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44 王太子との出会い。【回想】
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少し……というより大分前の話になるが現国王アルバン様が王太子時代だった時の事を思い出していた。
あれは私がこのお城の侍女だった頃のお話。
まだ新米ものだった私は先輩侍女マリという女性と二人組で仕事をしていた。
マリ先輩はきめ細やかで誰にでも優しく接していた人だった。
あ、因みに今もこのお城で働いていて私が王妃となったときに侍女長として働いている。
さて、お話は戻るが……マリ先輩は私の事をいたく気に入った様子でいつも私に笑顔を振り撒いてくれていた。
お城のお仕事も丁寧に教えてくれたり、休憩時間になるといつも一緒にご飯を共していた。
そんなある日の事。
いつものように私と一緒に各部屋のお掃除をしていた時の事だった、
偶々この日は私一人で仕事をすることになって私はマリ先輩の教えて貰った通り仕事をしていた。
そんな時にこれまた偶然にアルバン王太子がその部屋を訪れたのだ。
そして私に声を掛けてきた。
「おお、随分ときめ細やかな掃除をしてくれているのだな」
王太子はそう言ってソファに座り私の仕事ぶりを誉めちぎった。
私は恥ずかしくなってしまい何も言わずにせっせと掃除を済ませているとまた王太子が話しかけてきたのだ。
「其方、名は何と申す?」
「わ、私……ですか?」
「ああ、其方しかここにはおらんではないか。して、名は?」
「わ、私は……ま、マリア……と申します」
「マリア…いい名だな。其方はいつも一人で仕事をしているのか?」
「いえ…いつもは二人で…しております」
「ほう、今日は一人だという事か。この城は無駄に広いから仕事も大変だろう」
「いえ……」
私は一通り掃除を終えて一礼してから部屋を出ようとした。
すると王太子が私の事を呼び付けた。
「マリア。其方良い体付きをしておるな。どうだ、私の子を産んではくれぬか?」
「な、何をお戯れを……し、失礼しますっ!」
その時の私は逃げるようにして部屋を後にした。
後日、マリ先輩にそのことを相談すると、
「王太子様にも困ったものだわ。あの方には許嫁がいらっしゃるはずなのに」
「そうなんですか? では、あの話はやっぱり……」
「マリア。あの方の話を真に受けてはだめよ。他の侍女にも同じことを言っているかもしれないから。私にはそのような事を言われたことはないけれど」
「はい。気を付けます」
「私は貴女を守って見せるわ」
その時のマリ先輩は凄く頼もしく見えた。
しかし……あの事件が起こってしまったのだった。
あれは私がこのお城の侍女だった頃のお話。
まだ新米ものだった私は先輩侍女マリという女性と二人組で仕事をしていた。
マリ先輩はきめ細やかで誰にでも優しく接していた人だった。
あ、因みに今もこのお城で働いていて私が王妃となったときに侍女長として働いている。
さて、お話は戻るが……マリ先輩は私の事をいたく気に入った様子でいつも私に笑顔を振り撒いてくれていた。
お城のお仕事も丁寧に教えてくれたり、休憩時間になるといつも一緒にご飯を共していた。
そんなある日の事。
いつものように私と一緒に各部屋のお掃除をしていた時の事だった、
偶々この日は私一人で仕事をすることになって私はマリ先輩の教えて貰った通り仕事をしていた。
そんな時にこれまた偶然にアルバン王太子がその部屋を訪れたのだ。
そして私に声を掛けてきた。
「おお、随分ときめ細やかな掃除をしてくれているのだな」
王太子はそう言ってソファに座り私の仕事ぶりを誉めちぎった。
私は恥ずかしくなってしまい何も言わずにせっせと掃除を済ませているとまた王太子が話しかけてきたのだ。
「其方、名は何と申す?」
「わ、私……ですか?」
「ああ、其方しかここにはおらんではないか。して、名は?」
「わ、私は……ま、マリア……と申します」
「マリア…いい名だな。其方はいつも一人で仕事をしているのか?」
「いえ…いつもは二人で…しております」
「ほう、今日は一人だという事か。この城は無駄に広いから仕事も大変だろう」
「いえ……」
私は一通り掃除を終えて一礼してから部屋を出ようとした。
すると王太子が私の事を呼び付けた。
「マリア。其方良い体付きをしておるな。どうだ、私の子を産んではくれぬか?」
「な、何をお戯れを……し、失礼しますっ!」
その時の私は逃げるようにして部屋を後にした。
後日、マリ先輩にそのことを相談すると、
「王太子様にも困ったものだわ。あの方には許嫁がいらっしゃるはずなのに」
「そうなんですか? では、あの話はやっぱり……」
「マリア。あの方の話を真に受けてはだめよ。他の侍女にも同じことを言っているかもしれないから。私にはそのような事を言われたことはないけれど」
「はい。気を付けます」
「私は貴女を守って見せるわ」
その時のマリ先輩は凄く頼もしく見えた。
しかし……あの事件が起こってしまったのだった。
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