王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐

文字の大きさ
上 下
43 / 54

43 体調不良で大変です。

しおりを挟む
子供が授かったのは良かったのだが、体調不良を引き起こしていしまい寝込んでしまった。
侍女たちが慌てふためく中、私はベッドの中で横になることしかできなかった。
そんな私の事を心配してか、時間を見つけては私の様子を見に来る国王。

「大丈夫か?」
「ええ、今のところは」
「何かあれば直ぐ医師を呼ぶのだぞ」
「はい。ところでリリアンは何をしているのでしょうか」
「侍女に見て貰って居る。私もちょくちょく様子を見に行っているが、姫も其方の事を心配している様子だった」

国王はそう言って執務があると言い残し部屋を後にした。
私は天蓋付のベッドの上で仰向けになっている。
あまり眠れず暇を持て余していた。
少し気が楽になったので侍女を呼びお茶を用意してもらった。

侍女が直ぐにお茶の用意をしてくれたので私は上肢を起こしベッドから降りるとソファに座った。

「王妃様、お身体は大事ないでしょうか?」
「ええ。今日は楽だわ。それよりお茶を飲みたいのだけれど」
「ただ今ご用意いたします」

そう言って侍女が用意してくれたお茶を啜った。
久しぶりに飲むお茶が喉を潤す。
侍女と他愛ない話をしていると再び国王が部屋にやって来た。

「起きていてよいのか?」
「はい。大分体の具合も良くなったので。お茶を飲みたくなりました」
「そうか。私も一緒に良いか?」
「執務はよろしいので?」
「ああ。休憩も必要だからな。それに其方の事が心配で手が付けられん」

国王たるものそのような事でよいのですか?
と、言いたかったのだが止めておいた。
抑々私の体調不良が原因だと分かっているから。
それにお腹の子ことも心配なのだろう。

「そう言えば、医師はあとどれくらいでよくなると言っておった?」

そんなことを聞いたことが無かったことを話すと直ぐに訊くように言われた。
私は、はい、と答えた。

「そろそろ戻る。其方も横になっておるのだぞ」
「はい。お仕事頑張って下さい」
「ああ」

国王は笑顔を私に見せると部屋を後にした。

「国王様は本当に王妃様の事を心配されているのですね」

侍女がそう言いながらカップに口を付けた。
私を心配しているというより私のお腹の子供の事を心配しているに違いない。
そう思う私は本当に悪女だなと思ってしまった。
何故かって、国王の心配を素直に受け取っていなかったから。

「国王は私のお腹の子供の事を心配しているのよ」
「そんなことはありませんよ。ちょっとそれは酷過ぎませんか?」

この侍女は私が侍女の時に友達のように接してくれていた人。
私の立場が変わっても屈託のない話をしてほしいと頼んでいたのでそう言ってくれたのだ。

「そうよね。私の心が荒んでいるのだわ……」
「王妃様……そろそろ横になりませんと」
「ええ。ありがとう。貴女に色々お話をするとなんだかすっきりするわ」
「有難う御座います。マリア様」

侍女に手伝って貰い私は再びベッドの上に寝ころんだ。
天蓋付のベッドの上を見つめながら自分の心が穢れているのだと実感した。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...