42 / 54
42 新たな命が宿りました。
しおりを挟む
数年の時が流れ、私のお腹の中に新しい命が宿った。
待望の赤子だ。
国王は飛び跳ねて喜んでいたのを思い出す。
私は体を第一優先させえるということで職務を免除されて今は部屋でゆっくりリリアンと一緒に過ごすことが多くなった。
「リリアン。貴女はお姉さんになるのよ」
「おねえさん? それは何ですか? お母様」
リリアンも3歳になり言葉を話せるようになった。
乳母にリリアンを任せるようアルバン国王に言われたが私はそれを拒否して自分で育てたいと申し出てここまで成長してくれたのが嬉しかった。
国王は職務の為朝から晩まで仕事をしている。
私との会話もだんだん少なくなってきていた。
当初、国王に任命された時の悪い評判は嘘のように消え、今や一国の主として皆に慕われている。
新しい命は男か女か分からない。
出来れば男の子が生まれて欲しいと願うばかりだ。
これでまた女が産まれて来てしまうとまたあの夜の営みが再開してしまう。
それだけは勘弁してほしいと思っていた。
「マリア様、お身体の具合はいかがですか?」
私の専属医師であるルーディン先生が部屋に入って私の身体について訊かれた。
私は大丈夫だと伝えるといつもの診察を始める。
お腹に聴診器を付けて赤子の様子を観察し始めた。
「この分だと順調に進めば予定日にちゃんと産まれる事が出来ますね」
「それだと嬉しいのですが。先生、男の子でしょうか?」
「それはまだ分かりません。正直産まれてくるまでは何とも」
それはそうだ。
産まれてくる子供の性別が分かれば私も苦労はしない。
「お母様。お腹に新しい命が入っているのですか?」
リリアンが私の大きくなっていたお腹を抱きしめながらそう訊ねた。
「ええ。そうよ。もうすぐ会えるわ」
「早く会いたいです。リリアンはお姉さんになるのですから」
「そうね。しっかりお姉さんをしてあげてね」
「はい。お母様」
そんな会話をしていると、国王が部屋に入って来た。
まだ執務中の時間帯だというのに何の用なのだろう。
「マリア、順調か?」
「今先生とお話しておりました。順調のようです」
「おお、そうか。ルーディン、宜しく頼むぞ」
「はい。陛下。全力でマリア様をサポート致しますのでご安心ください」
「ああ。少し時間が空いたので様子を見に来たのだが、その分だと安心だな」
国王はそう言って笑っていると、リリアンが国王の元へ向かって抱っこするよう求めた。
「リリアン、どうしたのだ? 抱っこか?」
「はい、お父様。お願いします」
「仕方ないな。それ」
リリアンを抱っこしてあげる国王を見ていると本当にほんわかした雰囲気になる。
これで男の子が産まれれば私の役目も終えられる。
元気な男の子が産まれますように。
私はそう思いながら国王とリリアンの姿を見ながら願った。
待望の赤子だ。
国王は飛び跳ねて喜んでいたのを思い出す。
私は体を第一優先させえるということで職務を免除されて今は部屋でゆっくりリリアンと一緒に過ごすことが多くなった。
「リリアン。貴女はお姉さんになるのよ」
「おねえさん? それは何ですか? お母様」
リリアンも3歳になり言葉を話せるようになった。
乳母にリリアンを任せるようアルバン国王に言われたが私はそれを拒否して自分で育てたいと申し出てここまで成長してくれたのが嬉しかった。
国王は職務の為朝から晩まで仕事をしている。
私との会話もだんだん少なくなってきていた。
当初、国王に任命された時の悪い評判は嘘のように消え、今や一国の主として皆に慕われている。
新しい命は男か女か分からない。
出来れば男の子が生まれて欲しいと願うばかりだ。
これでまた女が産まれて来てしまうとまたあの夜の営みが再開してしまう。
それだけは勘弁してほしいと思っていた。
「マリア様、お身体の具合はいかがですか?」
私の専属医師であるルーディン先生が部屋に入って私の身体について訊かれた。
私は大丈夫だと伝えるといつもの診察を始める。
お腹に聴診器を付けて赤子の様子を観察し始めた。
「この分だと順調に進めば予定日にちゃんと産まれる事が出来ますね」
「それだと嬉しいのですが。先生、男の子でしょうか?」
「それはまだ分かりません。正直産まれてくるまでは何とも」
それはそうだ。
産まれてくる子供の性別が分かれば私も苦労はしない。
「お母様。お腹に新しい命が入っているのですか?」
リリアンが私の大きくなっていたお腹を抱きしめながらそう訊ねた。
「ええ。そうよ。もうすぐ会えるわ」
「早く会いたいです。リリアンはお姉さんになるのですから」
「そうね。しっかりお姉さんをしてあげてね」
「はい。お母様」
そんな会話をしていると、国王が部屋に入って来た。
まだ執務中の時間帯だというのに何の用なのだろう。
「マリア、順調か?」
「今先生とお話しておりました。順調のようです」
「おお、そうか。ルーディン、宜しく頼むぞ」
「はい。陛下。全力でマリア様をサポート致しますのでご安心ください」
「ああ。少し時間が空いたので様子を見に来たのだが、その分だと安心だな」
国王はそう言って笑っていると、リリアンが国王の元へ向かって抱っこするよう求めた。
「リリアン、どうしたのだ? 抱っこか?」
「はい、お父様。お願いします」
「仕方ないな。それ」
リリアンを抱っこしてあげる国王を見ていると本当にほんわかした雰囲気になる。
これで男の子が産まれれば私の役目も終えられる。
元気な男の子が産まれますように。
私はそう思いながら国王とリリアンの姿を見ながら願った。
4
お気に入りに追加
1,042
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!


アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる