王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐

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42 新たな命が宿りました。

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数年の時が流れ、私のお腹の中に新しい命が宿った。
待望の赤子だ。
国王は飛び跳ねて喜んでいたのを思い出す。

私は体を第一優先させえるということで職務を免除されて今は部屋でゆっくりリリアンと一緒に過ごすことが多くなった。

「リリアン。貴女はお姉さんになるのよ」
「おねえさん? それは何ですか? お母様」

リリアンも3歳になり言葉を話せるようになった。
乳母にリリアンを任せるようアルバン国王に言われたが私はそれを拒否して自分で育てたいと申し出てここまで成長してくれたのが嬉しかった。
国王は職務の為朝から晩まで仕事をしている。
私との会話もだんだん少なくなってきていた。
当初、国王に任命された時の悪い評判は嘘のように消え、今や一国の主として皆に慕われている。

新しい命は男か女か分からない。
出来れば男の子が生まれて欲しいと願うばかりだ。
これでまた女が産まれて来てしまうとまたあの夜の営みが再開してしまう。
それだけは勘弁してほしいと思っていた。

「マリア様、お身体の具合はいかがですか?」

私の専属医師であるルーディン先生が部屋に入って私の身体について訊かれた。
私は大丈夫だと伝えるといつもの診察を始める。
お腹に聴診器を付けて赤子の様子を観察し始めた。

「この分だと順調に進めば予定日にちゃんと産まれる事が出来ますね」
「それだと嬉しいのですが。先生、男の子でしょうか?」
「それはまだ分かりません。正直産まれてくるまでは何とも」

それはそうだ。
産まれてくる子供の性別が分かれば私も苦労はしない。

「お母様。お腹に新しい命が入っているのですか?」

リリアンが私の大きくなっていたお腹を抱きしめながらそう訊ねた。

「ええ。そうよ。もうすぐ会えるわ」
「早く会いたいです。リリアンはお姉さんになるのですから」
「そうね。しっかりお姉さんをしてあげてね」
「はい。お母様」

そんな会話をしていると、国王が部屋に入って来た。
まだ執務中の時間帯だというのに何の用なのだろう。

「マリア、順調か?」
「今先生とお話しておりました。順調のようです」
「おお、そうか。ルーディン、宜しく頼むぞ」
「はい。陛下。全力でマリア様をサポート致しますのでご安心ください」
「ああ。少し時間が空いたので様子を見に来たのだが、その分だと安心だな」

国王はそう言って笑っていると、リリアンが国王の元へ向かって抱っこするよう求めた。

「リリアン、どうしたのだ? 抱っこか?」
「はい、お父様。お願いします」
「仕方ないな。それ」

リリアンを抱っこしてあげる国王を見ていると本当にほんわかした雰囲気になる。
これで男の子が産まれれば私の役目も終えられる。
元気な男の子が産まれますように。

私はそう思いながら国王とリリアンの姿を見ながら願った。
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