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37 私には社交界なんて華やかな舞台は無理なのです。
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舞踏会はまだ始まったばかり。
私は壇上にある椅子に腰かけていた。
貴族たちは王太子の所へ集まり楽しそうに談笑していた。
私はその横でリリアンを抱きながら貴族たちを上から眺める形で見守っていた。
そんな私に貴族の人たちが声を掛けてくる。
煩わしい……。
「マリア様。姫君はすくすくと育っておりますな」
「はい。今の所……」
「その調子で是非お世継ぎを、ですなっ」
本当にこんな場所でそういう発言は慎んでほしいものだ。
それでなくても毎晩毎晩王太子が私の耳元で同じことを言うのだから。
「ルエ。少し風に当たりわ。一緒に来て頂戴」
「御意」
「すみません。アリフレッド様。ちょっと夜風に当たってまいります」
「中々こういう場所に合いませぬか」
「あ、はい…すみません」
「ごゆっくりされてください」
私は席を立ち城の外でリリアンを抱きながら向かった。
隣にはルエが護衛として付いて来てもらっている。
「はぁ~……、全く、こういうのは苦手なのに……」
私は外に出たとたん大きなため息を吐いて呟いた。
令嬢だったらこんな事何でもないところだが、元侍女だった私には合わない世界。
そんなことを思っているとルエが私に話しかけてきた。
「妃様はご苦労が絶えませんね。私も護衛として付き添っていますが中々こういう場所にはなじみません。本当に……貴族の方々は凄いと思います」
「そうね…私も侍女のままだったらと思うわ」
「ははは、向き不向きがありますから」
「私には肌に合わないわ」
そう言いながらケラケラ笑っていると、リリアンがぐずってきた。
よしよし、と私が宥めているとルエがリリアンをあやそうと色々手伝ってくれた。
そろそろ寝る時間かも知れない。
私はリリアンを寝かしつける為はやに戻ることを王太子い伝えようと壇上に戻った。
「アルバン様。リリアンがそろそろ……」
「おお、そうか。もうこんな時間になっていたのだな。侍女に頼んで寝かせつけると良い。其方はまだここに残って色々貴族達と交流するがいい」
「え……? 私も一緒に部屋に戻りたいのですが……」
「それはならん。侍女に任せるんだ」
「………っ」
王太子は侍女を呼びつけてリリアンを連れて部屋に行くよう命じた。
私は侍女にリリアンを預ける形になってしまったのだ。
私だって疲れているんだから……部屋に戻って休みたいのに、王太子の命令には逆らうことが出来ない。
慣れない環境の中で私は一人ぽつんと椅子に腰かけているとつかつかと私の目の前に令嬢が4,5人やって来た。
「マリア様。お初にお目にかかります。わたくしキャメロン=アリフレッドと申します先程は父上様とお話されていたご様子。わたくしもご挨拶にと思いまして」
私の知らない貴族の令嬢がそう言って頭を下げてた。
私もお辞儀をして「マリアと申します」と答えた。
するとキャメロン令嬢がふんっ、というような視線で私の事を蔑んだ視線を送る。
「貴女が元侍女のマリア様ですわね。この貴族や王族の方々の中に元侍女とか…笑ってしまいますわ」
「私は……(こんなところにいたい訳じゃない)」
そんなこと言えない。
貴族の令嬢達はミレンダ令嬢達のように私を認めようとはしていないことが分かった。
ああ、このまま私は貴族達に苛められ続けるのだろうか……。
「マリア様。これからこういう社交界の場では是非『御妃』様として振舞って貰わないと困りますわよ。色々と……」
その一言を言うと「失礼しいます」と言ってぞろぞろと取り巻き達を連れて令嬢達がいる場所へ戻っていた。
「私だって好きでここに居るわけじゃないんだから……」
私は壇上にある椅子に腰かけていた。
貴族たちは王太子の所へ集まり楽しそうに談笑していた。
私はその横でリリアンを抱きながら貴族たちを上から眺める形で見守っていた。
そんな私に貴族の人たちが声を掛けてくる。
煩わしい……。
「マリア様。姫君はすくすくと育っておりますな」
「はい。今の所……」
「その調子で是非お世継ぎを、ですなっ」
本当にこんな場所でそういう発言は慎んでほしいものだ。
それでなくても毎晩毎晩王太子が私の耳元で同じことを言うのだから。
「ルエ。少し風に当たりわ。一緒に来て頂戴」
「御意」
「すみません。アリフレッド様。ちょっと夜風に当たってまいります」
「中々こういう場所に合いませぬか」
「あ、はい…すみません」
「ごゆっくりされてください」
私は席を立ち城の外でリリアンを抱きながら向かった。
隣にはルエが護衛として付いて来てもらっている。
「はぁ~……、全く、こういうのは苦手なのに……」
私は外に出たとたん大きなため息を吐いて呟いた。
令嬢だったらこんな事何でもないところだが、元侍女だった私には合わない世界。
そんなことを思っているとルエが私に話しかけてきた。
「妃様はご苦労が絶えませんね。私も護衛として付き添っていますが中々こういう場所にはなじみません。本当に……貴族の方々は凄いと思います」
「そうね…私も侍女のままだったらと思うわ」
「ははは、向き不向きがありますから」
「私には肌に合わないわ」
そう言いながらケラケラ笑っていると、リリアンがぐずってきた。
よしよし、と私が宥めているとルエがリリアンをあやそうと色々手伝ってくれた。
そろそろ寝る時間かも知れない。
私はリリアンを寝かしつける為はやに戻ることを王太子い伝えようと壇上に戻った。
「アルバン様。リリアンがそろそろ……」
「おお、そうか。もうこんな時間になっていたのだな。侍女に頼んで寝かせつけると良い。其方はまだここに残って色々貴族達と交流するがいい」
「え……? 私も一緒に部屋に戻りたいのですが……」
「それはならん。侍女に任せるんだ」
「………っ」
王太子は侍女を呼びつけてリリアンを連れて部屋に行くよう命じた。
私は侍女にリリアンを預ける形になってしまったのだ。
私だって疲れているんだから……部屋に戻って休みたいのに、王太子の命令には逆らうことが出来ない。
慣れない環境の中で私は一人ぽつんと椅子に腰かけているとつかつかと私の目の前に令嬢が4,5人やって来た。
「マリア様。お初にお目にかかります。わたくしキャメロン=アリフレッドと申します先程は父上様とお話されていたご様子。わたくしもご挨拶にと思いまして」
私の知らない貴族の令嬢がそう言って頭を下げてた。
私もお辞儀をして「マリアと申します」と答えた。
するとキャメロン令嬢がふんっ、というような視線で私の事を蔑んだ視線を送る。
「貴女が元侍女のマリア様ですわね。この貴族や王族の方々の中に元侍女とか…笑ってしまいますわ」
「私は……(こんなところにいたい訳じゃない)」
そんなこと言えない。
貴族の令嬢達はミレンダ令嬢達のように私を認めようとはしていないことが分かった。
ああ、このまま私は貴族達に苛められ続けるのだろうか……。
「マリア様。これからこういう社交界の場では是非『御妃』様として振舞って貰わないと困りますわよ。色々と……」
その一言を言うと「失礼しいます」と言ってぞろぞろと取り巻き達を連れて令嬢達がいる場所へ戻っていた。
「私だって好きでここに居るわけじゃないんだから……」
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