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36 舞踏会に参加してみました。
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やって来た舞踏会。
私は勿論王太子の妃として出席していた。
国王の容体はまだ芳しくないのにも拘らず、舞踏会は優雅に執り行われていた。
既に貴族の間では王太子が次期国王となるであろうという噂で持ち切りだった。
私には関係のない……ことだと思っていたけれど、国王が亡くなってしまった場合、私が王妃となることは自然の流れであった。
「舞踏会は初めての参加だったな」
「はい…侍女だった私には関係のない世界だと思っておりました」
「うむ。しかしこれからは私と共にこのような社交界でも色々尽くしてほしいと思っている」
「……私に務まるとは思えないのですが……」
私は王太子の隣に座りリリアンを抱きながらそう答えた。
それにしても凄い数の人が集まっている。
しかも出席している人は名のある公爵達ばかり。
王太子の席には公爵達が集まって何やら話をしていた。
「王太子。そろそろ次期国王の御準備をなさるご予定では?」
「アーバイン公爵、そのような事をここで言うのは失礼だぞ」
「しかし…国王の御容態が安定していないと聞いたのだが」
「それは確かにそうだが」
アーバイン公爵という人物とジャスミン公爵がそんな会話をしているのを耳にした。
もしこの王太子が国王なんかになったら本当にどうなるのかしら、この国は……。
私はそう思いながらリリアンをあやしていると、いきなり目の前に貴族の令嬢たちが群がって来た。
そう、その中心にはあのミレンダ令嬢が居たのだ。
ミレンダ令嬢は私の事に声を掛けてきた。
「マリア様、ごきげんようですわ。御姫様もお元気そうで何よりです」
「有難う御座います。ミレンダ様」
「それにしても相変わらず覇気のないお言葉ですわね」
「すみません…あまりこういう場には不慣れでして」
私はそう言って一礼すると、高笑いしながら話を続けた。
「ほっほっほ。そうでしょうねぇ~。元侍女だったのですから。全く王太子の考えていることが全く理解できませんわ。私の婚約を破棄して、このような元侍女を妃にするとはね……っ」
私が困った表情をするとすっと横にルエが登場した。
私の事を守る役目を守る為なのだろう。
ルエが私の代わりに話し出した。
「ミレンダ様。流石に今のお言葉、王太子の妃様に対して無礼では御座いませぬか? 私共はマリア様を王太子妃として接しております。幾ら出身が元侍女だったとしても、今は立派な妃様で御座います。謹んで頂きたい」
「あら、それは申し訳ないことを致しましたわ。皆様、参りましょう」
「「ええ~」」
取り巻き達(令嬢達)が返事をすると会場の真ん中の方へ歩き出していた。
「ルエ、助かりました。有難う」
「いえ。それにしてもあのミレンダという女…本当にしつこいですね」
「仕方ありません。私が侍女だったことと、私の所為で婚約破棄されたことは事実ですから」
「それにしてもマリア様には関係の無き事。まるで責め立てるような言い草。許されません」
ルエがそう言って強面でミレンダを見つめていた。
何とか、舞踏会もやり抜いて早く部屋に戻りたい。
私はそう思ないながら壇上の上に座っているこの異様な状況から脱却したいと思っていた。
私は勿論王太子の妃として出席していた。
国王の容体はまだ芳しくないのにも拘らず、舞踏会は優雅に執り行われていた。
既に貴族の間では王太子が次期国王となるであろうという噂で持ち切りだった。
私には関係のない……ことだと思っていたけれど、国王が亡くなってしまった場合、私が王妃となることは自然の流れであった。
「舞踏会は初めての参加だったな」
「はい…侍女だった私には関係のない世界だと思っておりました」
「うむ。しかしこれからは私と共にこのような社交界でも色々尽くしてほしいと思っている」
「……私に務まるとは思えないのですが……」
私は王太子の隣に座りリリアンを抱きながらそう答えた。
それにしても凄い数の人が集まっている。
しかも出席している人は名のある公爵達ばかり。
王太子の席には公爵達が集まって何やら話をしていた。
「王太子。そろそろ次期国王の御準備をなさるご予定では?」
「アーバイン公爵、そのような事をここで言うのは失礼だぞ」
「しかし…国王の御容態が安定していないと聞いたのだが」
「それは確かにそうだが」
アーバイン公爵という人物とジャスミン公爵がそんな会話をしているのを耳にした。
もしこの王太子が国王なんかになったら本当にどうなるのかしら、この国は……。
私はそう思いながらリリアンをあやしていると、いきなり目の前に貴族の令嬢たちが群がって来た。
そう、その中心にはあのミレンダ令嬢が居たのだ。
ミレンダ令嬢は私の事に声を掛けてきた。
「マリア様、ごきげんようですわ。御姫様もお元気そうで何よりです」
「有難う御座います。ミレンダ様」
「それにしても相変わらず覇気のないお言葉ですわね」
「すみません…あまりこういう場には不慣れでして」
私はそう言って一礼すると、高笑いしながら話を続けた。
「ほっほっほ。そうでしょうねぇ~。元侍女だったのですから。全く王太子の考えていることが全く理解できませんわ。私の婚約を破棄して、このような元侍女を妃にするとはね……っ」
私が困った表情をするとすっと横にルエが登場した。
私の事を守る役目を守る為なのだろう。
ルエが私の代わりに話し出した。
「ミレンダ様。流石に今のお言葉、王太子の妃様に対して無礼では御座いませぬか? 私共はマリア様を王太子妃として接しております。幾ら出身が元侍女だったとしても、今は立派な妃様で御座います。謹んで頂きたい」
「あら、それは申し訳ないことを致しましたわ。皆様、参りましょう」
「「ええ~」」
取り巻き達(令嬢達)が返事をすると会場の真ん中の方へ歩き出していた。
「ルエ、助かりました。有難う」
「いえ。それにしてもあのミレンダという女…本当にしつこいですね」
「仕方ありません。私が侍女だったことと、私の所為で婚約破棄されたことは事実ですから」
「それにしてもマリア様には関係の無き事。まるで責め立てるような言い草。許されません」
ルエがそう言って強面でミレンダを見つめていた。
何とか、舞踏会もやり抜いて早く部屋に戻りたい。
私はそう思ないながら壇上の上に座っているこの異様な状況から脱却したいと思っていた。
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